笑いながら、酔いながら、ウルウルしていた。
「三谷幸喜のショーガール」@パルコ劇場、初日のことだ。
(7月27日。記事アップが遅くなりました。)
今回の「ショーガール~告白しちゃいなよ、you~」
(Social Distancing Version)は、
新しくなったパルコ劇場オープニング・シリーズの1本。
先に開幕した「大地」(作・演出:三谷幸喜)と併走する作品だ。
つまり、「大地」公演のない日時に上演されているってこと。
撮影:阿部章仁
というわけで、「ショーガール」は
「大地」(Social Distancing Version)の舞台美術を
そのまま生かした舞台上での上演。
「大地」ではずらりと並んでいた収容所の小部屋が、
ここではホテルの広々としたスイートルームに様変わり。
前半はオトナの小粋なラブ・ストーリーをミュージカルで、
後半は一気に20曲ほどを歌って踊るショータイム
というのが「ショ-ガール」のお約束。
ミュージカル「告白しちゃいなよ、you」は18年に六本木EXシアターで
上演されたもののブラッシュアップ・ヴァージョン。
そして、ソーシャル・ディスタンシング・ヴァージョン。
撮影:阿部章仁
舞台の中央に2メートル(3メートルかも)離して
ラインが引かれ、出演者2人がそれを超えて
接近しそうになると警報が鳴り、赤ランプが回転する、という趣向。
不自由を笑いに変える演出が楽しい。
物語は、缶詰めになった売れっ子脚本家(シルビア・グラブ)と、
異様な排水音のチェックに来た配管工(川平慈英)との、、奇妙なやり取り。
最初は距離のあった二人が、いつのまにやら協力してしまう、という
二転三転ドラマに笑い、演じる二人のうまさに感じ入って、
さてショータイム。
撮影:阿部章仁
「チーク・トゥ・チーク」「オール・オブ・ユー」など
立て続けに繰り出して、5,6曲目だろうか。
「Somewhere Out There」で、いきなりウルっときたのだ。
この曲、スピルバーグ監督アニメ「アメリカ物語」の主題歌で
「いつか、どこかで会えるね」といった歌詞(すっごく雑だけど)。
シルビアとジェイがデュエットしながら近づいて行き、
近付き過ぎそうになったとき、ジェイが舞台袖から
透明ビニールを張ったついたてを持ち出し、間に置く。
すごく笑えるんだけど、同時に切なくなってしまったのだった。
笑いに変える演出のうまさと、そうしないとツラすぎる現実と。
撮影:阿部章仁
このついたて、最後にも登場して、インパクトのある場面を作る。
書いちゃいたいけど、これから見る人のために今は止めよう。
いつも思うんだけど、川平慈英とシルビア・クラブという
稀代のエンターテイナーがいてくれて、ほんと良かった。
こんなに芝居がうまくて、歌の表現力があって、洒脱に踊れる二人は、
他に思いつかないくらいだもの。
撮影:阿部章仁
二人×三谷幸喜の小粋な舞台、ちゃんと開幕できて良かった!
と、最後は開幕できた、そのこと自体にウルっとしてしまった。
トシのせい…?いや、コロナのせいよね!
「ショーガール」は8月7日まで。
〈付け足し〉
「ショーガール」はパルコ劇場の名物ステージ。
いまは亡き福田陽一郎さんの脚本・構成・演出、
木の実ナナさんと細川俊之さん主演で
74年から88年まで上演されたオシャレな舞台だ。
そのDNAを受け継ぎ、三谷幸喜の脚本・作詞・構成・演出、
川平慈英とシルビア・グラブ主演で2014年に生まれたのが、
現在の「ショーガール」シリーズだ。