春に高齢の母親を亡くしたことは、既に何度も

書かせていただきました。

また、この訃報を聞いた多くの演劇関係者の

皆さまから、心温まるお悔やみやお励ましを

いただきました。

本当にありがとうございました。

【参考】

<母の死去や新盆に関する過去の記事>

https://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-12270242533.html

https://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-12273410620.html

https://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-12300923584.html

 

 

ここ数年は歩行がだいぶ困難となり、軽度の

認知症の症状も出てきた母でしたが、やはり

他界してしまいますと、家族としては寂しさが

募ります。

それに第一、庭の草むしりや近所づきあい…

…等々、上述したような状況になっても、母が

しっかりと頑張ってくれていた分野が多々あっ

たことにも、今さらながら気づかされました。

 

そんなわけで、庭の草取りをしたり(もう、この

暑さのなかでは雑草との戦いです!)、自治会

やお寺関係等の退屈な会合(失礼!)に出なが

ら、母が愚痴一つこぼさずやってくれていたこと

に感謝しつつ、母を偲んでいるところです。

 

あと私自身が、初夏の頃から盛夏時にかけて、

首筋と肩に激痛が走るという体調不良もありま

した(ノ_・。)。

(ちなみに、現在も治療継続中です。)

【参考】

<私の体調不良等に関する過去の記事>

https://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-12304579904.html

https://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-12305135545.html

 

 

……ということで、言い訳ばかりで恐縮ですが、

未アップレビューがかなり堆積してしまった次第

ですσ(^_^;)。

 

では、以下、何回かに分けて順次アップしていき

ますが、今回は、 ~その1~ ということで、宜し

くお願いいたします。

ただし、レビュー自体はまさに超短評ですので、

お許しくださいませ。

 

 

 

 

 

■ 『非常の階段』

(アマヤドリツアー2017)
(作・演出 広田淳一)
 

【2017年度観劇通し番号 No.13】
【2017年度上半期観劇通し番号 No.13】
【2017年観劇通し番号 No.42】
【鑑賞日時 2017年6月17日14:07-16:27】
(於 シアター風姿花伝)

 

○超短評ですが(^_^;)……

(1)

『非常の階段』につきましては、2014年秋の初演時に、

かなり長いレビューをアップしていますので、今回は、

主として、

 

・初演時との比較について

・地方公演の劇場と比べたらかなり手狭なシアター

風姿花伝で生み出される「迫力」について

 

といった点を中心に、観させていただきました。

【参考】

<『非常の階段』初演時(2014年9月)の超長文レビュー>

https://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-11924960193.html

 

 

(2)

当然のことながら、初演時の脚本を大いに変えてきた

ところもありました。

例えば冒頭のシーンも、藤松祥子さん一人が登場して

”涼やかに”始まる初演時と違って、今回の再演時は、

倉田大輔、笠井里美、渡邉圭介という”キレッキレの

俳優陣(笑)”による競演ぶりに、再演舞台としての骨

太さと力強さを感じました。

 

ただ、「どっちが好きか?」と尋ねられれば、ワタクシ的

には初演時の”涼やか系”の方に惹かれますが(^_-)-☆

……。

 

(3)

最終盤の群舞的、身体表現的ダンスシーンに関しては、

まさに文句なしの大迫力でした:*:・( ̄∀ ̄)・:*:。

キャスト全員のはじけ飛ぶ汗と客席を襲う風圧によって、

このお芝居を締め括ると同時に、お芝居に内在した”行

き場のないパッション”をスッキリと昇華させてくれたよう

に、私には思えた次第です(^人^)。

 

あと、元木役の松ノ真司さんの身体能力の高さには、

目を見張りました(☆。☆)。

 

 

 

 

初演時に引き続き、「長女」役を務めた笠井里美

さんです。

 

里美さんは、アマヤドリの屋台骨を背負っている

演劇人です。

小柄な身体なのに、風格と威厳を感じます。特に

最近は……。

NHKの朝ドラ『ひよっこ』にも、劇団員役として出演

されてましたが、益々のご活躍を祈ります。

 

 

 
 
初演時は「騙され母」役を、そして今回は「次女」
役を演じた、中野智恵梨さんです。
 
この人の持つ独特の「間」と、若干の不思議系が
混ざる独特の演技センスが、私は大好きです(o^-')b。
9月のぬいぐるみハンターさんへの客演舞台も、
楽しみにしています。
(それにしても、映り込んだ紫陽花が、時季を感じ
させますね(^人^)。)
 
 
 
 
「三女」役を演じた、相葉りこさんです。
 
初演時に(上述した)藤松祥子さんが好演した役柄
故、注目して観ていましたが、「長女や次女と比べて
親から粗雑に扱われているのでは……」という意識
を、りこさんも、上手かつナチュラルに表出していま
した(o^-')b。
やはり若い俳優さんは、場数を踏む度に成長して
いきますね。
 
 
アマヤドリさんの今秋の新作二本立てロングラン
公演(11/3-12/3予定@花まる学習会王子小劇場)
も、楽しみにしています。
 
 
 
 
 
■ 『はたち、わたしたち、みちみちて』
(gojunko 第4.5回目公演)
(作・演出 郷淳子)
 
【2017年度観劇通し番号 No.15】
【2017年度上半期観劇通し番号 No.15】
【2017年観劇通し番号 No.44】
【鑑賞日時 2017年6月24日19:02-20:01】
(於 Theater Option)
 
■ 『ウミ、あした』

(gojunko 第4.5回目公演)
(作・演出 郷淳子)

 

【2017年度観劇通し番号 No.16】
【2017年度上半期観劇通し番号 No.16】
【2017年観劇通し番号 No.45】
【鑑賞日時 2017年6月24日20:02-20:29】
(於 Theater Option)

 

どちらも二人芝居でしたが、出演者も内容も違う

作品でしたので、(上記のように)「2本の作品を

観劇した」と、カウントしました。

なお、申し訳ありませんが、今回、『ウミ、あした』

の方のレビューは割愛させていただきます。

 

 

○『はたち、わたしたち、みちみちて』の超短評ですが(^_^;)……

(1)

同級生だった女性二人(とみやまあゆみさん&

宍泥美さん)が、時系列を縦横に動かしておしゃ

べりを続ける、ガチガチの会話劇でした。

 

(2)

冒頭のシーンは、二人が25歳の時に、5年前の

成人式の前夜のことを語り合っていました。

 

その後、20歳に戻ったり、30歳過ぎ、アラフォー、

老女になって……と動き始め、かと思えば、絶妙

な間隔で昔に戻ってリフレインする……という、

そうです、まるであの「マームとジプシー」の作品

を女優二人の会話劇に仕立てた(!?)って感じ

の(笑)、脚本でした(☆。☆)。

 

(3)

この手のお芝居は、やはり俳優の力量がイマイチ

だと、持ちません。

が! さすが、あゆみさんと泥美さんは練達の俳優

さんだけあって、女友達同士に漂う超ビミョーな空気

感的ホンネ(笑)とか、オンナの怖さや(最終的には)

共感と諦観といったような、各ジェネレーションにおけ

る心の襞(ひだ)に潜む諸感情を、さりげな~く(笑)

劇場空間に撒いてくれました(o^-')b。

 

つまり、小劇場での上演が似合う佳作舞台でした。

 

 

IMG_20170625_003621.JPG

 

 

とみやまあゆみさんです。

 

私が一番早くお知り合いになった俳優さんです

ので、かれこれもう6年以上は、あゆみさんの作

品を観続けていますが(^_-)-☆……。

 

画像のようにお綺麗な女優さんですが、最近で

は、キー局の地上波ドラマにも出演を果たしたり、

映画にも連続して出演するなど、舞台以外にも

活躍の場を広げていて、嬉しい限りです(≧▽≦)。

 

 

IMG_20170723_224128.JPG

 

 

宍泥美(ししどろみ)さんです。

 

この画像は他の公演でスタッフを務めている際に

撮らせてもらったものですが(^_-)-☆……。

 

泥美さんの演技には、独特の”溜め”があるように、

私は感じました。

その”溜め”が、二人芝居においては、余裕を持っ

た”返し”につながったのでは……というのが、私の

「解釈」(笑)でございます(^人^)。

 

 

 

 

 

■ 『ドラマティック』

(遠吠えの、復讐)
(作・演出 木村みちる)
 

【2017年度観劇通し番号 No.17】
【2017年度上半期観劇通し番号 No.17】
【2017年観劇通し番号 No.46】
【鑑賞日時 2017年6月25日20:04-20:56】
(於 演劇フリースペース・サブテレニアン)

 

○超短評ですが(^_^;)……

(1)

2016年度下半期のマイベストアクトレス賞を授与

した、石黒麻衣さん(劇団普通主宰)が客演した

舞台。

【参考】

<2016年度下半期ベストアクトレス賞等に関する記事>

https://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-12264590457.html

 

 

板橋区の住宅街にある、近隣のキッズ等が多数集

うキックボクシングジムの地下にある小スペースで、

こんないいお芝居が観られるんですから、小劇場

巡りもホント楽しいものですо(ж>▽<)y ☆。

 

(2)

バイトリーダーも含めて、全員が時給1187円で働い

ている某工場C班の、深夜勤務シフト時の休憩室。

この休憩室だけで、お芝居が展開していきます。

 

バイトリーダーの男性工員は、会社の上層部から、

「C班からリストラ要員を一人出すように…」と命令

されたのですが、それをC班のメンバーに切り出す

前に、「転職するので辞めたい!」と自分から言っ

てきた若手の男性バイトがいたため、「これ幸い…」

と、リストラ話を持ち出さず、彼の辞職手続をそそくさ

と進めようとします。

 

が! バイトリーダーのこんな小細工もすぐにばれ

てしまい、また、「これって、本当にリストラなの?」

という根本的な疑問が露呈したり、その若手バイト

自身も辞意を撤回するなど、休憩室は大混乱状態

に陥ってしまうのです(☆。☆)。

 

……というような筋書きのお芝居でした。

 

(3)

狭い空間で、お互いの会話の応酬によって各人の

キャラ、境遇、人生観、労働観……等々が炙り出さ

れてくるというタイプの作品で、私がすぐに思い出し

たのは、カムヰヤッセンさんの『未開の議場』(2014

年10月)でした。

【参考】

<『未開の議場』(2014年10月)のレビュー>

https://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-11947535120.html

 

 

今回の『ドラマティック』も、俳優陣の力量が平均的に

高かったため、『未開の議場』に迫る、「あぁ~、いい

お芝居を観させてもらったな~」とツイートしたくなる

ような、いわば小劇場演劇の醍醐味を濃縮した佳作

舞台でした(o^-')b。

 

 

IMG_20170626_001503.JPG

 

 

女子工員のハヤシ役を演じた、石黒麻衣さんです。

 

画像のように、石黒さんは、清楚、かつ、たおやかな

雰囲気を湛えたお綺麗な演劇人です:*:・( ̄∀ ̄)・:*:。

 

が! いざ舞台に立つと、休憩時に菓子パンを食べ

ようと思ったのにパンの袋をうまく開けられないという

ドンくさい女を、もっと言えば、人生の「負け組」を自認

するという諦観に満ちたタイプのダサい女を、見事に

演じていました(o^-')b。

 

石黒さんの作・演出で、出演もする今月の舞台を、

楽しみにしています。

 

 

 

 

 

■ 『春琴抄逆張り』

(ハロー山梨演劇塾YaYaYa第17回公演)

(谷崎潤一郎作『春琴抄』より)

(日本子守唄考)
(脚本・演出 藤谷清六)
 

【2017年度観劇通し番号 No.19】
【2017年度上半期観劇通し番号 No.19】
【2017年観劇通し番号 No.48】
【鑑賞日時 2017年7月1日19:01-20:00】
(於 桜座(甲府市))

 

○超短評ですが(^_^;)……

(1)

あらゆる面での東京一極集中が続いていますので、

演劇文化の面でも、どうしても東京に目が向いてし

まいます(事実、私も、東京エリアへの観劇がほと

んどですから…)。

 

でも、地方でもかなりの水準のお芝居を創り、かつ

上演し続けている演劇人・演劇集団が、一定数存

在していることは、紛れもない事実です。

そんな観点から、山梨の地でコンスタントに公演を

打っている藤谷清六氏の作品を、私も過去にいくつ

か紹介させていただきました。

【参考】
[ハロー山梨演劇塾YaYaYaの公演に関する過去の記事]
<『翔べない二人 【A若年組】』(2014年6月)のレビュー>
http://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-11882553107.html

<『アガペーの女』(2016年5月等)のレビュー>

https://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-12163217956.html

 

 

今回は、本記事の冒頭に書いたような事情から、長文

レビューではありませんが、以下、短評を書きます。

 

(2)

豪華なパンフに載っている解説文(浜崎紘一氏執筆)

は、「逆張り」を、「ここでは『春琴抄』の美しいストーリー

を逆転させてみたらこうなったという意味のようだ」と、

解釈していますが、私もそう思います。

 

で、「熱湯をかけられて醜くなったお琴の顔を見ないで

すむようにと、己の両眼を針で突いて盲目となる佐助

の想像を絶する自己犠牲的な愛情と献身の物語」(同

じく浜崎氏の解説文より引用)であるオリジナル『春琴

抄』を、どう逆転させたかと言いますと……。

 

(3)

まあ、有り体に言えば、倫理的にも刑法犯罪的にも、

まさに糾弾されるべき事件のオンパレードという流れ

で、お芝居は進んでいきます。

 

18歳年下の夫(彼の祖先の系図はまさに当時のセレ

ブ!)の美しい容貌のみを愛でて、夫婦生活を続け

ている初老の妻。

その夫には、もちろん若くてイイ女の愛人がいて、

かつ、そのイイ女はセフレとも言うべき19歳の青年

とも関係を持っている……というような、う~ん、東

海テレビ制作のドロドロ系昼ドラも負けてしまうよう

な(笑)、ディープな修羅場が展開していきました。

 

(4)

エキセントリックと言えばエキセントリック、狂気と

言えば狂気、「こんなこと絶対起こらない…」と言

えば「まあ、そうだよね…」と返答したくなる、そん

なシーンばかりでしたが、でも、結局は、「各登場

人物なりの”至高の愛”の形を、全て舞台上に呈

示してくれた戯曲なのでは…」と、私自身は解釈

した次第です(^人^)。

 

(5)

だからといって、陰惨かつ凄惨な空気感だけが

支配していた舞台ではありませんでした。

 

男優女優とも顔は白塗りでしたが、特に男優の

場合、ちょっとゴールデンボンバーさんのような

風情で、思わず笑ってしまいましたし、年上妻役

の伊藤一美さんが終盤で歌った♪竹田の子守唄♪

には、流産してしまったわが子を念頭に置いたと

いう「位置づけ」を越えて、子守唄が醸し出す純粋

な哀愁を感じ取ることもできました。

 

 

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キャスト全員プラス、薩摩琵琶奏者の清水えみこ

さん(右端)です。

また右から二番目が、若い愛人役を演じた鷹野

百江さんです。

 

 

IMG_20170703_165103.JPG

 

 

ワタクシ的には、年上妻役の伊藤一美さんの演技

が、今回は出色だったように感じましたv(^-^)v。

 

歳を重ねると、人間には色々な「醜さ」が発生して

きます。その「醜さ」を、あるいは、その「醜さ」から

生じた「変形した愛」を、伊藤さんは上手に表出し

ていました(o^-')b。

 

 

以上、~その1~は、ここまでとします。

 

役者面会時のご丁寧な対応に、心から感謝申し上

げます。

 

 

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