部屋には何も無い、イスや机が。

水を飲むコップすら置かれていない。


移動が楽なように、捨ててもいい布団だけ部屋においてある。

今ふと考える。これは布団といえるだろうか。引越し屋がボクの3年間を掻っ攫ってからは

部屋のカーテンを床に敷いて寝ている。


寒い。

もちろんだが寒い。


明日でここを出る。新しいアパートは東京で、手続きのミスで入居まで寝泊り出来ないのだ。

引越しが済んでからというもの、余り眠れて居ない。


引越しの日はトラックが行った後に、バイト先の後輩が邪魔しに来た。

疲れた体で差し入れの酒を飲んで居たら

いつの間にか寝ていて、起きたら殻の一升瓶が飲み始めた時からさらに二本増えていた。


誰かが来てすぐに出て行ったが、あまり良く覚えていなかった。

多分トイレが汚れているから、後輩の連れてきた知らない女が適当にしていったのであろう。

なぜ知らない女はあの男と一緒に居たのだろう。


本当にあまり覚えていない。むしろどうでも良い。



次の日は昼のバイト後、夜バイトが遅番で、帰りが二時ごろだった。

金もないし飯を買う気もおこらず一旦帰ったものの

持っていたタバコも最後の一本で

起きぬけに吸えないのは困ると思い、

駅前のコンビニに行くと近所に住む元カノの友達にばったり遭遇した。


その子の名前を思い出せないまま、二時間ほどコンビニの前で

元カノにしつこくストーキングしてきてた男の話で盛りアがってしまい、

なんだか良くわからない流れでその子が家にきたけれど、

着いた頃には朝が来ていて、何かが起こる前に眠気が勝って倒れるように二人で寝た。


そんなこんなで今日はぎりぎりまで寝ていたのでバイトに遅刻しそうになった。


やっぱり床が硬いからか、全く眠りは浅かったのに、

あの子がいつ出て行ったのかは覚えておらず、

むしろ名前を思い出せないままストーカー話にあれだけ白熱したなあ、

なんてのを朝起きて一番に思い出したのが

妙におもしろかった。


今気がついたけれど、タバコの箱が見当たらない。


バイト先では今日は吸っていない。

吸えないくらい忙しかった。


動きを止めると寝てしまいそうだったからちょうど良かったとも云う。


どうしてもタバコが無いのが気になって、

面倒だけど今からタバコを買いにいくか。

明日でこの街も最後だし、

今日くらいはもう少し起きていよう。