最近、LGBTQの人々をサポートする意味も込めたコレクションを発表したディーゼル。Instagramには、セクシュアルマイノリティであるタレントを起用した写真を投稿している。ディーゼルによれば、40年以上前からLGBTQの人々を支持しているとのこと。同ブランドの創立は1978年なので、当初からの指針とも言える。一方で、ディーゼルを購入する人にまで同じような思いが共通しているのか?残念ながら、そんなことはないようだ。実際に、LGBTQに関する投稿をした日(6月25日)からおよそ1週間で、約1万4000人がディーゼルのInstagramアカウントのフォローを解除した様子。この件を気にかけるかと思いきや……ディーゼルは違った。あえて1万4000人フォロワーを失ったことを明かして、ブランドの意見に賛同する人に感謝する投稿をしたのだ。ディーゼルの担当者は、アメリカのメディア「AdAge」に「他のブランドが心配するようなことかもしれませんが、ディーゼルは一部のフォロワーがいなくなったことをお祝いすることにしました」と語っていると。なるほどね。

これには2つの見方があって、一つは企業としての意志の示し方について。もう一つはターゲットを絞る、つまり “ターゲット以外を捨てる” という行為のこと。動画もアップしたことから、ビジネスにおいてのターゲットについて最近よく話しているが、今回の件も正にそこに通ずる。

まず今回のことを簡単に言えば、ディーゼルは自社の方針にそぐわない(批判的とまでは言えないかな)人達が去ったことをポジティブに捉えた、ということになるね。インスタのフォローをやめたってだけのことだが、そこにはちゃんと1万4000人の意志がある。なので企業としてはそれを重く受け止める必要がある。受け止めた上でどう反応するかってことなのだが、ディーゼルはそこで改めて自社の意志を示したということになる。フォローを外した人達に対しては火に油を注ぐような行為だが、逆に支持してくれている人達にとっては、より好感と信頼を強める行為となる。僕としては、ビジネス的にはこれで良いと思っている。人によっては、「敢えて逆なでしなくても、、」と言う人もいるだろう。でも会社としての意志を示すことは、ビジネスにおいてとても重要と僕は捉えている。

日本で会社のことを「法人」と言う。法人とは法により権利を認められたものを言う。つまり、 “法の上で人格を与えられたもの” と言い換えることができる。そして人は何に惹かれるか?それは “想い” だ。想いを知り、それに賛同することが “惹かれる” と言うことだ。なので会社の魅力も、そういった意志をしっかりと持ち、示すことが重要となる。

でも日本の会社がこんなディーゼルのようにはできないだろうな。