高校野球地区予選ですが、わが勤務校は、残念ながら
負けちゃいました(涙)。
あとは、もう少しで夏休みでございます。

では、遅くなってしまいましたが、佐藤佐吉演劇祭2014+
参加作品でもある、桃尻犬さんのお芝居のレビューを、
お届けします。



■ 今回の観劇データ
『愛ヲ避ケル』(桃尻犬夏の公演)(作・演出 野田慈伸)

【2014年度 観劇通し番号 No.30】

【2014年度 上半期(4月-9月)観劇通し番号 No.30】
【2014年 観劇通し番号 No.49】 
【鑑賞日 2014年7月12日19:32-21:13】
(於 王子小劇場)
※ なお、タイトルの読み方は、『愛ヲ避(さ)ケル』では
なくて、『愛ヲ避(よ)ケル』です。


※ 1番の整理券ゲットは、久しぶりでしたが……。

■ 相変わらず野田慈伸氏ワールド全開です(^_^;)
○はじめに
今回のレビューを書くにあたって、最初に断っておきます
が、上演台本は購入しませんでしたので、台詞等に関す
る細かい分析はできません。

それから、「木」の考察はせず、「森」的な考察をしてみた
いと思います。
で、その理由ですが、野田慈伸氏(桃尻犬主宰)の創る
お芝居は、結局、ミクロ的考察ではなくマクロ的考察が
フィットするように、思うからです。

このお芝居でも、モチーフ(後述します…)に関しては、
まあ、まともなんですね。

が! 登場人物はマスターベーションをおっぱじめるわ、
ダッチワイフは持ち出されるわ、ラストシーンでは全員で
やけくそのようになって食べ物をお互いにぶつけ合うわ
(舞台上はもうドロドロベトベト、出演者の髪の毛や洋服
等もベッチョベチョ……)、ザーメン(精液)を象徴するロ
ーション系液体を頭から浴びせられる役者もいるわ……
等々、まあ、かなりハチャメチャ度が高い、オイタが激し
いお芝居です。
私は学校の先生なので、わかりやすい喩えで言えば、
<PTAの皆さんから子どもに見せたくないと絶対言わ
れてしまうこと必至のお芝居>(笑)ではあります。
(だって、「食べ物を粗末にするなんて言語道断!」なー
んて、絶対に言われそうですものね(>_<)……。)

したがって、まあ、観劇中、観劇後に観客が受けるイン
プレッションも、笑えると言えば笑える、でも、えぐいと
言えばえぐい……という辺りが、平均値(笑)でしょうか。
(犬と串さんもかなりの「ハチャメチャ系犬串ワールド」を
展開する演劇集団ですが、桃尻犬さんよりは、ミンティ
アを食した後のような(笑)刺激的爽快感がもう少し漂う
ように、私は感じるのですが……。)

ただ、誤解なきように申し上げておきますが、上述した
ことは批判的コメントではなく、むしろ野田ワールドに
対する褒め言葉なんですよ!
つまり、舌先にいつまでもえぐい味覚が残り、毒物では
ないけど得体の知れない山菜のような怪しげな食感(笑)。
この感覚こそが、野田慈伸ワールド=桃尻犬さんの真
骨頂なんです!

で、もっと言えば(さらに笑)、繊維質豊富な山菜を食す
とお通じが良くなるように(笑)、桃尻犬さんのお芝居に
は、ストレスフルな現代人の精神をデトックスする効果
があるのでは……というのが、ワタクシの見解です(^_-)。
ただ、くどくて申し訳ありませんが、味覚も食感も、なか
なかのもの(笑)ですけどね……。

○では、このお芝居のモチーフと言えば……
「一番大切なものは
やっぱり愛だと思うんだ
って言ってくる人が
理不尽なすごい不幸な
目に合うお話。」

これが、このお芝居のチラシに記されているコピーです
が、確かに、まあ、最終的にはこういう話(笑)です。

「牛タン病」(笑)という奇病が、まず示されます。
曰く、「この病気は愛のあるセックスのみで感染する」と。

で、この疾病の罹患者は、そうですねー、食欲や性欲
等の、いわば人間の根源的な欲望が激しくなり、かつ、
その欲望を抑制することが困難になります。
あるいは、その欲望を満たすための手段が粗野になり
ますので、例えば食べ方が意地汚くなったり、食べ物
の扱いが雑になったりします。

でも、社会福祉の立場から、牛タン病患者が製造する
段ボールだからこそ、高値(8,000円というプライスが
劇中では語られましたが……)でも購入してくれるとい
うサイクルも、社会には成立しています。
そういう段ボール製造工場に巣くう怪しげな人々の
珍妙な行動と怪気炎が、ある時は激しく、またある時
は敢えて淡々と描かれていきます。

で、この項の冒頭で紹介したコピーのように、「一番大
切なものはやっぱり愛だと思うんだって言ってくる人」
が、この段ボール工場に絡んできます。
「全国愛にリボンをかけよう会」(笑)なる慈善団体の
男ですが、この男、確かに、徹底した「正論男」です。
曰く、
「牛タン病患こそリスペクトされるべき」
「人は全体の奉仕者である」
……等々です。
つまり、「愛あるセックスによって感染した牛タン病患者
は、ある意味崇高な存在であり、だからこそ尊敬の念
を抱くべきだ」的理屈ですかね。

ところが、この男に対して、段ボール工場のメンバー
等は、爽快なくらい本気で(笑)、ひどい仕打ちをする
のです。ザーメン(精液)を象徴するローション系液体
を頭から浴びせたりもします。
つまり、「正論というものはとにかく叩くべきである」的
テーゼも、示されるわけです。

○「正論」を揶揄することの大切さ(笑)とは……
私は、民主主義社会とは、「正論」(特に権力者サイド
の「正論」)を鵜呑みにしない社会だと考えています。
いや、もっと言えば、権力者サイドの「正論」は、かなり
疑いを持って吟味し、徹底的に揶揄すべきとも、考えて
います。
だって、そうじゃないですか!

あんなクソみたいな下劣なヤジをとばすレベルの議員
(まあ、こいつらも権力者サイドの人間ですよね……)が
語る「正論」なんて、マジで聞く気になりますか??
なりませんよね!!

……ということで、<PTAの皆さんから子どもに見せた
くないと絶対言われてしまうこと必至のお芝居>という
側面を有しつつも(苦笑)、「正論」(特に権力者サイド
が偉そうに語る「正論」)を揶揄することの大切さ(笑)
を強調してくれたこのお芝居、ワタクシ的には、佳作
舞台だったと評価させていただきます(^_^)v☆。

■ ☆堂本佳世さんの面会時画像です☆



この度、堂本さんは、ついに□字ックに正式に加入されま
した(拍手!)。

「まるで同棲生活を経て、結婚するときのような、不思議な
気持ちです。そして急に家族が増えたような、心強さも感じ
ています。
沢山の出会いを貰ったこの場所で、根を張り、
花を咲かそうと思います。
更に沢山の出会いが生まれる
場所となるように。」

□字ックの公式サイトに掲載された堂本さんの挨拶文
ですが、いい文章ですよね(^_^)v。
堂本さんは、□字ックさんの多くの作品に客演していま
すので、それが「同棲生活から結婚」という比喩で表現
されているのでしょう。
□字ックさんとの「結婚」というケミストリー(化学変化)に、
大いに期待しています。

すみません、□字ック加入のことばかり書いてしまい
ましたが、堂本さんは桃尻犬の舞台への客演も多く
経験していますので、今回も、野田ワールドをさりげな
く、でも、しっかりと構築する一員としての役割を、果た
していました。

最近の堂本さんの舞台を観ていると、やや抑えた感じ
の演技が基調になっているように思えます。
スタイルが良く舞台映えする美貌の持ち主ですから、
妖艶系やプチエッチ系で、フェロモンをしっかりとまき
散らすような役柄などは、まさにはまり役です。
が、前回の舞台(
『荒川、神 キラーチューン』)の教師
役といい、今回の作業員役といい、心の内面の微妙な
揺れ動きをきちんと創出する演技の方が、最近は目立
っているように、私は感じました。

観客がまずナイスバディの方に目をやってしまう…とい
う「事態」だって、女優として決して悪くないアピールポイ
ントだと、私は思いますし、もちろんこれからも、堂本さ
んにはそういう役柄を演じ続けてほしいです。
でも、ここで一つ川の流路が変わるように、堂本さんの
ナイスバディ云々といった要素にあまり惑わされない水
(笑)の方に観客を導いてくださったとしたら、これは
また、女優堂本佳世の新たな魅力かと、考えます。
そんな兆しが感じられた、堂本さんの演技でした。

ワタクシの文章力の無さから、非常に抽象的な内容の
叙述になっていることは重々承知していますが、やはり
演劇はライブアートですので、どうぞ、演劇ファンの皆さ
ま、劇場にお運びいただいて、堂本佳世の演技の「変化」
を、とくとご覧になってくださいませ。



「御来場ありがとうございました! 牛タン病予防に
どうぞ」と記されたカードと、マスク、バンドエイド、
くまモン除菌ポケットウエットの予防セット(笑)です。
堂本さんのユーモアあふれる来場プレゼントに、
感謝です(^_^)v☆。
んにしても、くまモン、可愛いですよね(^_^)。

堂本さんが出演する9月の□字ック番外公演も、
楽しみです。

【参考】
[桃尻犬の公演に関する過去の記事]
<『乳首鎹(ちちくびかすがい)』(2012年1月)のレビュー>
http://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-11143600665.html
<『秋の霧、龍にまみれ、居心地がよく』(2012年9月)
のレビュー>
http://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-11350862356.html
<『キャンベラに哭く』(2013年6月)のレビュー>
http://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-11569270366.html
(ただし、この作品以外の短評レビューも含まれた記事です。)

[堂本佳世さん出演舞台に関する過去の記事]
<『乳首鎹(ちちくびかすがい)』(2012年1月)のレビュー>
http://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-11143600665.html
<『死と再生とテクノに』(2012年4月)のレビュー>
http://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-11219403889.html
<『鬼畜ビューティー』(2012年6月)のレビュー>
http://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-11275396295.html
<『ロボット』(2012年9月)のレビュー>
http://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-11344546688.html
<『秋の霧、龍にまみれ、居心地がよく』(2012年9月)
のレビュー>
http://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-11350862356.html
<『キャンベラに哭く』(2013年6月 ・ 『ミニスカーツ』(同7月)
のレビュー>
http://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-11569270366.html
(ただし、この2作品以外の短評レビューも含まれた記事です。)
<『クイニーアマン~言いたいだけ~』(2013年8月)のレビュー>
http://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-11597200537.html
<『312』(2014年2月)のレビュー>
http://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-11778152390.html
<『リーガルハイハイ』(2014年4月)のレビュー>
http://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-11835562930.html
<『荒川、神 キラーチューン』(2014年5月)のレビュー>
http://ameblo.jp/hitoe-eri/entry-11854576182.html

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