アメリカの史実に基づく原作の映画化作品。
脚本、演出、役者がピタリと嵌り、3時間半近い上映時間を意識せずに圧巻のラスト劇へと収斂した。
悪魔は善人の顔をして現れる。
この世を生きる上で留意すべき事柄を思い知る時間でもある。
差別、妬み、欲、根源的情念の渦。
人の能力差で起きる悲劇、喜劇。
意識と無意識の織り成す世界は理不尽にできている。
個人だけに見えること。
全ての人が見えていること。
フクロウ、両性具有、、、、。
死にまつわるネイティブ・アメリカンの宗教的認識が、様々な象徴に姿を変えて登場する。
現世を超えた異なる時間、場所が瞬時に立ち現われて、嫌悪に満ちた息詰まる空間に静謐な風が通り抜ける。
嵐はパワフルなので静かに感じることが大切だとモリーは説く。
愛に満ちた美しい場所で、
正しく生き生きとした時間を過ごしたいものである。
監督の近、過去作「沈黙・サイレンス」と同質性を感じた。
深く、深く、記憶に刻まれる作品だと思う。
今年は巨匠達の素晴らしい新作が目白押しである。