久しぶりに書く記事が読書感想文でいいのだろうか…

えーと、最近スマホ断ちしようと目標を立てて、あんまり触らないようにしてます。
ついついスマホを手に取ってどうでもいいネットニュース読んだり何気なくSNSを開いてしまうのが癖になっているので…
こんなことで時間潰したくないし、スマホのバッテリーも大事にしたい。
そこで、えーい本だ!本を読むよ!ってことで実家にある本を手当たり次第読み漁っている次第です。
スマホ触りたくないのでこの記事もぱっと速やかに書くよ!


実家にある本は母が若い頃に読んでいたものなので、古いものばっかり。
私が読んだ『不連続殺人事件』もぼろぼろ。
しかもね、この表紙…
白衣を着た男が目を見開いて横たわる女の人の顔にメスを当てている写真なんだけど…女の人、服が裂けてて胸をさらけ出しちゃってるけど…
作中のどこかのシーンなのかと思ってたけど、読み終えて思う、こんな場面はどこにもなかった。
なんだろう、どういう表紙なんだろう。


それはさておき、がっつりネタバレありの感想を書いていきます。







あらすじに「八つの殺人が生まれた」とはっきりあるので、なんだか『リラ荘』を思わせる多さ!
リラ荘は人が死ぬシーン、死体発見のシーンもなかなか劇的に描写されてたように記憶してるんだけど、こちらは本当にあっさり。
おどろおどろしさみたいなものは少なめ。


だけどこちらは生きてる人間達が怖いのなんの!
リラ荘も登場人物はだいぶいっちゃってるかな?とも思ったけど、不連続の皆さんに比べたらかわいいもんだ。
この歌川家に絶対遊びに行きたくない。
殺人事件に巻き込まれなくたって絶対嫌だ。

変人、奇人を集めたってところがまさか犯人達の作戦の一つになっているとは!
ピカ一のようにあやかさんと犬猿、そういう人間を潜り込ませるためには好色な望月、悪どい神山、得体の知れない巨勢も必要だったと…
坂口安吾の作った舞台設定の一つではなく、綿密に仕組まれた下地だったと。
これは感心しました。


仲の悪いふりをした二人が実は共犯だった。
これってたまにあることじゃないですか?
金田一少年だったら墓場島とかね。

だけどこの作品のピカ一とあやかさんは仲の悪さが半端じゃなく、罵り合いは茶飯事、あの大喧嘩も激しくて、まさか演技だなんて思いもしなかった。
そうなんだよね…私もおかしいとは思ったんだよ。
あやかさんが周りの男達に助けられないで無人の外へ逃げ出すなんてさ。
掴みかかられ殴られ追いかけられのあの状況では仕方ないのかと思ったけど、やっぱり不自然だよね。
こんな風にロジックで事件を解いていくストーリーが好きです。
作中でも道具を使った密室トリックを否定するような発言を誰かがしていたけど、私も同じです。
そんなトリック、リアリティがないんだよな…
リアルさを求めてるわけじゃないのだけど。
人間心理を突いた犯人の作戦がすごく好みだな。

『不連続殺人事件』なんてタイトルだから、もしや各々の事件の犯人は別なのか?と勘繰ったりしたけど、そういう意味ではないのね。
歌川家の人間を殺すという主の目的。
その遂行の妨げになる人、または主の目的を誤魔化すための殺人。
この二つ目の目的の殺人を不連続って言ってるのかな。
両方の目的の絡めて不連続っていってもいいと思うけど。


それにしてもピカ一にしてやられました。
本当に憎たらしい男で、私も大嫌いで、作中みんなに嫌われている男。
正直、早く殺されてくれないかな…と思ってました。
この人のせいであやかさんには同情してしまったし。
まさか共犯だなんてさ。
この二人はふたりきりの時間をどんな風に過ごしてたんだろう。
あやかさんの月に一度か二度の上京の時に密会、だけど泊まりはしないから一緒にいられるのは少しの時間だったろうに。


あやかさんが死んでしまった後、ピカ一の行動も言葉も本当に切なかった。
悪態ばかり吐いてたのはやっぱり演技だったと実感できる。
あやかさんを愛してたのがわかる。
最後の最後で仮面を脱ぎ捨てた、そんな感じがしました。

あと、この作品に出てくる警察。
犯行は全然止められないけど、リラ荘よりは無能感は薄いかな。
どっちかっていうと巨勢の方が無能。

登場人物は多くて、私も女中や下男の名前までは覚えないまま読んでしまったけど、主要人物だけ把握できてれば問題なかった。
かなりスピーディーにテンポ良く話が進むのもよかった。
おかげであっという間に読んでしまったよ。
面白かったです。


※作中のみんなが土居光一のことをピカ一(ぴかいち)と呼ぶので私もピカ一と書いたけど、横書きにするとピカチュウの鳴き声みたいですね。