連作 30首 | 短歌と俳句 ひとかすみ

短歌と俳句 ひとかすみ

自作短歌や俳句を即詠
日々の出来事をつれづれに

ひと世

 

もう少し頑張ってみろ・・のもう少し具現化できない大人の論理

 

よい子ねが誉め言葉ではないことに気がついていたずっと昔に

 

うそ寒の夜にほこりをはらいます明日この手でめくるアルバム

 

陰よりも日なたを選んだだけでしたリーガルウォール真ウロボロス

 

まいったな真無限なら罪はない昨日あなたを捨てた事実も

 

悩んでも他人は他人伝わらぬ脳髄からの指令は正しい

 

どしゃ降りの雨に打たれてうなだれて戻るふりだしさえ見えぬ日も

 

負けないでいや負けるだろ持ちでいいうずまき管がせわしく揺れる

 

もう少し雑に生きればよかったと詰む目前でしている後悔

 

出会いから目を合わせずに話すひと反転図形を見ているようで

 

紫陽花の花はガクです花じゃない元カレになった弥涼暮月

 

湿舌が天気図を埋めうち過ぎる熟した梅と雨のにおいと

 

声高に他人が語るセクハラを二十四時間思えるかキミ

 

セクハラをされない人がセクハラを叫ぶ世界の負の思いやり

 

自己満でしょうハイドランゲオタクサ中途半端な覚悟を笑う

 

恋ごころ幻影か否かさらされて刑法一七七条思い浮かべる

 

世の中がわかつたふうの眼のおんな一拍遅れのコタエもうたがう

 

世の中がだいぶ騒がしくなりました大和ごころの薄れゆく日々

 

やまとなる奥ゆかしさは過去となりバランスを欠く言葉行き交う

 

おばあちゃんと呼び名が変わる明日が来るリミットが見えたような気になる

 

アラ還と呼ばれるよわいとなりました記憶に行き交う言葉は美し

 

人類の進化の過程狭窄を抱えて平均寿命を生きる

 

祖母ちゃんになる覚悟とはばあちゃんを思い出すことしわくちゃの笑み

 

今朝植えたトマトはアイコとつやぷるん自慢げに言うばあちゃんの皺

 

「悪いことする子はみんなエーコだね」悲しくえいこを見ていたばあちゃん

 

思い出すばあちゃんはいつも声を張り「デスコでヒーバ―してるの」と言う

 

いつの日かひなたぼっこのばあちゃんが画面をオフにしたように消え

 

祖母ちゃんになる日がきたら日だまりで「大丈夫だよ」といつも笑おう

 

受け入れて欲しいと思う海があり空深くあるそれがふるさと

 

穏やかな心で皺を刻みますリピートに聴く昔はよかった