かわら版バックナンバー2/6「子供への投資」 | 声なき声を聴く政治 千葉県議会議員 鈴木ひとし

声なき声を聴く政治 千葉県議会議員 鈴木ひとし

千葉県議会議員選挙で20328票を投じていただき当選致しました。
引き続き公平公正な社会づくりに力を尽くしていきたいと考えています。

社会全体での子育て 

岸田首相が打ち出した「異次元の少子化対策」を受けて、児童手当の所得制限を撤廃するべしと言う意見が政権与党からも出てきています。2011年の民主党政権時代に「バラマキ4K」と称した自民党の激しい批判の中で、ようやく子ども手当を制度化しました。12年が経って遅ればせながら、「社会全体での子育て支援」という考えが政治的合意に達しつつあるのかと思います。 

 さて今回は教育投資について触れたいと思います。欧米では教育は未来に対する投資であるという考え方から、高等教育の無償化や給付型奨学金などによって教育の機会均等が確保されています。国の未来を担う子供達はまさに宝であり、教育投資を欠かすようでは、国家の成長を望むことはとうていできないと思うのですが、政権与党には教育は家庭の問題であるという考えが根強く残っています。

 

OECD加盟国中第36位 

2019年時点で公的な教育に関する政府支出をGDP対比した数値調査では、日本はOECD加盟37カ国中36位、公的教育に関する政府支出は対GDP比2.8%でOECD平均の4.1%に大きく及ばぬ結果でした。また高等教育における私費負担割合も67%と、OECD平均の31%の倍以上であること、また高等教育を受けている学生が私立教育機関に在籍している割合も79%でOECD平均の17%に対して4倍以上であることなど、教育に対する公的投資が非常に少なく家庭の負担が重いことがわかりました。

 高等教育を受ける際に、利子付きの奨学金を利用した若者達は就職したときから借金を背負い、経済的不安から異性との交際や結婚を躊躇するという調査もあり、大きな課題となっています。

 このような教育の私費負担の重さが、少子化の原因の一つであり、給付型奨学金の拡充等で負担の軽減を図ることが政治に課せられた課題です。 

   

教育の質を担保せよ 

政府教育支出の低さによって、教育の質の低下も懸念されています。千葉県の教員の年齢構成は、1980年代に採用された教員の大量退職と、2000年代の採用抑制によって指導力のあるベテラン教員が不足しています。2016年時点では40%近くを占めていたベテラン教員は、2026年にはわずか15.5%へと激減し、経験の少ない20代が27.8%となります。また教員の採用難から、臨時任用教員が担任を持つ比率が半数近くまでなっています。その結果、公的教育に対する不信から学校外教育(学習塾)の利用率が高まり、所得階層による格差が生じていることも日本に特徴的で、教育にかかる家庭の負担の多さが少子化の原因の一つとも考えられています。

 1970年代に「でもしか先生」といわれた教員の質を「人材確保法」の導入により高いレベルに戻した、田中角栄元総理のようなリーダーシップで、公的教育の信頼を回復させるときが来ていると思うのです。