【舞台観賞】「それぞれの事情」(劇団アルターエゴ) | ヒトデ大石のなんとなくレポート置場

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2011年8月「ヒトデ大石のどんなブログにしようか検討中。」からタイトル変更。
ライブイベント、舞台観劇のレポートを中心に書いていこうというブログ。
以前はmixiが主戦場だったけど、今はこっちが主戦場(笑)

※この舞台は12/16~12/20まで行われた舞台で既に公演は終了しています。
 
12月に入って3本目。
自分にしてはやたら観劇のペースが多く、非常に驚いている昨今ですが……。
さて今月上旬は「初めまして」のところ2本立て続けに拝見しましたが、今回は比較的、お馴染みのところになります。
 
今回、お伺いしたのは劇団アルターエゴ「それぞれの事情」
 
劇団アルターエゴとは、声優などでお馴染み三ツ矢雄二氏主宰の劇団……って、このレポート読んでいる人なら、もう今更説明不要状態ですね(笑)
そんなアルターエゴですが、なんと今回が劇団創立15年にして、記念すべき60回目の公演となります。
今回は大きく「60回記念公演」の文字もパンフレットに踊っております。
60回記念……もうこれは某アイドルユニットの楽曲じゃないですけど「MATSURI」騒ぎで踊りたくもなりますわな(笑)
 
そんな訳で行ってきたのは、池袋・シアターグリーン BOX in BOX THEATER。
 
……シアターグリーン。
ええ。今年何度も足を運んで、お世話になりましたねぇ。
 
でも今回、何気に驚いているんです。
 
アルターエゴがシアターグリーン!?
しかもBOX in BOX!?
 
どうしてもこの劇団、恵比寿か下北沢のイメージが個人的には強いんですよ。
そうでなければ、大衆演劇系のホールとか……。
確かに前回拝見した「デイドリーム」は下北沢OFF・OFFシアターで小劇場の雰囲気バリバリのところですけど……。
 
ちょっと慣れない、池袋のアルターエゴ。
果たして今回はどんな舞台だったのでしょうか!?
 
公演終了後につき、ネタバレ有りのあらすじをば……。
 
 
 
加藤幸子(鈴木真仁・以下敬称略)はフリーのルポライター。
父、母、そして結婚を間近に控えた兄・信弘(林伊織)という、ごくごく一般的な家庭に育った。
 
そんなある日、小学校以来の親友の田中百合子(丸山彩智恵)から、渋谷への引っ越し、そして結婚パーティーの幹事をお願いされる。
だがその百合子の相手は、小峰理沙(小森知恵子)という女性……実は百合子はレズビアンだったのである。
衝撃の事実を知った幸子だったが、百合子と理沙の結婚を取材するという交換条件を提示し幹事を快諾する。
 
だがいざ同性婚を取材しようにも、普通の結婚すら立ち会った事すらない幸子は、身近な対象として兄・信弘、そして婚約者・律子(伊藤麻美)を取材する。
律子の結婚観に辟易し、あまり参考にならないとしながらも、百合子たちの結婚パーティーの準備、そして同性愛者の取材を続ける幸子。
 
……兄・信弘の結婚前夜……。
「二丁目」のある店に偶然、立ち寄った幸子。
その店は「女性お断り」の「男性専用」の店……そしてそこに居合わせたのは、兄・信弘と彼の恋人……三枝守(鎌田賢治)だった……。
 
兄・信弘の衝撃の事実を知った幸子。
長い事付き合っていた信弘に別れを突き付けられた守。
そして……自分を偽ってまで、女性との「結婚」に進もうとしている信弘。
 
……彼らの取った行動は!?そしてたどり着いたその答えは!?
 
これは決して一筋縄ではいけない、様々な形の「愛」を描いた作品……。
 
 
 
ざっとこんな感じですかね。
当日パンフレットでもありましたが、今回のテーマはズバリ「同性愛」
 
……三ツ矢氏、きわどいところ攻めてきましたね(汗)
 
まぁ個人的な所感はともかく……。
メインとなるのは、信弘と守の愛の行方。
それに周囲の人々を絡めて、様々な形の愛を描いていくというスタイルを取っています。
 
特に守とルームシェアをしている同居人たちも印象的。
余命短いガン患者で隣人の真知子(大森瑠偉)に求婚した隼人(池内健)や、家族に見捨てられた性同一性障害者に愛された秀介(篠原辰也)など……。
全ての登場人物ににハッピーエンドが待っていた訳じゃない。
だけど話の本線とは別にこうしたサイドストーリー的な筋も、非常に作りこまれていて見所は多かったと感じます。
 
またテーマがテーマだけにもっと繊細に扱うかと思われましたが、そんな事はなく大胆に切り込んでいました。
なので「同性愛」がこの劇中においては後ろめたいものでなく、非常に前向きに肯定するべきものとして描かれていました。
それ故、劇中ではところどころ笑いが盛り込まれており、いい緊張感の中、物語は進行していきます。
「同性愛」に対する捉え方は現実の世界と比べると、どこか理想を描いているようにも見えますが、まぁこれくらいでちょうどいいのかもしれません。
あまり重苦しく、また堅苦しい物を描いてしまうと、受け容れられるものもそうでなくなってしまうでしょうからねぇ……。
 
演出面も場面の転換でダンサーが踊っている裏で、セットが変わるスタイルを取っており、暗転などと比べると集中力もかける事なく、舞台にのめりこむ事が出来ました。
非常に丁寧かつ大胆に進んだ約1時間40分の上演時間。
テンポ良く進んだ舞台を、心の底から楽しませてもらいました。
 
 
 
さてここからは気になった出演者でも……。
 
なんと言っても、幸子を演じた「まじんちゃん」こと鈴木真仁嬢でしょう!
我々と同年代の声優ヲタなら、誰もがこの名前を知っていると思うし、多くのアニメでその声を拝聴している事でしょう。
正直言うと、その演技を観れただけでも感動もの!本当にうまかった!
また幸子という役柄もしっかりハマっていたし、まるで彼女自身が等身大の自分を演じていたのではないか?
そう錯覚するほどの良さだった。
 
そんな幸子の兄・信弘を演じた林伊織氏もやはり捨て難い。
この方の演技は何度か拝見していますが、相変わらずイケメンどころが上手い。
今回はゲイという難しい役どころでしたが、非常に繊細かつ大胆に演じていたと思います。
 
その信弘の恋人・守を演じた鎌田賢治氏も非常に好青年っぷりが出ていて良かった。
多分、ゲイという事を除けば本当に素敵な好青年。
過去に彼のノーマルな男性役を拝見した事があったかなぁ……次回はノーマルなところも観てみたいですね。
 
それと個人的には和夫の松尾竜也氏はその豹変っぷりに驚いた。
前作「デイ・ドリーム」では純粋そうな青年だったのになぁ……今回はバイを演じるとは……。
でもこういうギャップがあるから舞台って面白いですね。その好例だったと思います。
 
最後に今回のお目当て、垣田夕紀嬢。
まず普通に演技がうまいのは、もうデフォルトな感想なのですが(笑)
今回も人妻(一児の母)ですか……前回は幽霊だったけど、今回は生きている(笑)
前回がどこか神秘的な存在だったのに対して、今回はいかにも奥さん!って感じ(笑)
しかし垣田嬢、以前は娘役とかが多かったように思いますが、今年に入って少し大人びた感じの演技が色気と共に出せるようになりましたねぇ……。
いやこんな奥さんなら欲しいわ(爆)……と、ファンに怒られる発言をして彼女の今年一年の演技の成長を観れた事を嬉しく思うのでした。
 
あ、それと理沙の小森知恵子嬢と、式場係の村山希代子嬢……彼女たちが某ユニットの……初めて拝見しました。
(今回は舞台観劇レポートなので、敢えて語りません・笑)
しかし小森嬢は初めて拝見したのが、レズビアンだったので、次回以降、勝手にレズビアンと認識しないよう気をつけたいと思います(爆)
 
ちなみに今回拝見したのはダブルキャストのBキャスト。
幸子、信弘、守以外は違う出演者が演じているダブルキャストのAキャストもあった事も付け加えておきます。
 
 
 
こうして垣田嬢のおかげで今回も素晴らしい、アルターエゴの世界を満喫できました。
 
でも……今回の舞台を拝見して、どうしても主宰である三ツ矢雄二氏に劇中の秀雄(劇中の幸子・信弘の父で実はゲイ)という人物はもしや……と思ってしまうのです。
もしやあの登場人物のモデルは……でもきっと三ツ矢氏はきっと、こう言うのでしょう……。
 
 
 
「グレーゾーン!」
 
 
 
……実は観劇後、この単語が頭から離れませんでした……。
 
来年以降もアルターエゴ、楽しみにしています……。
 
・劇団アルターエゴ・公式サイト↓
http://alterego.loops.jp/home.html