「丑の日の店舗売り上げは、他の日の3倍になる」と話すのは定食チェーン「大戸屋」。今月12日に販売を始めた「大戸屋のうな重」は、台湾の契約養殖場で育てた220グラム前後のウナギを使った。お吸い物などが付いて価格は2500円。牛丼チェーンでは、うなぎを通年展開する「吉野家」と、夏場を挟んで数カ月間提供する「すき家」に対抗し、今年は「松屋」がうなぎに参入した。老舗ウナギ専門店監修の「うな丼」など3品を今月9日から830~1390円で提供。 ファミリーマートは今年から、うな重などの商品を完全予約制にし、当日販売の商品はない。セブン-イレブンは1品、ローソンは加盟店に対して前年実績を元にした当日販売分の発注を認めているという。3社とも国産ウナギの「うなぎ蒲焼き重」を最上級品としてそろえた。セブンとファミマが2680円、ローソンが2980円と、他の弁当に比べて高額だが、「専門店のない地方などで需要は多い」というと。なるほどね。

顧客単価が400~900円くらいのお店でも、ウナギに関しては800~2980円で出すということだね。通常の2倍から3倍なんで結構強気だね。それだけ「ウナギは高い」と認知されてるってことと、“土用の丑の日” という商業的に作られたキャッチに客も店も勢いがつくってことだね。

「価格設定」は商品を売る上でとても重要になってくる。良い商品もこれを間違うと売れなくなる。安ければいいワケでもない。

このウナギを例に見てみると、まず大戸屋は外国産を使って安く提供する路線だ。大衆食堂だから当然の判断。専門店に比べたら6割くらいの値段だからお手頃感はある。あとは実際にどれくらいのものが提供されるかってことと、外国産をどう判断されるかってとこだね。松屋も多分外国産だが、“老舗ウナギ専門店監修” とすることで付加価値をうまく添えた。実物がわからないけど1390円でウナギが食べられるならお得感がある。コンビニは強気の3000円弱。まあ店頭に並べてもそこまで売れないのがわかっているので予約販売ってことだが、確かに近くにウナギが食べられるところが無ければ多少は売れるだろうね。コンビニにしては高め設定が逆に品質の良さを感じさせる。中途半端に1480円とかで店頭に並べるよりよっぽど売れる。

ちなみにウナギは、実は6.7年ほど前に豊漁だった年があった。でもどの店もそれに伴う値下げはしてなかったね。取れる時に取っておきたいってのと、やはり値下げはしにくいってのが本音だっただろうね。「値下げ」は次にまた上げるっていうのが難しいんだよね。「値上げ」ってだけで客の入りは落ちるから。「根戻し」なんて言っても通用しないからね。