「我が愛しのワトスン」(マーガレット・P・ブリッジズ著 春野丈伸訳 文藝春秋)




(Amazon.jpより)

わが愛しのワトスン/文藝春秋
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上の画像にあるように、シャーロックは実はルーシーという名の女性だった!!!というのがこの話です。

語り手はホームズです。養蜂場でひっそり書き上げたらしいです。


本当は我が愛しのホームズと同時期に読んだんですけどこんな遅くなっちゃいました。←


最後までワトスン殴りたかったです。いや、今も殴りたいです。←

そして最後、ガチ泣きしました。感動じゃなくて、ホームズが(この言葉をあまり使うのは好きじゃないのですが)可哀想で。悲劇です。
……でもちょくちょく笑えます←え



まずは冒頭の兄とのシーン。

「くそくらえよ!」と言ったルーシーに対して「そんな言葉をどこで覚えた?すぐ神に許しを請え

その後すぐ髪を切ったルーシーに「いったいぜんたい何をするつもりだ?神に誓って言え!」と叫ぶ兄。

いつからお兄様は凄い神の信者に?


コンスタンスが演技に向かうところでワトスンが「幸運を、コンスタンス」というと公演前に女優に幸運を祈るのは縁起が悪く、不運を祈るのが風習ということがわかり、脚を折れが決まり文句だと言われ、
「そう、それなら、コンスタンス、あなたの体中の骨がみんな折れてしまうことを心から祈るよ!」って微笑むワトスン。
いや脚を折れくらいなら分かるけど。。

そして「言う事と意味する事が違うなんて馬鹿げている」と突っ込むホームズ。おっしゃるとおりです。


ワトスンが、コンスタンスにかなり冷たくされたすぐ後、その彼女が投げたキスを手を伸ばし捕まえてハンカチで包んで胸ポケットにしまい心臓に押し付け「愛してるよ」と言うのを見ていたホームズが『私は、無意味な会話を二、三交わすだけでこれほど急速にワトスンの気分が変わるとは今の今まで知らなかった。』と突っ込んだ所も笑いました。ホームズ君はいつでも私読者の言葉を代弁してくれますね



前半の、仲良しな二人が冒険するところはこちらも読んでいて楽しくなります。後半あんな悲しいことになるなんてこの時には思いもよりません。


でも、後半も、ホームズに会えなくなったはずのワトスンが221Bにまた戻ってきて、ルーシーと話をするところは心が締め付けられます。

というかその前にルーシーがワトスンにコンスタンスからのお手紙を渡したらいきなり抱き付き唇にキスしてくるというハプニングもあったわけですが。なにやってんのワトスン。←

ホームズも流石に『メッセンジャーを射殺する話はしょっちゅう聞いたことがあるがキスしたという話は一度も聞いたことがない。私は呆気に取られた。』と言っていますし。

まあそれよりもワトスンからの突然のキスに息ができないほど動揺してるホームズが見所なのですが。


その話の中で「ホームズが警察に殺しの容疑で疑われている」と知ったワトスンが、ホームズが人殺しをするなんてあり得無い!!どんなに薬で気が狂ったとしてもあり得ない!!と警察に怒るんですよね……それでルーシーが「そんなにホームズさんを信頼しているのですか?」と問った時に「ああ君よりもね!」と言った時には
ああじょんろっく好きだぁああああとなりました。

ハッピーエンドになってほしかったです。


この下よりネタバレの為ご注意下さい。
※セリフなどは『』以外うろ覚えです。ほぼ自分用雑記です。


最初、僕には2つ秘密がある。的な感じで始まるこの話。

1つは女性だった、ということで、もう1つは……ホームズ自身もホームズに隠している事で、その内容は明記されてはいないですが、

いちいちワトスンが近かったりするだけで顔赤くしたりするホームズが可愛かった!!

だからワトスン君が本当に……知らなかったからしょうがないけど……酷いよね。ホームズはよく耐えられたと思うよ。


ホームズが本当に強かったしイケメン(女だけど)だった。こんな人になりたいです。ルーシーという哀れな女を演じながら時々シャーロックに(口調などが)戻る瞬間がたまりません。


そして、ルーシーの女性から男性への変装の話があるのですが、14歳の時の話なので兄に助けを求めるんです。つまり兄が出てきます。兄好きな私としては凄く嬉しかったです。



ここから超ネタバレです。


ワトスン君は妻メアリーに先立たれ、結構悲しんでるイメージが最初の方強いけど、案外あっさりと他の女の所に……

しかも相手はモリアーティーの娘!!!
女優!!お母さん誰だよ!!←


あんなにホームズがやめておけって言っても聞かないし最終的には

「あなたは私のお父さんが本当にそんな事をしたことを見たの?見てもいない事件を信じるの?私のお父さんはそんな人じゃないのにホームズさんに陥れられた。」みたいな感じで「そんなお父さんを陥れた人のお友達とは一緒に居たくない」と言われたからとワトスンはホームズではなくモリアーティーの娘(コンスタンス)を選ぶし。

そうか。最後の事件はワトスン見てないのか。確かに。

なんかライヘンバッハフォール後のBBCライヘンバッハヒーローみたい。(これ以外説明できない)


ホームズはそんな宿敵の娘にワトスンを取られたので1人で……男装を剥がし綺麗に着飾って本名ルーシーを使い、コンスタンスの元へ女の衣装係として潜入します。


そして、ホームズに会えないワトスンはホームズへ、と1つの手紙を置いておくのですが、そこには

『君が思っている以上にぼくはきみと一緒にいられないことをさびしく思っているが、僕の人生は空っぽの貝殻だ……もしコンスタンスがいなかったら。

とか書いてあるしこいつマジかよ。倒置法まで使いやがった。ホームズよりコンスタンスのほうが大事だと。ほう。そうかい。今すぐ殴り飛ばしてやりたい!!!!!

拳に入った力を何とかなだめてまだ読んでいると


ワトスンが「もしホームズが変装してたら僕にはわかるよ。長い付き合いなんだから。」みたいなことを自慢気にルーシーに語りはじめ、「たとえば君の場合だったら」と始めるのですが。。

すげぇマジマジとルーシーを見ても。

気付かない。


おいテメエ!!!!!とぶっ飛ばしたくなる心と力のこもる拳を再度抑えて。


だってワトスンにじっと見つめられたからって顔を赤くしてるんですよ?ホームズ。なんて可愛いんですか。普通に恋する乙女じゃないですか。それなのに。。



そして問題の最後のシーン。超超ネタバレです。(ネタバレ注意3回目)

コンスタンスがステージでの演技中倒れ、会場のライトが付き芝居が中断されると、もちろん心配になった医者のワトスンがステージを登りコンスタンスに駆け寄る。そして…ステージの床板が何者かによって落下し、30メートルほど落ちたワトスンは……ホームズと最後の話をして死んでしまう


ホームズは、

『私の友人は長くは生きられそうもない』

と心ではわかっていながら、

「ワトスンしっかりしてくれ!!僕は君がいなくなったら耐えられないよ!!まだやりたい事はたくさんあるんだ…!」

と、泣きます。あのホームズが、(自分でも気付かずに、ワトスンに涙を拭われて気付くのですが)泣きます。


ホームズが「実は僕はすごい嘘をついていた。君が許してくれることを願っている。いや、祈っている。実は僕は……」というと、「君は女だ。」と返すワトスン。「気付いていたのか?」とホームズが動揺すると「いや。でも一番の変装は自然体でいることだから」とか言って。もっと早く気付けよ。

それにしても、そのホームズがワトスンに女だと打ち明けようとする前置き部分で「シャーロック・ホームズはペテン師だ。」と言っていて、現代版の「I'm a fake.」が脳内をよぎりました。

そして「我が愛しのホームズ。常に真実の。常に……」と言って死にます。


そこからのホームズがもう。

「もう手遅れだ。警部。」とゆっくり立ち上がり、謎を解決します。その時、謎を解決する為に録音する人として雇った人を「でかしたぞ!」と言って背中を叩き褒めます。ずっと泣いてるような事はしません。

なんて強い人なんだろう。ホームズ。

でも、心の底は深い悲しみで埋まっていて、ホームズは、これから一生誰も愛さない、愛せない人生を歩む事になります。


きっと、メアリとの結婚の時も辛かっただろうと思う(メアリは皆の天使だから許した)のに宿敵の(最低)娘にいとも簡単に完全に取られ、ワトスンはホームズよりも宿敵の娘を選んだし、その結果宿敵の娘とその仲間にその愛する人は殺されて。

ホームズが完全に悲劇のヒロインで、本当に泣きました。






こんな長駄文を読んで下さり本当にありがとうございました。
何日にも渡って書き足して書き足して書き上げた文章なのでおかしなところあったらごめんなさい。