夕闇の訪れ、東の空はかなり曇っていて、十五夜ははにかんで隠れていた。
やっと、雲の合間から顔を出してくれたのに、今度は隠れんぼしていた。
雲の縁が明るく染まっていて、すぐに「ほら、見つけた」と鬼さん交代
僕が闇の中にに隠れても、月明かりがないから、なかなか見つけられない。
少し明かりを感じて、様子見すると「見つけた、見つけた」と半べそ顔
しばらくして、意地悪雲も何処かへ行たから、一晩中デートをしていた。
まんまる笑顔で、兎の餅つき話や一月かけての散歩道からの地球の様子
寝ていないので、僕がポケッとしていると、優しく明かりで包んでくれた。
「眩しくないかしら」と尋ねるから、そっと返した言葉は「温かなだよ」
「夢の中でデートしようよ」と聞きながら、小さく僕と等身長大にしてみた。
とても素敵な可愛い姿に、膝枕をしてもらうかのように眠ってしまった僕
自らの月明かりに、楽しそうに野原を駆けながら、影を追い掛けていた。
スキップも軽やかに、いつもお顔だけのお前が初めて手に入れた魔法の手足
川面に姿を映そうとしているけれど、真っ白なお顔が眩しすぎて姿が映らない。
そっと手で水を掬って顔を近づけてみると、移っていたのは遠い思い出と同じ顔
お前が等身大になって照らしていたのは僕の胸の奥深い処で夢でしか会えない。
光や記憶が作り出す幻想でなく、過去に存在した温かな思い遣りと優しい笑顔
過去の呼吸であって、月の満ち欠けの力をもってしても現在に蘇ることはない。
悲しむことには意味がなく、新たな再生への希望で、誰にもいつかは訪れる現実
そんなに哀しそうな顔しちゃ駄目だよ。いつも笑顔で元気に照らしていなきゃ。
今宵は月の女神さまが、地上で楽しいひと時を過ごすための十五夜、祝いの夜
夢なら覚めないでと、時間を惜しんでいるのに、夜明けは近づいてくる。
お前のために、「真ん丸笑顔でなくても、いつでもおいでよ」と望月への願い
朝陽を感じながら、静かに薄れながら西の彼方に消えていく十五夜を惜しんだ
「また、明晩」の約束に、忘れられない等身大の十五夜、望月、月明かり