「地の果て 至上の時」感想 | 弱い犬ほどよく吠える

「地の果て 至上の時」感想

中上健次「地の果て 至上の時」(小学館文庫)読了。


よーやく読了。休み休み、1ヶ月くらいずっと読んでた。時間かけすぎ。
この本自体読みにくいってのもあるんだけど
最近昼休みに本読んでなかったという個人的な事情が主。


「岬」「枯木灘」に続く秋幸の物語の完結編。
龍造と秋幸、ふたりが迎えた結末とは。


土地、血、父殺し、信仰、依存と支配、歴史、天皇、戦後の日本社会、
ありとあらゆるいろんなテーマがつまってて
色々なんだけど多分全部ひとつで。濃厚な1冊。
最初ちょっとたるかったんだけどだんだん面白くなって
読み終えた今は大満足。
すごい傑作だ! と思ったんだけど
解説読んだら世間の評価はそんなでもなかったっぽい。何故だ。
文学批評の世界はよくわからん。
今日本語読める人なら全員読んどいた方がいい、
級の作品だと思うけどな。
騙されたと思ってぜひ。
「枯木灘」はそんなでもないという方にもこっちはおすすめできます。


「枯木灘」の時から「体の大きい男」って描写がしつこくでてきて
なんでそんなにこだわるんだ小男じゃダメなのかって疑問だったんだけど
あとがき対談読んでようやく
あーこれ大陸の血の象徴なのかなーと思った。
韓流ブーム以来、韓国の俳優が日本でも紹介されるようになって初めて知ったんだけど
向こうの人皆体デカイもんなー。もちろん芸能人は一般より上なんだろうけど
しかしでかい。どうも平均身長そのものが大きいっぽい。
(というか世界的に見れば日本の平均が小さめなんだろうけど)


自分がどの程度この本を理解できてるのかといえば半分も読み解けてないと思うけど
それでもすごく面白かった。
「枯木灘」の時とは違って解説も単純でわかりやすかった(笑)
(ちなみに「枯木灘」のむずかしい解説は柄谷行人。今回のはすが秀実)