第1 総合TAC・実全体データ対照表
まず、今年も試験後早い時期から判明していたTAC平均点データから見てみます。
1 TAC平均点昇順表
選択式試験の補正予測は、
TKTK氏による開示請求でH19以後の得点分布データが明らかになるH24以前は
スクール平均点や、2点以下割合を基に行われていました。
そして、TAC等の平均点が低ければ、全体1点以下割合も高まるとは言えます。
そこで、上記TAC平均点昇順表を見ると
TAC平均2.77のR4社一は通常であれば原則2点補正の可能性が高い数値であり、
このことが、
TAC平均点しか判明していない時点で、
R4社一の2点補正可能性が高いと感じられた理由でもあります。
また、予測の精度としてはそれより若干高いTAC2点以下割合をみても、
2 TAC2点以下割合降順表
R4社一は平均点と同様の高い位置にあります。
しかし、理由は既に書いたように、
原則2点補正の予測において精度がより高いのは、
TAC1点以下割合と、補完的なその0点割合です。
そこでまず、本命指標であるTAC1点以下割合について見ますと、
3 TAC1点以下割合降順表
その原則補正要件未達での最高値はH27労災の15.6%
原則要件到達での最低値はH21厚年の4.7%であり、
16%以上なら必ず2点補正、4.7%未満なら必ず原則要件未達と判断できます。
その時点で、
R4においてTAC1点以下割合が4.7以上なのは7.7の社一しか存在せず、
他の科目の原則2点補正の可能性がないと判断できます。
次に、補完的に0点割合をみると
(原則2点補正との一致度だけでいうと、
この0点割合による方が理由は不明ですが一致しています)
4 TAC0点割合降順表
0点割合が2.5%であれば必ず2点補正され、
原則2点補正された際の0点割合最低値はH29健保の0.8%となっています。
このことからすると、
0点割合R4の最高は健保と厚年の0.8%
社一はそれに次0.7%であり、
過去の実績からすると、
どれも2点補正の原則要件を満たす可能性は極めて低いと考えられます。
この時点で、既に原則2点補正の可能性があるとしてもそれは社一だけになりますが、
その数値が高いと、全受験者が2点に集中してしまい、
2点補正の原則要件を満たさなくなる傾向がある
TAC2点3点割合をみると、
5 TAC2点3点割合降順表(地雷度判定)
R4社一は、R2労基安衛やH24社一と同程度の高い数値となっています。
次に、科目の特性を考慮するために、
科目別表へと移動します。
第2 科目別TAC・実全体データ対照表
1 科目別TAC1点以下割合降順表
問題となるのは、R4社一ですが、
このR4社一は、以前から予想していた通り、
H24社一の得点分布と極めて近似していました。
そして、実際1点以下割合29.5%であったH24社一と比較すると
R4社一のTAC得点分布は、わずかに上方向に移動しているように見えることから、
素直に考えれば、R4社一の実際1点以下割合は、
H24社一の29.5%をさらに少し下回ると予測されることになります。
(28%台?)
ただ、そこまでくると、その数値の振れは微妙となりますので、
原則補正は、弱含みした五分五分といったところでしょうか。
しかし、今年の社一の設問では、
総得点上位者であるほど失点するような
「引っ掛け設問」が存在し、大きな効果を発揮してしまったようです。
総得点勝負の試験では、そのような問題を難易度調整のためにある程度放り込むのもありだと思いますが、
社労士試験の選択式試験でそれをするのはどうなんでしょうかね。
その効果が生じるとすれば、全体得点分布においても1点以下割合が大幅に増加すると期待できないことになりますので、
結論としては、社一の原則2点補正の可能性は低いのではないかと思いますが、
反面、原則2点補正が無いとまで言い切るだけの材料も揃っていないと思います。
そうすると、結局は、
TACの講評に記載されていた文章どおりの結論になると思います。
次に、例外補正の余地については、
今年の選択式試験で、
社一2点以外での基準点未達者がどの程度発生するかに依存することになります。
社一の2点補正無しでも、十分な合格率や合格者数が確保できるのであれば、
相当程度の難易度を維持するために、社一の2点補正はすべきでないということになるからです。
そこで、次の、
年度別のTAC(上欄)実全体(下欄)の対照表を用います。
第3 年度別TAC・実全体データ対照表
表の塗りつぶしのあるセルは基準点1点不足ラインであり、
例外補正の場合は、本来ラインに太枠囲いしてあります。
仮にR4社一(TAC2点32.0%)の2点補正が無いとすると
過去において第2位のH27労災(TAC2点31.3%)、
第1位のH24社一(TAC2点31.6%)を抜いて、
史上最悪の地雷科目ということになりますが…
その事と、
青太字(等)で示したその年の合格率との関係が重要となります。
H21~R3の中で合格率が高かった年度としては、
H22の8.6%と
H26の9.3%が挙げられますが、
その年度の1点不足ラインの塗りつぶしを見ると、
10%台の黄色の塗りつぶし一個と残りが10%未満の薄緑の塗りつぶしとなっています。
そして、史上最強に超絶簡単であったH19選択は、
TAC平均最低が労一の3.2、次が国年の3.8で、
選択補正無し、合格率は10.6%でした。
この年も、TAC得点分布を推測するに、
黄色が労一のみ、
他の科目は薄緑だったことだと思います。
このことからの推測から、
仮に今年の社一が2点補正された場合、
(表の下の塗りつぶしが選ばれることになります)
合格率は、8.5~10.5%になると予想されることになります。
(総得点基準点以上が基本の12%程度の場合です)
ただ、この下限の8.5%のあたりが
例外補正で実現するのであれば、
社一の補正が無ければ、
そこから3割減の5.6%となりますから、
これだと、8.5%との比較で、
どちらが好ましいかは、
当局の裁量ということになります。
次に、その8.5~10.5%のどの位置に入るかは、
社一以外の他の科目の総得点基準点以上受験者の2点以下の人数に依存してきます。
比較的TACデータでも2点の受験者が多かった
労一や雇用あたりの2点の総得点基準点以上の受験者が多ければ
社一の例外補正の可能性も相対的に上昇するということです。
さらに、
合格率の維持ということを考えると、
ユーキャンで触れられていたように(直接視聴はしていませんが)
上位層ほど間違える設問の効果があまりに効きすぎてしまった場合には、
原則要件を満たさない理由で社一2点を不合格にすると、
総得点基準点以上の受験生の2点割合が3分の1以上を占めてしまう結果、
合格率が低くなりすぎる可能性もあります。
仮に今年の択一選択の総得点基準点で10%程度と既に低めのラインになり、
そこから労一等社一以外で7%ぐらいにまで削られ、
そこから社一の例外補正をしないで3分の1程度をさらに削ると、
合格率は4.7%となりますが、
受験者数も一時期より少ない水準の今、
そのような判断がなされるでしょうか?
(そのような場合には、
社一の2点補正をしても、
合格率は7%台ということになります。
あくまで、可能性としては高くはないのですが)
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過去の歴史を振り返ると、
社労士試験の選択の科目補正は、
常に、受験生等の予想の斜め上を世界を見せてきました。
なので、
確定的でかつ、的確な「予想」をすることなどは、
誰一人として、することはできません。
(当たったとしても、それは幸運です)
しかし、受験生としては、
このような選択式試験の性格を知ることにより、
試験前であれば、少しでも、合格の可能性を高めることができますし、
試験後でも、
全くの暗闇の中、
なぜ不合格になったのかわからないという苦しみを味わうこともなく、
仮に不合格になったとしても、
その理由を知ることもできます。
それに、状況は色々異なりますが、
昨年の労一1点や国年2点のような、
「逆サプライズ」も起こったりするのも、
この社労士試験選択補正の不思議なところです。
今年は予想そのものはしませんと書きましたが、
理由なしの肌感予想や、
予想の手法としては最悪の、「合格者として、問題を解いてみての感想」をベースとした予想。
そして、
理由はあってもTAC平均点のみからという前時代的な予想(っぽい事)をされているような方もいらしゃるのを見ていると、
少なくとも、
そのような「予想らしきもの」よりは、
「受験生の方の今後の合格のため」や、
「発表まで、納得して過ごせるため」に
役立てることが書けていれば良いなと思っていたところです。
私が初受験だったH24の頃なんて、
全てがカオスで暗黒の時代でしたしねw
そのような思いはしてほしくない。
本題は、大体こんなところなので、
後は、
プロローグや
エピローグ的な事を
書こうと思います。