僕は不思議な事を信じていますし
科学で証明できない事がこの世にある事も信じていますが、

自称霊能者には何人か怪しい人がいるのを知っております。


エンターテイナーとしての霊能者です。


霊能者というか、霊感あるあるサギ師です。


これからお話する自称霊能者は
話を広げすぎて嘘くさくなってしまうタイプの霊感あるあるサギ話です。




               『少女の霊』


あれは僕が20歳くらいの時でした。


住んでいる街が京都ということもあり
ちまたでは『怖場』と呼ばれる場所が沢山ありました。


簡単にいうと、幽霊がでるぞー!と噂される場所です。


若かった僕たちは、周りの友達の怖場ブームのビックウェーブに乗り、あちこちの怖場に出向いておりました。



京都産業大学?の近くに古びた木造2階だての廃墟がありました。


そこはよく幽霊が出るとよく噂されているスポットでした。



僕は過去に1度行った事があり、確かに不思議な事はありました。



ある男の提案で再びその建物に潜入しようという事になったのです。



その男はその場の雰囲気で『ニ枚目』というあだ名で呼ばれていました。
かなりの男前だという理由でさっき決まったんだとか。


しかし、僕から見るとあまりの男前さに『二枚目』では表現しきれないという事で

その倍の『四枚目』という謎のあだ名を授けました。

するとその男は
『怖場に行くのに四という数字で呼ばれるのは嫌だ』

と言ったので何故か『五枚目』になりました。


すると怖場探検には必要不可欠、
男のテンションを上げてくれるキャーキャーと騒いでくれる女の子達の内の1番ベッピンさんが言いました。


ベッピン『何枚目でもええわ』



男達は女の子の言うとおり何枚目でもええかと言う事で『~枚目』にしようという事になりました。


これを『まいめ』と呼びます。



ですが、それではあまりにも意味がわからないので響きが似ているという事だけで
『MY MEN』になってしまいました。


マイメンはとても嫌そうでした。


でも年頃の僕達は女の子がクスクスと笑ってくれたあだ名を採用しました。



あだ名がマイメンに決定した所で例の木造2階の廃墟に潜入する事になりました。



マイメン『俺ってさ、スゲー感じるんだよね。』


僕『急にエロい話すんなよ。』


マイメン『そうじゃなくってさ、ビンビン感じるんだよね。』


僕『下ネタやんけ。』


マイメン『ち、違うと言っているだろ!』



マイメンは冗談がさほど通用しない男でした。


僕『見えるの?』





マイメン『見えるよ。話もできる。』




僕『そんなマイメンと一緒に怖場にこれるなんてドキドキするやん!』




マイメン『マ、、マイメンって呼ぶな!』




マイメンはあだ名を気に入ってはいませんでした。



しかし女の子の1人が『マイメーン!』と呼ぶと、


マイメン『んー?なんだーい?』


と答えていました。


マイメンは女の子に呼ばれる事に関しては嫌では無い様子。



女の子『マイメーン、なんかね、音がしてるの、建物の中から!誰も入ってないよね!?私たちだけだよね!?』



マイメン『んふふ、じゃ僕が確かめてあげるよ、れ♡い♡し♡って言うんだよ。』


僕らのグループの男達は何故だかイラっとしていました。


男A『早く霊視しろよ、マメ。』


マイメン『マメでは無い!マイメンだ!』



自らをマイメンである事を認めてしまった様子のマイメン。


僕は本当にワクワクしてマイメンの霊視の結果を心待ちにしておりました。





マイメン『いるぅ、いるねぇ、いるんだねそこにぃ、、うぅーん』


何かと会話を始めるマイメン。



マイメン『ん?僕かい?僕はマイメン。』


自己紹介をし始めるマイメン。


完璧にあだ名、『マイメン』が定着した模様。



何分間か、廃墟の周りに立ち尽くす木々の葉が重なり合う音だけが僕らの耳に届いていた。


そしてマイメンは言った。



マイメン『少女がいる』



一同『!?え!?マジか、、』


女の子『えー!怖いぃ!もう帰ろうよぉ!』


マイメン『ふふ、大丈夫ぅ、悪い霊では無い、、走り回ってるけどね。』


確かに、なんだかガタガタと走るような、不思議な物音はしている様な、、



実際に不思議な事はこの場所で起こりうるので僕は信じて聞く。



マイメンは続けて言う。


マイメン『頭巾のような物をかぶっている』



僕『防空頭巾みたいな奴?』


マイメン『そぅっ!それだぁ。』


僕の心の中で映画『火垂るの墓』に出てくる非常に愛くるしい少女
『セツコ』のような子かなぁ?と思っていました。
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女の子『すごいねぇ!そんな事までわかるのぉ!?マイメンやるじゃーん』


マイメン『まあね♡』



マイメンはとても得意げでした。


僕は不思議な現象に興味があったので、そんな霊視ができるマイメンに対して崇拝にも似たような気持ちで接していました。


しかし男達は女の子の興味を全てかっさらう二枚目超えの五枚目ことマイメンにイライラしていました。


男B『じゃ何て言ってんだよ、その子はよぉ、何か言ってんだろ!?』


マイメン『にい~ちゃ~ん。って言ってるよ。』


僕『な、、(o_o)、、なぬ!?』


にい~ちゃ~ん。とはセツコの代名詞でもあるセリフなのです。


愛くるしくも、弱々しぃ声で兄を呼ぶセツコの声に心震えたものです。




ここから僕の中のマイメンの信用がどんどん地に落ちて行きます。



僕の心の中(そ、、それやと完璧にセツコやないかぁ、、ホンマかいな!?マイメンは火垂るの墓見たことないんか!?あるんか!?)



しかし僕の周りの男達や女の子は火垂るの墓をあまり覚えていないようで普通にマイメンの霊視に驚いていました。


男B『こ、こえーな、兄ちゃんに何か伝えたいんじゃないか!?その子!?』



マイメン『うーん、どうやら、アメが欲しいらしいね。』





僕『ま、、まさか、、(゚Д゚)、、!?』








                    マイメン

  『ドロップが欲しいらしい。』



僕の心の中(で、、出たー!!セ、、!セツコやぁ!!セツコ降臨やぁ!)



火垂るの墓の中でセツコが『ドロップ♫ドロップ♫』と言いながらはしゃぐシーンがあります。
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僕『おい、マイメン、防空頭巾の色は何色や?』



マイメン『んーー、ブルぅー』



僕の心の中(なんで英語やねん、、青でええやろぉ、、ぐぬぬ、、これは明らかな霊感あるあるサギやでぇ、、ぐぬぬ、、)



劇中のセツコの防空頭巾は青です。



マイメンは恐らく昔見た火垂るの墓の記憶があり、薄れゆく記憶の中でセツコの特徴を覚えていて、それをそのまま採用してしまったのでしょう。



さすがに女の子達もここまで来ると火垂るの墓が頭に浮かんできたらしく、
シラーっとしておりました。



程々にしておけば素敵な能力者として今後も過ごせたであろうに、話を広げすぎた為、マイメンはかなりの男前にも関わらず女の子の気持ちもGETできずにその夜の怖場探検はお開きとなりました。


僕はそれからマイメンに会った事はありません。


みなさん霊感あるあるサギにはお気をつけください。




おわり。