かならず待つ
ただいまのトーンにひと日をにじませて学童保育のドア開くる児ら
叱られてこころの渦の解けぬまま口元小さくただいま言う児
みーちゃんは大きな声で絵本読むあこがれを追う時間流るる
こころころころころころり天邪鬼おちゃめやんちゃの顔見する児ら
しゃくりあげ肩震わせて泣くおさな言葉をさがす五分十分
満たされぬ心にありて幼子は言葉のかけらポロリとこぼす
けんかして砂に寝転ぶ幼子の涙すいあげ空をゆく雲
ゆきあいの空にこもごも尾をひきてささと刷毛雲すいとすじ雲
花に木に虫に声かくるおさな等の言葉はときにさびしさに満つ
あかねさす昼にはおさなの笑み浴びて夕べさびしさ拾う保育士
幼心をはからずおもてに見えしまままずは双手に受け入るる日々
わんぱくのおさなに曇りのちの雨「祖母ちゃん事故」とふるえし声に
はらはらと散りゆく秋につつまれて失うこわさ知りしおさな日
仰ぎ見し空には四時(しいじ)の雲の在り夕焼けこやけかえる幼日
さよならにまたねを付けて手を振りぬ明日もかならず待つ保育室