今年はミュージカルが大豊作のはずだったのに…。
特に、この4月~6月は新作から再演作まで、
もう目のくらむような、ゴージャスなラインナップだったのだ。
観劇のスケジューリングに楽しく悩んでいたのが、すごく昔みたい。
全ての公演中止になってからの時間は、のっぺりと長い。
新作の中で、個人的に気になっていたのが「VIOLET」、
4月に東京劇術劇場で上演されるはずだった舞台だ。
演出の藤田俊太郎が、すでに昨年、ロンドンのチャリングクロス劇場で
現地のキャスト・スタッフと共に創り上げたもの。
そのロンドン公演からフォローしてたんだもの。
チャリングクロス劇場の中は大きく改装され、
対面式の客席が舞台をはさむという設えが、
観客の臨場感をかきたてていたのだった。
日本初演の「VIOLET」は、ロンドン版をたたき台に、さらに
ブラッシュアップした舞台になるに違いなかった。
今度は、客席が舞台を四方から囲ぬ形。
観客は、舞台上のドラマを同時進行で目撃する、という仕かけだ。
キャストがまた魅力的だった。
主人公ヴァイオレットは、唯月ふうかと優河のWキャスト、
彼女と親しくなる兵士モンティに成河、その上官に吉原光夫。
島田歌穂、原田優一、エリアンナ、spiほか、すごい充実ぶりだったのだ。
その舞台の片鱗がうかがえるPVが、届いた。
ああ、いい舞台になったろうなあ、と思わせる動画。
それだけに、見られなかった無念が増す。
もう見た人もいそうだけれど、リンク貼っておきます。
あ、急いで物語の説明を。
1964年のアメリカ南部。長距離バスに一人の女性が乗り込む。
彼女はヴァイオレット。25歳。幼い頃の事故で顔に大きな傷がある。
どんな病も傷も治してくれると喧伝するTV伝道師を訪ねる度に出たのだ。
バスに乗り合わせた人々との交流し、旅を続けるなかで
彼女は少しずつ成長していく。
この作品、97年のオフ・ブロードウェイ生まれ。
私が見たのは2014年のブロードウェイ上演版だ。
主演は、なんとサットン・フォスター。
サットン・フォスターといえば、長~~~い脚で魅せるキレッキレのダンス!
だって、「モダン・ミリー」とか「エニシング・ゴーズ」のヒロインだもの。
そのフォスターが、しみじみと歌い、じっくりと演じる舞台だった。
なんか意外なキャストだったけど、作品自体は温もりがあって良かった。
ロード・ストーリーに差別や偏見テーマまで織り込んだ舞台だ。
ジニーン・テソーリの音楽が、繊細で美しい。
ブロードウェイからロンドン、そして今度は東京で
これを見る予定だったのになあ…。