夏の色香を漂わす都会の喧騒を尻目に、私はひたすらとある事に思いを巡らせていました。

窓から見えるハイウェイも、目の前のブレンドも、いつも私が好んで傍に置いていたもの。

ここのキャフェに出入りし始めた18、19の頃にコーヒーと煙草を覚えた事。
マスターとの出会い。
この街に住み始めたのも同じ頃でした。

学生だった私は、此処でのアルバイトで過ごす時間をとても気にいっており、客の好みのコーヒーを良く暗記して居ました。

フルーツサンドイッチの調理に携われた事も、とても嬉しかったのを覚えています。

このキャフェに纏わる全てが愛しく思い出されます。例え私のエゴだとしても、このキャフェとマスターとの思い出はいつ思い返しても全て煌めきを放ち、宝石のように宝箱に溢れています。

そんなノスタルジックな気分に浸りたい時、キャフェにやって来るのです。
濡れた手で、宝石を掴む為に。
指からこぼれ落ちる宝石すらも愛おしい行為に没頭し、私は生きる気力を取り戻しすのです。