R4予備論文刑法問題設問1に関しての雑話2 | 趣味で受験する司法試験予備試験からの司法試験受験、中小企業診断士試験その他各種資格検定試験

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試験直後に書いた
再現も一通り終え、
刑法についても、基本刑法Ⅰと講義案で間接正犯についての該当箇所を読み直しました。
基本刑法ⅠのP307~311に今回の問題と関連する記載があり、
特にP309~310には今回の問題そのまんまと言っても良いような内容のことが書かれています。
 
そして、P309終わりからP310最初にかけて触れられている「見解」とは、
まさに上記「雑話」で書いていた「関西結果無価値」「関西共犯論」のうち現在有力な説ですね。
(古くは、佐伯千、中山、中説、最近では、松宮、浅田、山中説などがそのグループに該当するようです)
なので、今回の問題のY利用、X利用共に教唆犯の成否のみの問題とする学説が、
今なお健在だということでもあります。
 
少し問題なのは、
従属性の議論などを論じるべきかどうかでしょうが、
私見は、必要はないかなという立場です。
まず、一つ目の理由ですが、
基本刑法Ⅰでは、P308~309の
〇コラム〇 間接正犯概念が生まれた経緯
で、「雑話」で書いたような話が書かれていますが、
そのニュアンスは、「もはや過去の議論」のような感じです。
 
ただ、そちらの議論(処罰の隙間論)は過去のものでも、
関西共犯論という現役バリバリの有力説からは、
Yの利用は間接正犯概念否定から教唆犯に解消され、
Xの利用も共謀共同正犯概念を否定しますから、やはり教唆犯になることからすると、
「なぜ間接正犯or教唆犯or共謀共同正犯の成否を問題とするのか」
そこは、何らかの形で触れられた方がベターなのではという気はします。
 
そして、
Yの利用とXの利用を対比するには、
従属性などの話に少し触れておいた方が扱いを変える理由が書きやすいですし、
Yの利用は最初から当然に間接正犯の成否、
Xの利用が最初から当然に教唆犯か共同正犯の成否とするのも、
間接正犯が何かを理解していないと思われるのではないか現場で危惧したからというのもあります。
(後から思うと杞憂でしたね)
そういう意味でも、
従属性の話から書きだしたほうが、書きやすかったんですね。
 
また、もう一つ従属性の話まで書くことが不要だと思う理由は、
そこまでしっかり仮に書いて、Yの実行の着手の有無やXの行為の検討をして、
さらに設問2もきちんと書くとなると、
とても88行では書き切れません
(辰已解答例のような88行をはるかに超えたファンタジー答案連発は不可能です)
それに、刑訴を含めて考えると、
それこそ、事前に問題を知ってでもいない限り、
2問しっかり書き切れません。
そうすると、必要でない部分はカットすべきであり、
よって、答案政策上は、
原則論の前提にすぎない従属性云々の話より、
間接正犯の本質論(正犯性の根拠)等で原則論を直截に簡潔に示し
(「間接正犯の正犯性は、直接正犯と同様に自ら実行行為を行った点にある」の部分。基本刑法ⅠP309)
あとは、ありふれた規範を貼り付けて、事実認定と評価を丁寧にする。
それで必要かつ十分だったのではないかと思うわけです。
 
 
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なお、自分の再現の中で書いた規範は、
直接的にはえんしゅう本のこの部分に似せたものですが、
講義案の規範に近いですね。
まあ、それはともかく、

試験の現場では従属性云々より明らかに必要なXの行為の細かい検討が疎かになりましたし
(ステーキ肉は、その量にまで気が回りませんでしたw)
そういう意味でも、
従属性の議論に時間とスペースを使ったのは、得策では無かったと思っています。
(反省点だらけですね)