過疎化などにより日本の農村の「夏祭り」が消滅の危機にある。瀬戸内海・小豆島の奇祭「虫送り」も担い手不足で一時中断していたが、2011年に復活した。ジャーナリストで僧侶の鵜飼秀徳氏は、「復活のきっかけは、2011年公開の映画『八日目の蝉』。それ以降、祭りの光景がインスタ映えすると評判を呼び、若者が集まるようになった」という。(中略)中山の虫送りを取り仕切るのは地元の消防団らであるが、将来的に祭りを存続させていくために、再開をきっかけにしてさまざまな試みを始めた。ひとつは、観光客が、「ただの見物客」にならないようにしたことだ。日本の地域の祭りの多くは、地元の保存会主導で催され、観光客は「見るだけ」が多い。しかし、中山の虫送りは地元民と観光客の分け隔てがない。誰でも、祈祷や火手を持った練り歩き(400本限定)に参加できる。資金調達でも新しい試みを取り入れている。祭りの当日は、募金箱を回し、参加者から資金を集める。また、地元小豆島町では、ふるさと納税制度を祭りの運営費に充てているという。他県から参加した人が小豆島への関心をより高め、都会に戻った後は小豆島町のふるさと納税を行ってくれる。その際、納税者は「祭りの維持」としての使い道を指定できる。つまり、「よそ者」を祭りの担い手にすることで、さまざまな好循環を生んでいるのだ。島は人口減少の傾向にはあるが、近年、移住者が少しずつ増え始めたいうと。なるほどね。

これは地方再生の良い例だね。映画の手助けがあったにせよ、そこを足掛かりに更に盛り上げているのは素晴らしい。これを羨ましがる地方の町は多いだろうね。「祭り」は祭事だが、それを実施するにはやはり金と人が要る。過疎が進み、金も捻出できずに消えていった同様の祭りは多いはずだ。僕が今いる地域の祭りも、去年かな?最後だったらしい。今年から開催されないようだ。これは祭りに限ったことではなく、田舎の市町村が抱える悩みだね。

さて、この「虫送り」の成功から何を学ぶか?ビジネスにも通じるものがあるからまとめておく。大きく二点かな。

まずはキッカケ。多分このニュースを見たら、「ウチは映画撮影来ないしな、、」などと考えるだろうが、そこは違う。確かに広めるには映画はとても役立ったものだ。でも大事なのは、見た人が「広めたい」と思うものであること。そこから口コミだったりインスタだったりで広まったはず。決して映画一発だけで人気が出たわけじゃない。実際、祭りに来てる人たちでこの映画を観ていない人も今はたくさんいるはずだ。これが一点。そしてもう一つは、記事中にもあるように、火が点いたそれを継続的にものにしていく思考と計画と取り組み。ここで言えば、祭りに参加させたり、資金捻出のためにふるさと納税を活用したり。つまり他人を当事者として巻き込んでいる。だから他人事が “自分事” になっている。仕掛け人が入っているかわからないけど、これは上手いよね。ビジネスで言えばこれは王道商法だけど、地域活性でこれをちゃんとやれてるところは少ないだろうから、やれればこうやって盛り上がっていくってことだ。

ズブズブと沈んでいく船に乗りながらも、「どうしようどうしよう」と言ってるだけで結局何もしないってのが多い。地域でも企業でも。まあそういう船はそのままどんどん沈んでって沈没するんだけどね。自分達で考えてもわからなければ、自分の脳はもう使わない方がいい。わかる人に早く聞いて、どんどん行動しないといけない。