※3/25~3/31公演。既に公演は終了しています。
35歳になって早くも半月経とうとしていたある日、観劇に行ってまいりました。
実はこれが35歳初の観劇。
お目当ては千葉の産んだ小さな大女優・長井柚嬢。
何故か誕生日の前後になると、彼女の公演があり、そして足を運ぶ自分。
何か縁ががるんでしょうか?(笑)
そんな訳で今回観劇したのは「前にならえ」という舞台。
主宰は劇団チキンハートという劇団なのですが、今回は本公演ではなく、プロデュース公演。
まずはこの劇団チキンハートについて簡単に説明するところから……。
主宰・遠山雄氏を中心に2011年4月に旗揚げ。
これまで4回の本公演を行っている。
さて今回はあくまで「プロデュース公演」という事で本公演では無いのだが……。
そんな訳で向かった先は阿佐ヶ谷。
阿佐ヶ谷というと、何度か足を運んでいるシアターシャインのイメージが強いが、今回向かったのは「アルシェ」という劇場。
まずこのアルシェ、ちょっと分かりにくい場所にある。
商店街を通っていて、狭い路地に入った場所にあります。
柚嬢がブログであげた道案内が無いとたどり着けなかった可能性もある(笑)
でもこういう狭い路地にある劇場はなんとなくこじんまりしていて、いかにも小劇場の臭いがして好きです(笑)
そんなアルシェという劇場。
初めての劇場なので簡単に説明。
地下にある劇場に通されるとほぼ正方形の空間が現れる。
自分が入ってきた出入り口の右側に椅子が並べられている。
会場は四方を真っ白に統一されており、真ん中に一台ポツンと置かれている電話が無いと遠近感がおかしくなったかもしれない。
開演10分前を目処に前説が始まり、いよいよ本編開始。
終演後につきネタバレ有りのあらすじ。
資金繰りが苦しいあるアイドル事務所が舞台……。
社長の田辺(小椋大輔・以下敬称略)の元に一本の電話がかかってくる。
それはCS放送で事務所のアイドルの卵……研修生達の合宿の様子を隠しカメラで追うドキュメンタリー番組を作るという電話だった。
更にその番組で人気投票1位になったグループは冠番組を持てるという特典までついている。
社運の起死回生を目指し張り切る田辺と、アイドルの卵ともいえる研修生達。
しかし番組の視聴率は思うように上がらず、やがてディレクターの内山(齋藤優)は田辺に「やらせ」とも言える演出を仕掛けるようもちかける……。
当初は研修生達をうまく乗せていた田辺だが、やがて疑問を抱く研修生達。
その最中、起こった一つの事件、そして番組打ち切りの一報……。
果たして事務所の運命は如何に!?
アイドルの卵たちの明日は如何に!?
……そんなあらすじ。
まず所感。
個人的には好きな系統の物語。
インディーズとは言え、アイドルが好きな人間としては、アイドルを取り扱う系統の題材はどうしても楽しみで仕方ありません。
内容的には古典的なサクセスストーリー路線。
底辺から高みを目指すという、分かりやすい展開。
最後のオチもお決まりのどんでん返しという感じで、一通り基本は踏襲していると思いました。
ただ演出面では一工夫必要かと。
前述のように古典的なサクセスストーリーなので、読めてしまうんです。
だから物語の流れは非常に単調。
本来もっと盛り上がっていいところで、盛り上がり切れなかったり、メリハリが無かったのは残念だし課題だと思います。
また物語のテンポが微妙に早くて、登場人物一人一人の感情に移入できる間を与えなかったためどうにも登場人物に魅力を感じませんでした。残念。
あと暗転に安易に頼りすぎ。
時間の経過を現すのに、主に暗転が使われていましたが、ああも暗転が多いと見ている側としては集中力が途切れてダメです。
ただこの辺りは、もっと突き詰めれば、もっと良くなるはず。
取り扱っている題材はいいので、この点は頑張って欲しいところだと思いました。
でも今回、それ以上に苦言を呈したいのは制作サイド。
まずパンフレット。
出演者紹介のところで、役者の名前がフルネームで書かれていないんです。
全員、苗字のみ。これではせっかく興味を持った出演者をインターネットなどで検索しようにも出来ません。
実はあらすじで書いている出演者の名前も、公式サイトなりでこの公演の情報を検索して、調べましたから……。
出演者に対するリスペクトを感じないこの姿勢は興ざめしました。
そして席の案内。
この公演は自由席だったんですけど、スタッフが「前の方からお座りください」とか、開演前には奥へつめるように案内しました。
ただ通常これはありえないかと……。
自由席なら客としては各々、好きな角度で、好きに舞台を観たいと思うのです。
それを強制されるあたり、非常に腹立たしいったりゃありゃしない。
幸い自分は席を移動しないで済みましたが、席移動する事になったお客さんはどう思ったんでしょうね……。
正直言います。制作など裏方に関しては最悪。
気分が非常に悪かったです。
上演時間は1時間20分。
これで前売2,800円……。
舞台の内容だけなら若干高いけどまだ妥当だと思います。
……が、この制作サイドの対応から正直言って割高。
恐らくここ数年、観劇していますが、これほど制作サイドに怒りというか呆れを感じた舞台はありませんでした。
そんな中でも、いいと思った出演者の方はいます。
主人公の早坂千夏を演じた安野舞桜嬢は非常に良かった。
パンフレットを拝見する限り、これが初舞台という事ですが、そうとはとても思えませんでした。
ただ彼女の演じた早坂千夏がとっても性格が悪い女の子(苦笑)なので、次回はもっといい娘を演じたところを見てみたいと思います。
でも千夏というキャラがほぼ終始、ぶりっ子で腹黒さ中心に描かれていなかったので、脚本はもっと彼女をかわいらしく見せる脚本を用意して欲しかった……。
あとは小野寺を演じた酒井千寿氏のキャラは立っていた。
いや男性なんだけど、女性ね(笑)
一歩間違えればただのオネエになるところを、見事にリーダー格として演じきっていた。
次回はバリバリの男役を拝見したいと思います。
そしてお目当ての長井柚嬢。
演じたのは野田という新人アイドル。
前述の小野寺と、井本(清水梓)と3人でユニットを組んでいます。
井本と常に同じジャージを着ており、先輩・小野寺と共にトップアイドルを目指すという役柄です。
第一声としては、安定した柚嬢の演技が見れたのは良かったです。
今回の出演者の中では、明らかに演技が上手い部類に入りました。
ただ柚嬢には申し訳ないけど、新たな一面というのは無かったかな……こればかりは脚本の課題なので……。
でもこれからも舞台を演じる機会は多いと思うので、これからも頑張って欲しいと切に願います。
……そんな訳で35歳初観劇はダメ出しの嵐でしたが(笑)でもなんだかんだ言って、楽しませてもらいました。
とにかく制作サイドは頑張ってもらいましょう!
・劇団チキンハート・公式サイト↓
http://www.g-chikenheart.net/