リニア中央新幹線南アルプストンネル工事を巡り、JR東海と静岡県の溝が深まっている。2027年のリニア開業に向けて着工を急ぎたいJR東海、大井川の流量減少対策が不十分だとして慎重姿勢を崩さない県。工期の余裕がなくなる中、しびれを切らしたのはJR東海の金子慎社長。5月末の記者会見で「この状態が続けば、開業時期に影響を及ぼしかねない」と静岡工区の未着工が開業遅れにつながる可能性に言及した。6月に入ると「国策と言えるような目的の下に進められている」と事業の必要性を強調した。名古屋駅周辺の開発遅れを懸念する愛知県の大村秀章知事も「開業遅れは到底受け入れられない」と呼応したと。なるほどね。

この問題、何でこんなに静岡県側がゴネるのかってとこを理解しなければいけない。まず、静岡県の未着工区間の長さだが、このリニア新幹線のルート全体285キロのうちの8.9キロ。実はたったこれだけ。静岡県民ならわかると思うが、北部のちょっと突き出た部分を横切る形だ。ここを掘ってトンネルにしなければならない。で、静岡県側としては、ただ掘らせるのは面白くないんだよね。なぜなら、リニアが通る他の県には駅が作られるが、静岡には作られない。つまり旨味が何もないんだよね。なので “大井川の流量減少対策が~” などと言ってゴネてるわけだ。

で、簡単に言うとこれの解決は金でしかできない。「それ相応のお金もらえればトンネル掘っていいよ」というのが静岡県側の本音だろう。現に静岡県の川勝知事は「地域貢献を金額に直すと(中間駅のある)4県の(駅整備額の)平均がめどになる」とJRに金銭を要求するとも取れるような発言をしたと。ただそれは県関係者から「誤解を招きかねない」との指摘が相次ぎ、川勝知事は発言をトーンダウンさせている、と。でもこれがホントに本音だね。

僕が県知事だったら堂々と金銭要求するけどね。「リニア通してウチに何の旨味があるのよ?駅ができる県はいいよ。それでメッチャ栄えるでしょ。でもウチには何のメリットもないよ。」と言うね。「 “国策と言えるような” って言うけど、国策じゃなくJR東海が自分たちの利益の為に独自でやってる事業じゃん。何でそれにタダで協力しなきゃいけないの?こっちは水被害のリスクだけ抱えてる状態だよ。」って感じかな。

まあ時間も無いようだからそのうち結局お金の話にはなるだろうね。早いとこ落としどころを見つけないとホントに開業が遅れることになる。それは誰も得しないからね。静岡県側からすればそこまでしっかりと引っ張る必要がある。

川勝知事は静岡県の社長として、県と県民の為に今必死で駆け引きをしているところだ。JR東海とリニアに関係する他県からは悪者扱いされるだろうが、そこはめげずにしっかりと戦っていかなきゃいけない。それが静岡の長としての責任だ。なので静岡県民も、自分達の為にこんな攻防がなされていることを理解しないといけないね。