イタリアを代表する世界的ブランド「ドルチェ&ガッバーナ」のスーツとシャツ、袖口からのぞく時計はフランクミューラー幻の名器「7000QPEダブルフェイス」。中年向けのファッション雑誌「LEON」のモデルのような容姿からは、文字通り“ちょい悪おやじ”のにおいがプンプンする。

 

 営業マンには異質なファッションスタイルだが、世界屈指の高級車メルセデス・ベンツを23年間で2500台以上売った実績は他を寄せ付けない。平成6年から15年まで10年連続で、日本でのメルセデス年間販売台数ナンバーワンを誇った。現在の年収は上場企業の役員クラスと同じくらいだ。

 

 「結果は後からついてくるもの。1台売れたらもう1台と積み重ね、『もう少し』『あと少し』と決して満足しなかっただけです」

 

 実際、トップになることよりも維持することのほうが大変だった。にもかかわらず、トップの座に居続けることができたのは、現状に満足せずに高い目標を立て続けたからだ。

 

 「次は2番にどれだけ差をつけるかが目標になりました。どの業界でもトップ以外はビリと同じなんです。人に負けたくない。見下されたくないとの思いがどこかにはあります」

 

 プレッシャーをかけて自分自身を追い込んでいく。ブランドで身を飾ることも自分へのプレッシャーだ。

 

 「こんな格好していて売れなかったら、ただの笑い者じゃないですか」

 

 何気なく口にする言葉のひとつひとつにトップセールスマンとしての自信がのぞくが、本人いわく「入社当時はダメ社員」だった。

 

老舗の海苔(のり)問屋の次男に生まれた。たばこ、けんか、暴走族…。4年かかって高校を卒業した後は趣味のサーフィンにのめり込んでいた。「父親が持っていた土地にビルを建て家賃収入を得ながら楽に暮らそうかな、なんて考えていました」

 

 現在も勤務する「メルセデス・ベンツ麻布」(東京)に就職したのは、サーフィンに次いで興味があった車だったから。しかも完全なコネ入社だった。

 

 当初は社長の運転手。その後はメカニックの担当になるが、スパナを握ったこともない門外漢で仕事に興味が持てなかった。「朝になると『今日は休みます』と電話して、週に3日ぐらいしか出勤せずサーフィン通いでした」

 23歳のとき、転機が訪れた。いつものように連休を取って静岡・伊豆にサーフィンに出かけた翌日、出社早々、社長室に来るように呼ばれた。

 

 「ついに解雇か…」。そう思いながら社長の前に進むと、意外なことを告げられた。「セールスをやってくれ」

 

 自分の会社の従業員は100人ほど。メルセデスの販売では最大手の「ヤナセ」が全国展開し、人員、設備などすべてにおいて圧倒的に勝っていた。

 

 「自分と違って大卒や毛並みの良い営業マンを目の当たりにし、負けたくないという思いがありました」

 

 努力の結果が数字に現れる。負けず嫌いの性格も営業という仕事に向いていたのだろう、10年後には初めて全国でトップに立った。

 

 メルセデスAMGの最高級グレードの価格は約3000万円。それを何台も売る営業術とは-。

 

 「最高級のメルセデスは車自体がよいので、極端な話、自動販売機で販売したって売れる。特別な営業術はいらないんです」。さらりと語るが、根底にあるのは「最終的には客側の立場に立つ」というサービス精神だ。

 

 メルセデスの「スリーポインテッドスター」マークをアニメキャラクターにしたいという顧客の要望に応えたり、顧客同士がビジネスパートナーとなる仲介をしたり。毎日70~130本かかってくる顧客からの電話には、遊びの誘いやさまざま相談ごともある。

 

 取材当日のこと。悲しそうな表情で上品な婦人とその家族がショールームを訪ねてきた。取材を中断し、婦人らと10分ほど話して戻ってきた彼の表情は曇っていた。長い付き合いの顧客が亡くなり、婦人はそのことを直接伝えに訪ねてきたのだという。

 

 セールスマンと顧客という垣根を越えた人間関係。トップセールスマンの神髄を見た気分だった。

 

 セールスはサービス業だと言い切る。車を売れば終わりでなく、売ってからの関係が重要だ。彼自身にとって、サービスとは「これでいいというものはない『無限の追求』」という。

 

 「かゆいところに手が届くのでは遅い。かゆくさせない努力が必要なんです」

 そんな努力をまったく感じさせないところもまた、彼自身のスタイルなのだろう。


就職・転職アドバイザー「HITO-YA」-転職・就職無料相談ブログ-bentu

(2009年1月6日 MSN産経ニュース


 

【HITO-YAのHITO-KOTO】

 

HITO-YAは車が大好きです。

 

運転免許を取得して中古車、新車、国産車、外車などなど現在の車が7台目!

 

そんなHITO-YAが憧れる営業マンの一人がこの吉田満さんです。

 

彼の話を本で読ませていただいて「これこそ本当の営業マン」だと痛感しました。

 

おそらく彼はメルセデスの営業マンではなく、

トヨタや日産の営業マンだったとしても必ずトップセールスマンになっていたと思います。

 

車以外でも営業の仕事というのは物やサービスを売るのが仕事だと思っている人が多いですが、

本当の営業の仕事はクライアントのニーズにどれだけ応えられるかということ。

 

それが自社の商品やサービスの販売に直接的につながらなかったとしても

それでクライアントの満足度が向上すれば必ず数字はついてきます。

 

頭では理解しているつもりでしたが、

この吉田満さんの本を読ませてもらって久々に初心に戻った気持ちが今も忘れられません。

 

営業の仕事をしている人、これから営業の仕事に就こうと思っている人は

良いお手本になると思います。


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