公開から20余年。

名作のほまれ高い「海の上のピアニスト」(98)が

いっそう魅力を加えて戻ってきた。

 

 大西洋を往復する豪華客船の中で生まれ、

そこで育ち生涯を終えたピアニストの物語だ。

1900年に生まれたので「1900(ナインティ・ハンドレッド)」と

名付けられた彼(ティム・ロス)は、

天才的なピアノの才能を認められながらも、

レコーディングも拒否し、恋もあきらめ、

名声を求めることなく消え去る。

 

© 1998 MEDUSA

 

 とても美しくて、切ない映画だ。

で、なんだか、滋味あふれる、というか。

監督のジュゼッペ・トルナトーレ(「ニュー・シネマ・パラダイス」)と

名匠エンニオ・モリコーネが、がっちりタッグを組んだ作品。

映像も音楽もとびきりだ。

映画のヒットを受け、原作小説が舞台化もされている。

 

 今回公開の増強版は、2ヴァージョン。

ひとつは4K版。

もうひとつはイタリア・オリジナル版。

4K版は見てないけど、そりゃあ映像がきれいだろうなあ。

2ヴァージョン見れればいちばんいいけれど、

ひとうだけという人にはイタリア版をお勧め。

 

© 1998 MEDUSA

 

 これ、上映時間が160分。

かつて日本で公開されたのは、

120分のインターナショナル版だったから、40分も長い。

でも、全然、長さを感じない。

まったくダレることがない。

最初から最後まで一気に作品世界にどっぷり。

 

 120分版より確実に長くなったのは、

主人公が有名なジャズ・プレイヤーの

ジェリー・ロール・モートンとピアノ対決するシーン。

音楽の迫力が素晴らしくて、

びっくりの勝利宣言方法(見て確かめてね)も

よりインパクトを持つ。

 

© 1998 MEDUSA

 

 主人公が嵐で揺れる船の中でピアノを弾くシーンも

かなり長くなっているような。

ピアノの脚のストッパーを外して、

船の揺れと共に床や廊下を滑りまくりながら

弾き続けるシーンが、流麗なピアノ曲に乗って

美しいダンスでも見てるみたい。

 

 どちらのヴァージョンで、できるだけ

大きなスクリーンでどうそ。

 

配給:シンカ

 

4K版は、8月21日からYEBISUGARDEN CINEMA、

角川シネマ有楽町、アップリンク吉祥寺ほか。

全国順次公開。

イタリア完全版は、同劇場ほかで9月4日日公開。

全国順次公開