どう?
私。
うまく笑えているかしら??
寮を一足出ると。
芝に霜が降りていた。
ジャミジャミ言う足元をすばやく交差させ、私はレッスン場へ向かう。
春といえどまだ寒い。吐く息も少し白く、重い。
当初主役を担うことになっていた彼女が足の靭帯を伸ばし、急遽代役が必要となった。
その、代役だって、決まったわけじゃない。彼女の足はそんなにやわではないと
本人も知っているが、この時期の故障は致命的といっていい。今からヨーロッパをめぐる公演を
数本抱えているわれらの団である。周囲がそれを許さず、
本日のオーディションの運びとなったのだ。
他劇団からも数人応募しているとのうわさも聞いた。
マネージャーはうまくはぐらかしていたけど。
それでも、私にもそのチャンスがある、と思うだけで、
この心の震えは何だろう?
希望というのかしら?
今日はとてもうまく踊れそうな気がしている。
そのためじゃないけれど、最近の減量もうまく行っているし
シューズの調子もいいし
もしかするともしかするかもしれない!!
そう、私はうまく踊ることができるの、ほかの誰よりも美しくステップを踏み
心のそこからその喜びを表現することができる。
ね、私はうまく踊ることができるの。