やっぱり、これ!これなんだよなー!

と、うれしくなった。

ノリのいいナンバー、弾けるダンスいっぱいの

ミュージカル「ハウ・トゥ・サクシード」が、

もう思い切り王道の楽しさだ。

 

 1960年ブロードウェイ初演のこのミュージカル、

楽曲の素晴らしさとパワフルなダンス・シーンが魅力。

今回の振付は、2011年にブロードウェイで上演された

ダニエル・ラドクリフ(「ハリー・ポッター」)主演版を

踏襲したもの。オリジナル振付はロブ・アシュフォード。

 

 日本版演出・振付のクリス・ベイリーは、

コロナ規制で来日できなかったけれど、

リモートで演出・振付を行い、上演に漕ぎ着けたそう。

 

 大企業のオフィスで社員たちが踊りまくるダンスは、

エネルギッシュで、時にアクロバティック。

それこそ密!いや、密度が濃い。

これを、こまごまとしたコロナ対策をしながら、

舞台床に抗菌コーティングまで施しての上演だ。

なんか、人知を尽くして天命を待つ、みたいな舞台。

 

 ものすごいテンポに繰り広げられる

精密にして熱気あふれる群舞が、もう、すごい!の一言。

これ!これ!こうでなくちゃ!とワクワクしてしまう。

なんだか久々に「ザ・ミュージカル」を見た!って感じ。

 

 主演のまっしー、よく歌い、よく踊り、大奮闘。

クライマックスの「Brotherhood(世界はひとつ)」なんて、

かなり苛烈なナンバーなのだけど、しっかりキメた。

正直、ここまで踊れるとは思わなかったな。

(というと、ファンに叱られるかもしれないけど。)

 

 あ、急いで物語を説明しておこう。

窓拭きのフィンチ(増田貴久)が、ハウトゥ本の手引き通りに

立ち回り、みるみる出世していくサクセス・ストーリーだ。

ゴマすり、裏工作などなど、ビジネス社会の「あるある」を

皮肉った、軽やかなミュージカル・コメディ。

60年が背景なので、いま見たらパワハラ、セクハラ描写も

ちらほら。そこは目くじら立てないで、

楽しいミュージカル・ナンバーに身を委ねちゃえ。

 

 ヒロイン役で笹本玲奈、ライバル役に松下優也、

社長役に今井清隆、その秘書に春野寿美礼。

雛形あきこ、鈴木壮麻などが出演。

 

9月20日まで、東京・シアターオーブで、

10月3日~10日、大阪オリックス劇場で上演。