ファッション・デザイナー、ピエール・カルダン。
その名前は、誰でも知っていると思う。
1950年代からファッション界で一時代を築いた
デザイナーだから。
(C)House of Cardin - The Ebersole Hughes Company
彼の歩みを綴るドキュメンタリーが
「ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男ピエール・カルダン」。
サブタイトル、長いよねー。
でも、映画には一気に引き込まれる。
才能と才覚と野心で一大帝国を築いていく彼の姿は、
どんなフィクションより面白いのだ。
立体的なデザインで注目された彼は、
プレタポルテを発表してパリのファッション回に衝撃を与える。
パリ・コレクションでは、それまでオートクチュール、
つまり一点物しか発表されなかったのに、
彼は量産ができて誰もが買えるプレタポルテ(既製服)を
発表したからだ。
(C)House of Cardin - The Ebersole Hughes Company
時代の波に乗ってプレタポルテは大成功。
さらに、彼はカルダン・ブランドのライセンス展開でも大成功する。
カルダンのロゴが付いたタオルやカップやスリッパまで
ライセンスものの数は、なんと800アイテム。なかにはジェット機まで。
そういえば、昔、カルダン・ブランドの日用雑貨が
そこらにあふれてたっけ、と思い出す人もいそう。
松本弘子やナオミ・キャンベルなど人種、国籍を超えて
多彩なモデルを起用したり、
共産圏の中国やソ連(現・ロシア)でも
ファッション・ショーを開催したり、劇場を買ったり、
既存の境界線をどんどん超えていってしまう。
なんか、もう、やりたいことを片っ端から
実現していってる感じ。
(C)House of Cardin - The Ebersole Hughes Company
笑えたのは、レストラン、マキシム・ド・パリの買収。
かつて、ドレスコードでハネられ入店を断られた因縁が
あったのだとか。
ともあれ、子供の頃からの夢や憧れを
ことごとく手にしていく人生の、なんと痛快なこと。
まさに、「ライフ・イズ・カラフル!」。
色とりどりの楽しさが、
見る者の気持ちまで明るくしてくれる映画だ。
配給:アルバトロス・フィルム
10月2日(金)Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開