ミステリアスな展開から目が離せない。

時代の嵐に翻弄される夫婦の絆を描いた

「スパイの妻」は、今年のヴェネツィア映画祭で

銀獅子賞(監督賞)を受賞した話題作だ。

 

©2020 NHK, NEP, Incline, C&I

 

 1940年、太平洋戦争前夜の神戸。

聡子(蒼井優)は貿易商の夫・優作(高橋一生)と

仲睦まじく、豊かな暮らしを楽しんでいた。

 

 満州に出張に行った夫が女を連れて帰国したらしい。

そんな話を聞いた聡子は夫に疑惑を抱く。

疑心暗鬼と信頼の狭間で揺れた彼女だったが、

夫から真実を打ち明けられ、信頼の念をいっそう強くする。

 

©2020 NHK, NEP, Incline, C&I

 

 実は、優作が隠そうとしていたのは、

もっと大きな秘密だった。

偶然、満州で知った国家的機密を、

正義感から公にしようとする優作。

聡子は気丈にも、伴に歩く決心をするのだった。

 

 時代の空気は日に日に重苦しさを増し、

強い絆で結ばれた夫婦の運命を、

次々に荒波が襲っていく。

 

©2020 NHK, NEP, Incline, C&I

 

 夫婦という最小単位の絆。

その優しさと温かさを壊しにかかる時代の嵐。

夫婦の愛と絆を、うねりに乗せて描くドラマには、

愛さえも自由にならない戦争の影が

色濃く織り込まれる。

 

 ある種のミステリーとして見せていくなかに

大きなテーマが浮かび上がる作品だ。

脚本(濱口竜介、野原位、黒澤清)が

ものすごーく巧み。

時代の空気を緻密に撮った映像も見ものだ。

 

©2020 NHK, NEP, Incline, C&I

 

 蒼井優と高橋一生の演技も、もちろん。。

今年初めに公開された「ロマンスドール」でも夫婦役だったけれど、

全く異なるたたずまいで、全く違う魅力を

見せているのが、さすが演技派。

 

配給:ビターズ・エンド

配給協力:「スパイの妻」プロモーションパートナーズ

 

10月16日(金)から東京・新宿ピカデリーほか全国ロードショー