定食チェーン「大戸屋ごはん処」の客離れが深刻だ。運営会社の大戸屋ホールディングスが6月10日に発表した5月の既存店客数は、前年同月比6.4%減だった。4月が8.0%減、3月が10.8%減、2月が6.4%減と4カ月連続で6%を超える大幅なマイナスとなった。今年1月までですでに10カ月連続のマイナスとなってはいたが、この4カ月のマイナス幅は非常に深刻だ。2019年3月期上期(18年4~9月)が前年同期比2.7%減だったことを考えると、その異様さがわかるだろう。これについて店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏「720円のランチを廃止した影響が大きい。コスト高のために値上げを行い、その影響でお客が減るという負のループに陥っている」と指摘する――。なるほどね。ヤバいねこれは。
ちょっと調べてみたら、720円のランチってのが人気だったらしい。で、それを廃止して代わりに同じようなランチメニューを作ったのだがこれが不評と。料理の内容はほぼ同じで値段が150円上がってるんだと。どんなものかと思ったらこんな感じ↓
変わったのは竜田揚げから肉団子になっただけ。これで150円値上げ。そりゃ客も来なくなるわ。何を考えているのだろう。竜田揚げよりコストが安い肉団子に変えたのに値上げって。そんなみえみえの子供騙しは大人には通用しない。こんなことしてるようでは大戸屋は消えるな。間違いなく。
飲食店経営者には知っておいて欲しいが、客がランチに求めるのはコスパだ。コスパ第一。ディナーに比べたら、ランチに対するクオリティーの重要度は低い。でも毎日のものだから、そこそこ美味くて値段が手ごろってのがランチに求められるものだ。大戸屋はこの「大戸屋ランチ」というのが、他のメニューに比べてコスパがいいから人気だったわけだ。原材料費の高騰があるにせよ、ここに手を付けてはいけなかった。もし値上げするのであれば、大戸屋ランチだけは据え置きにして、その他のメニューだけ上げればよかった。一番出てるメニューを値上げするのが利益アップに手っ取り早いと思ったのだろう。安易だな。離れた客はもう戻って来ないよ。「大戸屋は高め」と上書きインプットされてしまったから。
終日営業している飲食店において、ランチは “サービス” なんだよ。基本的にはディナータイムでしっかり稼ぐようにして、ランチはお手頃価格で提供すべきだ。「ランチは来るけど肝心の夜に来てくれない」と嘆く飲食店経営者がいるが、それはやり方が悪いだけだ。ランチのせいにしてはいけない。嫌なら昼は閉めればいい。
でも大戸屋がちょっと難しいのは、定食屋ってことだ。つまり夜にゆっくり飲みにくる場所じゃない。だからランチだろうがしっかり取らないといけないのだけど。まあだからといって人気メニューを改悪して値上げなんてのは愚の骨頂だけどね。正直、ここからの巻き返しはかなり厳しい。これから更に財布の紐がギュッと締まってくるから、もうランチ競争では絶対に勝てない。大戸屋ランチ720円を戻したとしてももうムリだろうね。いっそのこと業態を変えた方がいい。牛丼屋みたいなどんぶり定食屋にして、500~700円の間で5種類くらいのどんぶりを味噌汁付きで出すようにする。で、夜は別メニューで“大戸屋バルタイム”みたいなネーミングにして18時くらいからラストまでこれで営業する。こんな感じかな。
とにかく大戸屋は早急に何か手を打つべきだ。もう足まで浸かっている状態だ。このままだと沈没だよ。
