ちょっとヘンクツな天才を演じたら天下一品。

そんなベネディクト・カンバーバッチが新たなヘンクツ天才を演じたのが、

映画「エジソンズ・ゲーム」だ。

彼が演じるのは、もちろん天才発明家トーマス・エジソン。

 

(C)2019 Lantern Entertainment LLC. All Rights Reserved.

 

 19世紀後半、アメリカは電気の時代を迎えていた。

白熱電灯の実用化で名声が高まる一方のエジソンは、

大統領の頼みさえ断ってしまう傲慢マイペース男だ。

全米に張り巡らせる送電システムが取りざたされるなか、

エジソンは直流式を採用すべきだと主張する。

 

 対して、交流式を提唱するのは、発明家で実業家でもある

ジョージ・ウェスティングハウス(マイケル・シャノン)。

どちらが送電システムに採用されるのか、

エジソンVSウェスティングハウスのバトルが始まる。

バトルの決着の場となるのは、シカゴ万博。(1893年ですね。)

 

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 このエジソン、勝つためには手段を選ばず、

きわどいネガティブ・キャンペーンまでやるという、

けっこうイヤな男。

いやあ、偉人伝でのキャラとは相当違って、びっくり。

 

 実は、この映画、2017年のトロント映画祭でお目見えした時は、

プロデューサーのカットによって

エジソンがかなりいい人寄りに描かれていたのだった。

このプロデューサーは、後にスキャンダルで業界を去る

ハーヴェイ・ワインスタインだとか言われているけど、

真偽のほどは残念ながら知らない。

その後、撮り直し、編集を経たディレクターズ・カット版が全米で公開。

その延長線上の発展型が、日本をはじめ米国以外で公開される、これ。

あ、監督はアルフォンソ・ゴメス=レホンです。、

 

 このエジソンは傲岸な天才ではあるものの、

一方では妻子への愛情が深く温かな面も見せる。

その愛情が、後に映写機の開発に繋がるんだなあ、なんて

思わせる、なかなか味わい深いキャラ造形なのだ。

やっぱり人間は多様な面を持っているものね。

そして、より複雑な多面体キャラはカンバーバッチにぴったり。

 

 宣伝では二人のバトルが強調されているけれど、

実はニコラ・テスラ(ニコラス・ホルト)もバトルの重要なメンバー。

テスラもまた偉大な発明家で、最初エジソンの会社に勤めたものの、

敵対して辞め、ウェスティングハウスと組むというキャラ。

 

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 実在の天才たちのバトルから目が離せない。

実際、ドラマ展開が早いので、スクリーンから目を離しちゃダメ。

余裕があれば、他の登場人物も気にして見てね。

歴史好きなら、かなり面白いはずだから。

 

2017年製作の映画が、編集を巡るトラブルを乗り越え、

コロナ禍での日本公開延期を経て、

6月19日、ようやく公開される。

配給:KADOKAWA