「悪いことはいわねがら、あすこん 島さいぐんでねぇ」
これを聞き、彼女は何を思ったのか。
おもむろに腕を振り上げ、頭上で定期的に左右に腕をブンブン振り始めた。
振り子がそうするように、中心から、均等な距離で。
口は小さく何かを唱え、両膝は同じ方向を向いて少し曲がったまま。
動きが止まったと思ったのも、つかの間。
その後同じ動きを、その他方角へ投げかけてゆく、
むしろ各種の神様へお収めするように
ただ周囲は圧倒されてしまった。しかし彼女の動きを、体を止めてジッと見られる訳もなく。周囲の空気は違和感としてぽっかり穴が空いてしまった。
「気に入らねば気に入らないで好ぎしたらええ。
せやけどな何が何でも」
「…帰って来にゃならんぜよ」
そういって、おばあは部屋に入ってしまった。
襖の影がゆらゆら揺れる。彼女は依然踊り続けている。
一定の速さと軽さを増して。