関東地方も、1/23の夜半から降雪の予報ですよね。


この不思議な題名のお芝居を観に行った1/21の土曜日も、

寒い日でした(>_<)


劇場は、またまたの王子小劇場。


この日は駅近くで火事があり鉄道のダイヤが大幅に乱れ

ましたが、劇団の制作さんからはその対処方法を記した

メールがきちんと届くなど、観劇前から好印象の「桃尻犬」

さんでした。

(「桃尻犬」=「ももじりけん」と読む演劇集団です。)


劇場の(ほぼ)筋向かいに、「ほりぶん」という超レトロな、

まさに「昭和時代のスーパーマーケット」があるんですが、

ここでタイムサービスの和歌山ミカンを購入してからの観劇

でした。

←ここは、「オマエは主婦かよっ!」って

 ツッコムところですよ~Σ\( ̄ー ̄;)



■ まず、この「乳首鎹(ちちくびかすがい)」というタイトルについて



チケット半券と、なぜか、カブトムシです!!

「なぜカブトムシ??」 については、以後の本文を参照

してください。

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「乳房」とか「乳首」とかは、もちろんエロ系、H系に使用される

可能性もある言葉ですが、同時に、「母性」を象徴する言葉で

もありますから、私は、それほどエロいお芝居ではない…と、

推測していました。


「(男女を問わず)乳首を撮影させてもらった人のチケット代

は1,000円とします(撮影は女性スタッフがします)」という、

「乳首割」(笑)が設けられ、その画像が受付デスク横に掲示

されていましたが、まあ、これも一種の「お遊び」ですよね(`∀´)


もちろん、伴田良輔(はんだ・りょうすけ)氏のライフワーク

とも言える「乳房ポートレート」に匹敵するくらいキレイな

画像も一部ありましたので、胸に自信のある(特に)女性

観劇者にとっては、マジでお得な割引だったかもしれま

せんが(^~^)…



■ 観劇前は、「こんなお芝居かな…」と、予想したのですが…


チラシに記された説明をそのまま引用すると、


お寺が実家の青年が、

兄が死んでそのお通夜とお葬式のために実家のお寺に帰省した先で

昔、乳首を愛撫しあった間柄の幼馴染みの女性と再会し、

お寺の跡継ぎ問題や

お金の問題、檀家の問題とか話しながら、

死んでしまったお兄ちゃんのことを思い出す

乳首が紡ぐお話。


となります(改行等もすべて原文通り)。


つまり、お寺を舞台とした、


・乳首を中心とした「ウィタ・セクスアリス」的(性の目覚め的)

要素を基調とした


・残された人々による「会話劇」


だと、思ってたんですね、観劇前は…



■ ところが、お芝居が始まると…


「お寺の本堂裏の和室」といった感じの舞台セットが

組まれ、それ以外の場面転換はありませんでした。


したがって、舞台セット的にはオーソドックスな感じで

したが、それ以外は、いや~、(エロさと言うよりは)

色んな意味でブッとんでいるお芝居でしたよ(ノ゚ο゚)ノ


で、そうなった理由は、次の二点かな~と、推測しました。


ひとつは、出演者が若い役者さんばかりだったからです。


で、もう一つの理由は、作者の野田慈伸氏のご実家が

現にお寺だそうですので(「当日パンフ」のあいさつより)、

彼の「自伝的要素」を踏まえた一種の「妄想譚(たん)」

として構成されたから…だと、私は考えました。


では、以下、具体的に説明します。



【どんなところがブッとんでいるかというと…(1)】


誰かが亡くなった…という事実が発端のお芝居の場合、

残された者が集っての会話劇で、まるであぶり出しの

ように、ジワジワとその死者の人となりを浮かび上がら

せる…という手法の筋書きが、ひとつの典型的なパタ

ーンかと思われます。

(例えば、2011年7月に上演された「11のささやかな嘘」

というお芝居は、このパターンでした。)


が!


このお芝居、登場人物は皆、怒鳴るわ、キレるわ、唾は

飛ぶわ、顔は真っ赤になるわ、その結果、サウナ以上に

汗ばむわ…という、まるでジェット機が逆噴射する時の

わけのわからんエネルギー噴射のような、すさまじい

迫力に満ちた、ブッとんだ舞台でした( ̄□ ̄;)!!


【どんなところがブッとんでいるかというと…(2)】


お寺の次男 照一 と、彼の幼馴染みである まり の間の、

乳首を愛撫しあったという、「ウィタ・セクスアリス」的(性の

目覚め的)関係。


これは既にチラシ等でも示唆されていました。


で、それにプラスして、亡くなった照一の兄(僧侶の陽照)の

生前の言動が暴かれてくる…というのが、このお芝居の眼目

だったように思います。


が!


「言動」というよりは、むしろ特異な「性癖」が暴かれてくるの

です。

例えば、修行仲間との男色(ホモ)関係、乳首とそれに絡んで

くるカブトムシへの宗教的執着と性的変態的執着…等々も、

どんどん明らかになってきます。


かといって、ポルノ映画を劇場で見ている時のような気恥ずか

しさを観客が感じることは、ほぼ皆無です。


なぜか?


やはり、若手俳優さん達の、エネルギー持て余し気味的な、

喩えて言えば、フェーン現象でカラっとした熱風が山を下り

平野の温度を上昇させてしまうような「空気感」が舞台を支配

しているため、結構変態チックなお話しでありながら、淫靡、

淫乱というアングラ劇的雰囲気は完全に駆逐されていたか

ら…でしょうね(`・ω・´)ゞ


【どんなところがブッとんでいるかというと…(3)】


でも、帰宅してからもう一度上演台本を通読し、少し冷静に

なって舞台を振り返ってみると、エロチックな設定もそれな

りにあったことに、気づきました。


冒頭のカブトムシ模型の画像を、思い出してみてください。


舞台の後半、押し入れから舞台にこのカブトムシ模型が

ドサっとばらまかれます。出演者全員とは言いませんが、

出演者数名だったら生き埋めになってしまうほどの量が

ばらまかれ、一部は客席最前列まで飛んできてしまい

ました。

(すみません、私は、足下に転がったカブトムシ3つを、

記念にもらってしまいましたがm(_ _)m…)


でも、カブトムシ模型の中に女性が埋まってしまう場面

など、やはりちょっと淫靡な風景ではありますよね。。。


それにプラスして、10歳の頃、互いに乳首をまさぐりあった

例のまりちゃんの胸をお寺の次男がはだけると、彼女の

乳房が「カブトムシの角」に変わっていた…という、これまた

エロチックというか、やや猟奇的な場面が、舞台終盤で現れ

ます。


しかも、その角からは樹液(ゼリー状のかなり粘ついた液体)

がどんどん出てきて、それを吸おうとする役者の顔を汚し、

舞台にも垂れてべっとりと付着するんです。


これ以上は書きませんが、あたかも「口唇…」を連想させる

ような、これはフロイト的なエロティシズムでしょうかね。。。

(ちなみに、下の画像をご覧いただくと、「カブトムシの角」の

イメージがつかめますよ~( ・(ェ)・))



上演台本に掲載されたイラストです。


まり役の堂本佳世さんは、本当にこんな「カブトムシの角」

形状ブラを着用しての大熱演でしたヘ(゚∀゚*)ノ

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【どんなところがブッとんでいるかというと…(4)】


と、色々書きましたが、最後に、ちょっと大衆演劇風テイスト

の演出についてふれます。


これは関西の劇団(例えば「石原正一ショー」)などではよく

観られる手法ですが、堂本さんに舞台で、ズバリ、


♪♪ aiko の「カブトムシ」 ♪♪ を歌わせてましたo(〃^▽^〃)o


こういう「温泉センター歌謡ショー」的演出も、私は結構好き

ですけどね( ̄▽+ ̄*)



■ 幼馴染みの女性役の堂本佳世さんについて


すみません。

レビューがだいぶ長くなってしまいましたねm(_ _)m


今回、「堂本さんの舞台が観たい!」というのも、観劇の大きな

動機の一つでしたので、終演後は、お話しをさせていただきま

した。


このお芝居では、性に目覚めた少女としてのまりちゃんも、

妖艶で淫靡な成人女性としてのまりも、きっちりと演じて

おられました。


v(^-^)v堂本さん、次回の舞台も楽しみにしていますv(^-^)v



☆ 堂本さんからプレゼントされたお手製のキーホルダー ☆

よく見ると、「あっ、カブトムシが…」いますよね( ´艸`)


大切に使わせていただきます。ありがとうございました。

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