アトランタの2週間は彼の友人家族のお宅でホームステイさせてもらうことになっていた。

わたしたちと同じくらいの世代だが、早めに結婚している二人には3人の子どもがいた。

約1ヶ月半前に2週間の夏休みをとって日本に来た彼は、わたしのステイ中、土日以外は休みなく働いたが、この子どもたちがいたおかげでわたしは退屈することがまったくなかった。

そして割と近場で働いている彼は朝、昼、晩とわたしに会いに来てくれた。


ところで、わたしたちは結婚を前提に付き合ってはいたものの、まだ婚約というものはしていなかった。

それまで、将来のことなど電話やメールなどで話していたもの、なんとなく照れもあり、あるときからわたしは「将来のわたしたちの家族」「わたしたちの子ども」という言い方から、「将来のわたしの家族」「わたしの子ども」というように言い換えていた。彼も気付いていただろうけれど、特に何も言わなかった。

ところがアトランタに来てからというもの、「子どもは何人欲しい?」「結婚後は、、、」と積極的なダーリンに少々プレッシャーを感じていたわたし。


あまりの早い展開に気持ちの整理が追いけなかったのだろう。なんと言い出すかわからなかったわたしはこの日のデートですっかりおとなしくなっていた。わたしの変化に気付いた彼は何があったのかと聞いてきたが、なかなか口に出せずにいた。そして、ついにわたしは彼に、

「まだ、準備できてない」

と言った。


ショックを受けただろうが、彼はわたしの言葉を優しく受け止め、それからは結婚や結婚後に関することは口にしなくなった。


感情に流されるのではなく、「よく見てくるのよ」と言った母の言葉をしっかりと心に留め、瞑想しているうちにわたしは眠りに陥っていた。



(続く)