入院から二日後、手術の日を迎えた。


息子と一緒に病室へ。

点滴はしてるけど、今日もとても元気な夫。

服をめくり、お腹の毛を剃ってヘソを掃除した印の◯のスタンプを見せてくれた。

他愛のない会話をしていると、オペ室の看護師さんが迎えに来た。術後ICUに持っていく荷物を確認し、オペ室へ。

歩いてエレベーターに乗り、オペ室前で夫の写真を撮って、手術室に消えていく動画も撮った。夫の希望で。看護師さんに撮っていいのか聞いたら、だいたいみなさん撮られます(笑)と。

いってらっしゃい!またあとでね!待ってるからね!とか声を掛けて、握手をして送り出した。

時間は9時だった。


家族で写真撮ったら良かったな…と後になって思った。でも術後元気になったらいっぱい撮れるし!と気を取り直す。


昼過ぎまでは電話が鳴りませんように、手術が中断されませんようにと祈った。

鳴らなかったので、院内のコンビニに昼ごはんを買いに行き病室で食べた。

食べてからソファーに横になっていたら寝てしまった。前日、全然眠れなかったから、ここで寝落ち。私と入れ替わりで、息子がソファーで昼寝。個室にして良かった。


17時に電話が鳴った。

医師の説明をオペ室横の小部屋で聞く。

9時〜17時に及ぶ膵頭十二指腸切除術。事前に聞いていた通りの時間で終わった。

開腹して目で見る限り、転移は無さそう。門脈を2センチ切って繋ぎ合わせた。事前にその可能性があると聞いていたから、戸惑いはなかった。

転移がなさそうというのと、予定通り無事に終わったという医師の一言でホッとして、何も質問が浮かばなかった。ありがとうございました。(この先も)よろしくお願いします。と言っただけだった気がする。


夫が麻酔から覚めるのを病室で待つこと1時間ほど。ICUに来るように電話が鳴る。

中学生の息子も面会OKだと。


面会は一人ずつなので、まずは私から。

手を触って(怖くてギュッとは握れなかった)頑張ったね!と声を掛けた。

もともと腰痛が酷い夫は、手術中の同じ体勢で腰が痛いらしく、看護師さんに腰を摩ってもらっていた。切ったお腹より腰の痛みが酷かったよう。

酸素マスク?薬のマスク?とにかく透明のマスクをしていて声も小さかったけど、会話はできた。


体力消耗する前に息子と交代。


息子はその時に父親の病気の重さを本当の意味で実感したようだ。

そりゃそうだよね、癌発覚後から今日の朝まで、ずーっといつもと同じお父さんだったもんね。

夫が病気と闘う姿を見せたかった。夫も私と同じ気持ちだった。

命の大切さ、健康のありがたさ、自分の生き方まで考えてくれたらいいな…と思った。

けど、そこまで深く考えていない我が子😐

だって、お父さん治るし!って。

だわな👍


一番複雑な気持ちになったのは、自分の足で歩いて手術室に消えていく夫の後ろ姿を見た時。

手術ができることは本当にラッキーなのだけど、こんなに元気なのにな…と何とも言えない気持ちはあった。

でも気持ち切り替え、先生、スタッフのみなさん、頼みます!!!!どうか無事に終わりますように、と願った。