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                               2026年7月1日
                                      VOL.535
                    
                                    評 論 の 宝 箱
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   第535号・目次
  【  書 評  】  庄子情宣 『日米密約史』(信夫隆司著 中公新書)
  【 私の一言 】   岡本弘昭 『人口減少と価値観の転換』




【書 評  】
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                 『日米密約史-核、朝鮮有事、沖縄をめぐる裏交渉』
                            (信夫隆司著 中公新書 )
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                               庄子 情宣


 国際間の取り決めは、通常、条約や協定として明文化される。これらは国会で
審議され批准を経て成立する。従って、国民はその内容を一定程度知ることがで
きる。しかし、戦後の日米外交は「表」の条約や協定とは別に、限られた政治家
や官僚だけが把握していた「裏」の取り決めがある。内容的には、日米間で「密
約」という便宜的手段を交わして処理されてきた。

 これは、戦後の日米外交・安全保障は、形式上は日米対等性を装っているもの
の、実質的には米国の軍事性必要性を優先してきため非対称性での運用が基本と
なっているためである。2009年 11 月27日「密約」問題に関する有識者委員会に
よれば、代表的な戦後の日米密約は以下の4つである。 
1.1960年1月の安保条約改定時の、核持ち込みに関する「密約」 
2.1960年1月の安保条約改定時の、朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に関 する
  「密約」 
3.1972年の沖縄返還時の、有事の際の核持ち込みに関する「密約」 
4.1972年の沖縄返還時の、原状回復補償費の肩代わりに関する「密約」

 「密約」は、前記のとおり「もうひとつの法体系」として優越しているのでは
ないかという法体系の2重構造性という問題がある。これは議会制民主主義と憲
法の統制が空洞化するということである。
加えて、日本側では関与者も限られその成立の経緯や内容を全面的に解明するこ
とは中々難しく、記録の保存と公開がない場合は外交の透明性の保持は不可能と
いう問題等もある。

 本書は、このような「密約」つまり裏交渉の全容を解明し、その実態、さらに
は我が国に及ぼした影響を明らかにし、対米依存の真相に光を当てるべく、米国
側の史料・新事実を踏まえ、次の4点について、改めて「密約」が生じた構造を直
視しその欠陥を知り、新たな日本の針路を考える内容となっている。
1)米兵の裁判権放棄、2)日本への核持ち込み、3)基地からの米軍の自由な出撃、
4)沖縄への核持ち込み。

国際情勢は激動しており、我が国では憲法改正議論も活発化している。このよう
な現状を踏まえ新たな日本の針路を考える上で本書は大変参考になる書といえる。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆【私の一言】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

            『人口減少と価値観の転換』
────────────────────────────────────
                              岡本 弘昭


 厚労省の2025年の人口動態統計(概数)によると、1人の女性が生涯で産む子
どもの数を示す合計特殊出生率は、1.14であり、24年の1.15から0.01ポイント下
がり過去最低を更新したという。この低下は10年連続となる。
また、国内で生まれた日本人の子どもは67万1236人で、24年より1万4937人
(2.2%)減り、1899年の統計開始以来最も少ない。
我が国の標準的な人口展望である社人研の中位推計では、出生数が67万人になる
のは2040年と見込んでいたため、現実の出生者数は想定より15年前倒しであり、
それだけ予想以上に少子化が進んでいるといえる。(日経2026年6月3日 )
この事実は、新型コロナウイルス後の急速な少子化の傾向は構造的なものであり、
一刻も早い「縮小社会」に向かっての体制作りが急務であることを示している。
国もこの状況を意識しつつ現在までいろいろな人口増政策をとっているが、
「縮小社会」への認識は十分とは言いがたいのではないか。

 戦後の我が国は、人口は増える、経済は成長する、都市は拡大するの3点を背
景に、社会制度も個人の価値観も形成されてきた。
しかし、「縮小社会」の社会制度は、従来とはすべてが逆方向に進む。つまり、
今後期待される国家像は次のような姿と指摘されている。
1)  生活の質(Quality of Life)を最大化できる
 (Well-being 指標 が中心になる。)
2) 持続可能なコミュニティを維持できる
 (人口が減っても、地域が死なないこと。)点kンを目指し、
3)  縮小に適応したインフラ・制度を設計できる
   (「全部維持する」幻想を捨て、賢く縮む能力こそ国家の成熟。)
4)  人間の“生の全体”を支える
5) 未来世代に負債ではなく“生きる基盤”を残せる
 (未来世代にツケを回さないこと)

これに伴い、個人の価値観も次のように転換していくことが不可欠である。
1)  「拡大志向」 → 「縮小のデザイン」
2)「若さ・生産性」中心 → 「老い・ケア」中心
3)「自己実現」中心 → 「相互扶助」中心
4)  「所有」 → 「共有・共用」
5)  「死を避ける」 → 「死を人生の一部として受け入れる」

 国の制度は、個人の価値観の総和である。従って、個人の価値観の「縮小社
会」への転換がわが国の存否を決めるといえる。
ただ、転換には、時間がかかる。従って。国は一刻も早く「縮小社会」に向かっ
ての道のりを明らかにし、同時に「縮小社会」への適合について全世代への教育
を行う体制を整備することが望まれる。
なお、特に大変革期に問題となるのは、過去の成功体験である。高度成長期の成
功体験が強い層、あるいはそれに郷愁を覚える層には「縮小社会」の価値観(よ
り具体的には、小さくても豊か、遅いことの価値、不便さを受け入れること等)
は、中々受け入れ難いものだけにその層に対する価値観の転換教育が最大の課題
といえる。


編集後記
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 国土交通省資料によると、「日本はこれまで、整備の進んだインフラによって経
済と生活を支えてきました。しかし、その多くは高度経済成長期に整備されたもの
で、いま同時に老朽化を迎えています。
建設から50年以上が経過したインフラの割合は、たとえば道路橋(約73万橋)は、
2040年には約75%、トンネルは約52%、河川管理施設は約65%、港湾施設は
約68%、水道管路は約41%、下水道管渠は約34%が築50年以上になる」と指摘さ
れています。
一方、近年の異常気象の影響もあるのか、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、
噴火なども目立ってきています。
このことは、災害リスクが増大する可能性が高いことを意味し、加えて高齢者の
増加という社会構造の変化も加わり、今後はさらなる災害対策の充実が求められ
る時代にあるといえましょう。
従って、政府には総合的な防災・減災対策の一段の強化が求められますが、個々
人にも、たとえば、「ハザードマップや避難場所・経路の確認」、「食料・水等
の備蓄や非常持ち出しバッグ等の準備」「自身や家族への災害に関する学習・教
育」等の防災・減災の重要性の認識向上と自助精神のさらなる向上が望まれます。
地震・台風が多発し激甚化している昨今は、防災対策の重要性を再認識すべき時
期にあることを教えているといえましょう。

本号のご支援ご協力有難うございました。(HO)
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   第536号・予告
   【  書 評  】  三谷 徹 『ポピュリズムとは何か』
                             (ヤン・ヴェルナー・ミュラー著 岩波書店)
  【 私の一言 】  吉田竜一 『豊かさを考える』

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                           2026年6月1日

                                         VOL.534                        

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 第534号・目次

【  書 評  】  三谷 徹 『疑似科学から科学をみる』

              (マイケル・D・ゴーディン著 岩波書店)

 【 私の一言 】 福山忠彦 『トランプ大統領の主張に共和党は反論出来ない訳を解く』

 

 

【書 評  】

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                                 『疑似科学から科学をみる』

                         (マイケル・D・ゴーディン著 岩波書店 )

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                           三谷 徹

 

 著者ゴーディンはハーバードでロシア科学に関する研究で博士号を取得

し、現在はプリンストンに籍を置く科学史を中心にした歴史学者である。

日本のロングセラー池内了の名著「疑似科学入門」が疑似科学そのものを

解説するのに対し、本書はある学説が「疑似科学」とみなされ、周辺に追

いやられていく過程を描くことを主題とする。本書の最後で著者は「疑似

科学とは科学の影、科学者コミュニティを映し出す鏡である。」と述べて

科学の周縁部を描こうとしている。

 

 著者が取り上げる疑似科学は占星術・錬金術など古典的な痕跡科学、

アーリア物理学・優生学などの御用科学、骨相学・創造論・未確認動物学

など反体制科学、心霊主義・メスメリズムなどの心霊科学の4分野とポリ

ウォーター・常温核融合などグレーゾーンの科学である。彼はこれらの分

野について有名な哲学者カール・ポパーの見解を引き、科学と疑似科学の

線引き、実証と反証は何れも簡単ではないとする。例えば科学研究が進み、

最も多くのノーベル賞科学者を輩出する米国で2000年代においても学校で

ダーウイニズムや進化論を教えるべきかにつき裁判事例が見られるのもこ

のことを示す。

 

 これらの中で幾つかについて著者の見解を拾うと以下のとおりである。

著者は占星術を「天体の位置が地球に影響を及ぼすという信念」と定義す

る。この信念は無害であると共に、潮の満ち引き、季節の変動などある部

分では真とも言える。古代から中世までこの信念は多くの地域で航海・農

業などに利用された。これが周縁部に追いやられたのは、地動説が抬頭し

た17世紀、更には気象学が発展した19世紀半ばであるが、一方今でも占星

術を元にした星占いは科学ではないにせよ多くの人に影響を及ぼしている。

次にこれも長い歴史を有する錬金術は欧州では中世まで「アルケミ-」

(錬金術)と「ケミストリー」(化学)が同義で使われていた。多くの人は

「アルケミ―」は卑金属を金に変える研究と捉えるが、その実験の多くが

炉の熱で物質操作を行い、役立つ新しい物質を産みだすことだった。実験

室での実現はともかく現実の金は地球の熱が卑金属鉱石を熱してゆっくり

と形成されるものだから完全に誤りという訳でもない。それでも昔から

「アルケミ―」は詐欺だとの評判がたった。その理由は、実際に詐欺師が

多かったこと、徒弟制度やもっともらしい図像の作成などの秘密主義がそ

の背景にあった。ラヴォアジュの新化学が支配的になると終わったかに見

えたが、19世紀にも霊的な要素を加えて秘教的な継続がなされている。

もちろん、周縁化されてはいるが・・・

 

 次に反体制科学に分類される「骨相学」は、18世紀の終りにスイス出身

の脳生理学者フランツ・ヨーゼフ・ガルが構築したもので、脳の特定の器

官の大きさによって人の精神的能力の強さを判断できるとするものである。

この説はすぐに疑似科学と非難されたが、多くの信奉者がいた。教育や司

法を司る体制派から批判されても、急進的な反体制派(主に国教会不支持)

はこれを下層階級に広めようとしたが、資金的な行き詰まりにより周縁化

を余儀なくされた。

 

 最後に心霊科学に分類されるメスメリズム・心霊主義の叙述を見てみよ

う。メスメリズムは18世紀の後半、ドイツ出身の医師フランツ・アントン・

メスマーがパリで精神的・生理的に種々の疾患を緩和する治療を施し、そ

の自然的説明を提示したものだ。彼は宇宙全ての物体に浸透する微細な流

体を発見し、その流れの不安定が疾病をもたらすと考えた。磁気を帯びた

メスマー流体を体内に注入すると健康が回復できた。人気のあまり、女性

に対する怪しげな治療の横行やラヴォアジェに主導された委員会による主

観的効果の否定などにも拘らず、磁気流体を利用した治療はイギリスでも

流行した。この延長上にあるのが、19世紀半ばに米国で発し、霊との交信

が可能とする主張であり、後イギリスで隆盛となった「心霊主義」だ。霊

媒の多くは下層階級の女性や少年で音の効果、物の移動など諸種の交霊会

が実施された。研究者の多くは、伝統的な宗教的信仰の危機が精神面にも

たらす影響としたが、一部の科学者は脳内信号が電磁エーテルと相互作用

いた結果、生じた物理的現象であると肯定的に捉えている。日本でも人気

を博したユリ・ゲラーの超能力など多くの事例が報告されていると共に英

国のノーベル賞物理学者ブライアン・ジョセフソンはかつて超越瞑想を研

究した時期もある超心理学支持者である。米国では名だたる有名大学の心

理学者の多くが超心理学の研究に取り組んでいる。

ことほど左様に疑似科学と科学の線引きは一筋縄にはいかないもののようだ。

 

 本書には取り上げられていないが、薬のプラシーボ効果なども純粋科学

においてはどのように説明できるのか、周縁部の広さは計り知れない。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆【私の一言】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

   『トランプ大統領の主張に共和党は反論出来ない訳を解く』

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                           福山 忠彦

 

 1980年代にミシガン州に行った時、共和党員だと名乗る人に出会いまし

た。「明日は久しぶりに党員集会に参加する。楽しみだ。」といそいそと仕

事を片付けていました。彼は典型的な共和党支持者でした。当時私の抱い

ていた共和党の支持者は日の出から働き、夕暮れ時に夫婦で神に一日の感

謝の祈りをささげる純朴な農民を支持基盤としていました。一方、民主党

支持者は民主主義、資本主義を先導する人たちで先端技術、世界を強く意

識する行動をとる人たちでした。故ケネディ大統領が代表例です。私は両

陣営が政権を交互に担当するアメリカの懐の深さを素晴らしいと思ってい

ました。ところが共和党からトランプ氏が大統領として現れて違和感を覚

えました。第二次トランプ政権になるとその思いは益々強くなりました。

なぜ彼が共和党を基盤としているか、なぜ共和党は彼を排斥しないのか、

そもそも両党は何を訴えているのでしょうか。

・共和党は政府の役割を小さく抑え、伝統的な価値観を大事にする保守的

な政党

・民主党は政府に積極的な役割を求め、福祉や人権を重視するリベラルな

政党

これが一般的な説明ですが具体的には共和党はどのような考えを持ってい

るのでしょうか。

・地球温暖化問題には懐疑的な議員が多く省エネルギーよりも短期的な経

済効率を優先し、2001年にはジョージ・W・ブッシュ政権は京都議定書か

ら離脱しています。

・外交政策は単独行動の傾向が強く国際協調を重視する民主党と好対照。

・イスラエル支援を信仰の柱とするキリスト教福音派から強い支持を受け

ています。

・共和党員の多くは銃保有を合憲とし銃を保有し続けています。

・国による健康保険制度は膨大な国庫負担がかかる、保険運用のため政府

組織が肥大化する、健康問題という極めて個人的な問題であるとして民主

党の保険制度に反対しています。

 

トランプ大統領は「関税ほど美しい言葉はない」と貿易赤字国に対して関

税を引き上げ世界を驚かせました。共和党の関税に対する見解を探しまし

た。見つけ出しました。1921年に第21代大統領になったハーディングは

高関税を課し経済回復を狙い、選挙スローガンはなんと「America First」

で選挙は圧勝でした。このようにトランプ大統領が次々と打ち出す政策は

共和党の方針に沿ったものであるため、共和党内部からの反対意見は大き

くはありません。党員は納得せざるを得ません。トランプ氏の発言や言葉

の使い方に物議をかもすことはあっても共和党から排斥されることはない

と思います。Make America Great AgainやAmerica Firstなどの標語は共

和党支持の方にとってはすんなりと好意的に受け入れられるものです。豊

かな発想、意表を突く発言、素早い決断などのため共和党支持者も当初は

大変面食らったと思いますが、実際のアクションはいままでの共和党路線

通りです。それでも私にはトランプ氏のやり方には納得がいきません。

 人類愛や平和を取引の道具として扱っています。私たちは幼い頃より人

生は徳を積むことにある、徳のある人になりなさいと言われて育ちました。

徳はお金や名声よりも大切なのです。国のトップにある人は人類愛や平和

を願う心、さらに言えば徳を積むことを重視して貰いたいと願っています。

 

 

 

編集後記

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 匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の記事が目立つせいか、最近少年の凶悪犯罪

の加担の記事が目につきます。

 子供の非行を防ぐための家庭環境について、「①家庭が子供の居場所となるようにする。

②親子間でコミュニケ ーションをとる。③子供の小さな変化に気づける距離感を保つ。

④その上で、家族間だけでは 解決が難しい場合には、専門家に頼る。これらのことを意識

しながら生活することが、子供が犯罪や非行を行わない対策の第一歩に なるのではないか

と考える。」という指摘があります。 (2008/8/9_村田世奈)つまり、親と子が向き合っ

て、家庭が 子供の居場所だと思える環境作りが子供の非行を防ぐ重要な課題という事であ

ります。その低下の要因の一つには家庭の教育力の低下があるのではないでしょうか。

家庭の教育力の見直しを必要とする時期にきているのではないでしょうか。

 

 本号のご支援ご協力有難うございました。(HO)

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   第535号・予告

   【  書 評  】  庄子情宣 『日米密約史』 (信夫隆司著 中公新書)

 【 私の一言 】  岡本弘昭 『価値観の転換』 

 

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                              2026年6月1日

                                            VOL.534

                        

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  第534号・ 目次

【  書 評  】   三谷 徹『疑似科学から科学をみる』

              (マイケル・D・ゴーディン著 岩波書店)

【 私の一言 】 福山忠彦『トランプ大統領の主張に共和党は反論出来ない訳を解く』

 

 

【書 評  】

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                                       『疑似科学から科学をみる』

                              (マイケル・D・ゴーディン著 岩波書店 )

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                               三谷 徹

 

 著者ゴーディンはハーバードでロシア科学に関する研究で博士号を取得し、現

在はプリンストンに籍を置く科学史を中心にした歴史学者である。日本のロング

セラー池内了の名著「疑似科学入門」が疑似科学そのものを解説するのに対し、

本書はある学説が「疑似科学」とみなされ、周辺に追いやられていく過程を描く

ことを主題とする。本書の最後で著者は、「疑似科学とは科学の影、科学者コミュ

ニティを映し出す鏡である。」と述べて科学の周縁部を描こうとしている。

 

 著者が取り上げる疑似科学は占星術・錬金術など古典的な痕跡科学、アーリア

物理学・優生学などの御用科学、骨相学・創造論・未確認動物学など反体制科学、

心霊主義・メスメリズムなどの心霊科学の4分野とポリウォーター・常温核融合

などグレーゾーンの科学である。彼はこれらの分野について有名な哲学者カール・

ポパーの見解を引き、科学と疑似科学の線引き、実証と反証は何れも簡単ではな

いとする。例えば科学研究が進み、最も多くのノーベル賞科学者を輩出する米国

で2000年代においても学校でダーウイニズムや進化論を教えるべきかにつき裁

判事例が見られるのもこのことを示す。

 

 これらの中で幾つかについて著者の見解を拾うと以下のとおりである。著者は

占星術を「天体の位置が地球に影響を及ぼすという信念」と定義する。この信念

は無害であると共に、潮の満ち引き、季節の変動などある部分では真とも言える。

古代から中世までこの信念は多くの地域で航海・農業などに利用された。これが

周縁部に追いやられたのは、地動説が抬頭した17世紀、更には気象学が発展した

19世紀半ばであるが、一方今でも占星術を元にした星占いは科学ではないにせよ

多くの人に影響を及ぼしている。次にこれも長い歴史を有する錬金術は欧州では

中世まで「アルケミ-」(錬金術)と「ケミストリー」(化学)が同義で使われて

いた。多くの人は「アルケミ―」は卑金属を金に変える研究と捉えるが、その実

験の多くが炉の熱で物質操作を行い、役立つ新しい物質を産みだすことだった。

実験室での実現はともかく現実の金は地球の熱が卑金属鉱石を熱してゆっくりと

形成されるものだから完全に誤りという訳でもない。それでも昔から「アルケ

ミ―」は詐欺だとの評判がたった。その理由は、実際に詐欺師が多かったこと、

徒弟制度やもっともらしい図像の作成などの秘密主義がその背景にあった。

ラヴォアジュの新化学が支配的になると終わったかに見えたが、19世紀にも霊的

な要素を加えて秘教的な継続がなされている。

もちろん、周縁化されてはいるが・・・

 

 次に反体制科学に分類される「骨相学」は、18世紀の終りにスイス出身の脳

生理学者フランツ・ヨーゼフ・ガルが構築したもので、脳の特定の器官の大きさ

によって人の精神的能力の強さを判断できるとするものである。この説はすぐに

疑似科学と非難されたが、多くの信奉者がいた。教育や司法を司る体制派から批

判されても、急進的な反体制派(主に国教会不支持)はこれを下層階級に広めよ

うとしたが、資金的な行き詰まりにより周縁化を余儀なくされた。

 

 最後に心霊科学に分類されるメスメリズム・心霊主義の叙述を見てみよう。

メスメリズムは18世紀の後半、ドイツ出身の医師フランツ・アントン・メスマー

がパリで精神的・生理的に種々の疾患を緩和する治療を施し、その自然的説明を

提示したものだ。彼は宇宙全ての物体に浸透する微細な流体を発見し、その流れ

の不安定が疾病をもたらすと考えた。磁気を帯びたメスマー流体を体内に注入す

ると健康が回復できた。人気のあまり、女性に対する怪しげな治療の横行やラヴォ

アジェに主導された委員会による主観的効果の否定などにも拘らず、磁気流体を

利用した治療はイギリスでも流行した。この延長上にあるのが、19世紀半ばに

米国で発し、霊との交信が可能とする主張であり、後イギリスで隆盛となった

「心霊主義」だ。霊媒の多くは下層階級の女性や少年で音の効果、物の移動など

諸種の交霊会が実施された。研究者の多くは、伝統的な宗教的信仰の危機が精神

面にもたらす影響としたが、一部の科学者は脳内信号が電磁エーテルと相互作用

した結果、生じた物理的現象であると肯定的に捉えている。日本でも人気を博し

たユリ・ゲラーの超能力など多くの事例が報告されていると共に英国のノーベル

賞物理学者ブライアン・ジョセフソンはかつて超越瞑想を研究した時期もある超

心理学支持者である。米国では名だたる有名大学の心理学者の多くが超心理学の

研究に取り組んでいる。

これほど左様に疑似科学と科学の線引きは一筋縄にはいかないもののようだ。

 本書には取り上げられていないが、薬のプラシーボ効果なども純粋科学におい

てはどのように説明できるのか、周縁部の広さは計り知れない。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆【私の一言】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

    『トランプ大統領の主張に共和党は反論出来ない訳を解く』

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                              福山 忠彦

 

 1980年代にミシガン州に行った時、共和党員だと名乗る人に出会いました。

「明日は久しぶりに党員集会に参加する。楽しみだ。」といそいそと仕事を片付

けていました。彼は典型的な共和党支持者でした。当時私の抱いていた共和党

の支持者は日の出から働き、夕暮れ時に夫婦で神に一日の感謝の祈りをささげ

る純朴な農民を支持基盤としていました。一方、民主党支持者は民主主義、資

本主義を先導する人たちで先端技術、世界を強く意識する行動をとる人たちで

した。故ケネディ大統領が代表例です。私は両陣営が政権を交互に担当するア

メリカの懐の深さを素晴らしいと思っていました。ところが共和党からトラン

プ氏が大統領として現れて違和感を覚えました。第二次トランプ政権になると

その思いは益々強くなりました。なぜ彼が共和党を基盤としているか、なぜ共

和党は彼を排斥しないのか、そもそも両党は何を訴えているのでしょうか。

・共和党は政府の役割を小さく抑え、伝統的な価値観を大事にする保守的な政党

・民主党は政府に積極的な役割を求め、福祉や人権を重視するリベラルな政党

これが一般的な説明ですが具体的には共和党はどのような考えを持っているの

でしょうか。

・地球温暖化問題には懐疑的な議員が多く省エネルギーよりも短期的な経済効

率を優先し、2001年にはジョージ・W・ブッシュ政権は京都議定書から離脱し

ています。

・外交政策は単独行動の傾向が強く国際協調を重視する民主党と好対照です。

・イスラエル支援を信仰の柱とするキリスト教福音派から強い支持を受けてい

ます。

・共和党員の多くは銃保有を合憲とし銃を保有し続けています。

・国による健康保険制度は膨大な国庫負担がかかる、保険運用のため政府組織

が肥大化する、健康問題という極めて個人的な問題であるとして民主党の保険

制度に反対しています。

トランプ大統領は「関税ほど美しい言葉はない」と貿易赤字国に対して関税を

引き上げ世界を驚かせました。共和党の関税に対する見解を探しました。見つ

け出しました。1921年に第21代大統領になったハーディングは高関税を課し

経済回復を狙い、選挙スローガンはなんと「America First」で選挙は圧勝で

した。このようにトランプ大統領が次々と打ち出す政策は共和党の方針に沿っ

たものであるため、共和党内部からの反対意見は大きくはありません。党員は

納得せざるを得ません。トランプ氏の発言や言葉の使い方に物議をかもすこと

はあっても共和党から排斥されることはないと思います。

Make America Great AgainやAmerica Firstなどの標語は共和党支持の方に

とってはすんなりと好意的に受け入れられるものです。豊かな発想、意表を突

く発言、素早い決断などのため共和党支持者も当初は大変面食らったと思いま

すが、実際のアクションはいままでの共和党路線通りです。それでも私にはト

ランプ氏のやり方には納得がいきません。人類愛や平和を取引の道具として扱っ

ています。私たちは幼い頃より人生は徳を積むことにある、徳のある人になり

なさいと言われて育ちました。徳はお金や名声よりも大切なのです。国のトッ

プにある人は人類愛や平和を願う心、さらに言えば徳を積むことを重視して

貰いたいと願っています。

 

 

編集後記

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  最近、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の記事が目立つせいか、最近少年の凶悪犯

 罪の加担の記事が目につきます。

 子供の非行を防ぐための家庭環境について、

 「①家庭が子供の居場所となるようにする。②親子間でコミュニケ ーションをとる。③子供の

 小さな変化に気づける距離感を保つ。④その上で、家族間だけでは 解決が難しい場合には、専

 門家に頼る。これらのことを意識しながら生活することが、子供が犯罪や非行を行わない対策

 の第一歩に なるのではないかと考える。」という指摘があります。 (200889_村田世奈)

 つまり、親と子が向き合って、家庭が 子供の居場所だと思える環境作りが子供の非行を防ぐ重

 要な課題という事であります。その低下の要因の一つには家庭の教育力の低下があるのではな

 いでしょうか。家庭の教育力の見直しを必要とする時期にきているのでないでしょうか。

 

 本号のご支援ご協力有難うございました。(HO)

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   第535号・予告

   【  書 評  】  庄子情宣 『日米密約史』(信夫隆司著 中公新書)

 【 私の一言 】  岡本弘昭 『価値観の転換』

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                      ■ ご寄稿に興味のある方は発行人まで是非ご連絡ください。

          ■ 配信元:『評論の宝箱』発行人 岡本弘昭

                          ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

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                                2026年5月1日
                                             VOL.533

                         
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                 書評、映画・演芸評をお届けします。


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  第533号・目次
 【  書 評  】   吉田竜一 『なぜ日本人は間違えたのかー
                                             真説:昭和100年と戦後80年』
             (保坂正康著 新潮新書)
【 私の一言 】   福山忠彦『オールドメディアの奮起と刷新への期待』




【書 評  】
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    『なぜ日本人は間違えたのか ー 真説:昭和100年と戦後80年』
                                ( 保坂正康著 新潮新書)
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                               吉田   竜一 


 歴史は一つの時代の同時代史から伝承すべき歴史へと移るとき、歴史の見方が
変わる一種の法則性があるという。これは、本来の歴史は同時代の当事者の意思
を超えて成り立つものであり、史実を実証主義的に積み上げて見直すためでもあ
る。それにより共通する法則、人間の行動原理等を知り、人類の教訓、歴史の知
恵を次世代につなぐことにも可能になる。

 本書は、昭和100年となる2025年に、昭和という日本の近現代史が語りついて
きた内容を実証主義的に見直し、誤って伝えられてきた内容を明確にし、また、
その原因を解明するという内容である。著者が取り上げた項目は、下記の8項目
でいずれも時代の流れの中で伝承されているが、実証的にみると事実と異なる点
が多く、それを明らかにし実証的分析の重要性と同時にその原因を探る。

 歴史に学び今後のわが国の展開を考えるための注目点は、戦後80年、日本人
の過ごし方とその問題点、および今後の対応を記した現代史の第8章である。
具体的には戦後のわが国は、敗戦を境にその前はすべて悪で、その後は自分たち
は善の側にいるという単純な図式で歴史を論じてきた。その背景は敗戦によるア
メリカン・デモクラシーがある。また、アメリカが国を守ってくれるという軍事
観から一国平和主義が蔓延し、憲法自体が平和を保障するかのように受け止め、
平和を守るに相応しい努力は欠けてきている。これは戦後という言葉に呪縛され
思考停止に陥っているためと見られる。しかし、人類史は戦争とともに発展して
きたという事実もあり、現在も世界各地で戦闘は行われている。こういう世界の
歴史の中で、我が国は極めて悲惨な戦争の経験を持つ。

 戦後80年、我が国は、悲惨な歴史から得られた経験や感覚を理論化し、理性や
知性で万人が納得する戦争回避策を作る努力をすべき時期にある。それは次世代
への重要なメッセージである。それには実証的に歴史の事実を把握し、戦後の呪
縛から脱却し、改めて平和への思考を活発化する必要がある。

 本書の目次は次のとおりである。歴史家でもある著者が、我が国の近現代の中
で、実証的分析を通じ改めて歴史の見直しをすべきとする重点項目であり、一読
に値する。
第一章 「昭和一〇〇年」とは何だったのか―左翼史観に歪められた歴史の見方
第二章 「あの戦争」とは何だったのか―大きな戦略に呑み込まれた日中・対米戦争
第三章 「二・二六事件」とは何だったのか―狂信者たちの目的は達成された
第四章 「東京裁判」とは何だったのか―平和と人道という名の下の復讐
第五章 「高度成長」とは何だったのか―経済官僚が挑んだ軍人への復讐戦
第六章 「田中角栄」とは何だったのか―大衆の生贄にされた無作為の社会主義者
第七章 「昭和天皇」とは何だったのか―時代の象徴にして人間天皇という二面性
第八章 「戦後八〇年」とは何なのか―言葉の呪縛と思考停止の時代


 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆【私の一言】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

         『 オールドメディアの奮起と刷新への期待 』

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                               福山 忠彦


 従来から存在する報道媒体(新聞、雑誌、TV,ラジオ)をオールドメディアと言
い、インタ―ネットの普及と共にSNSを中心としたニューメディア(ソーシャ
ルメディア)が対比されてもうかなりの年月が経ちます。SNSの普及は目覚ま
しく、今は政治、経済の分野にも深く浸透しています。SNSの普及は新聞離れ、
テレビ離れ、広告費の減収だけに留まらず、世論形成への影響力増大をもたらし
ています。政治面で特筆されるのは2024年に行われた東京都知事選で無名の候補
が立憲民主党の参議院議員の蓮舫氏を破って2位になって世間を騒がせました。
その後も兵庫県知事選では議会で不信任となった候補が再選を果たす事がありま
した。オールドメディアはそれを予知できずにいました。今ではSNS を巧みに
駆使する国民民主党や参政党が大躍進を遂げています。日本は国境なき記者団の
報道自由度ランキングで66位と振るわず、G7の中では連続最下位のままです。
昔は大手の新聞などは記者クラブを作り情報独占化を図っていましたが、今は
SNS上で様々な人や媒体から情報が飛び交いSNSで拡散されます。SNSの
特徴は双方向性と即時性にあり、オールドメディアの特徴は社会からの高い信頼
性と圧倒的な伝達力にあります。二つは対立するものではなく、相互補完の関係
にあると言えます。
 しかし、現実はニューメディアが優勢のように見受けられます。私が感じる米
国の現状報道を見るとオールドメディアには物足りなさを覚えます。私にはトラ
ンプ政権に対して二つの疑問がありました。一つは日本での何故アメリカ人の半
数もの人がトランプ支持者であるか。換言すると半数を占める共和党支持者は本
当にトランプの政策を支持しているのだろうか、もう一つはトランプ大統領が頻
繁に出す大統領令とは何だろうか、議会で承認の必要がなく全く恣意的に出せる
のは何故だろうかという二点です。調べてみました。
 トランプは共和党の党是を大枠ではしっかり守っています。共和党は政府の役
割を小さく抑え、伝統的な価値観を大事に、アメリカ・ファーストの考えを持つ
ため、地球温暖化問題には関心が薄く、国民皆保険には国レベルの問題ではなく
健康は各人の問題であると反対しています。外交政策は単独行動の傾向が強く国
際協調は苦手です。また交渉に関税を使うのも共和党には前例があります。
 彼はこの共和党の方針に従っています。彼の持つ豊かな発想、意表を着く発言、
素早い決断などで共和党支持者は、はじめは面食らったかもしれませんが今は慣
れてきたように見えます。そのため支持率が保持されているのかもしれません。
日本での報道を読むとトランプ政権は明日にでも瓦解しそうです。共和党支持者
の声、共和党有力議員の声、民主党議員の動きなどをもっと拾って報道して欲し
いと思います。トランプ発言の後追いに終始しています。
現実事象はニューメディアに任せて多面的な声の収集、洞察力のある記事をオー
ルドメディアに期待します。トランプ発言の記事を書くときには狙いは何か、
何故狙いは外れたか、アメリカ国民はそのことについてどう思っているかについ
て深絞りした情報収集をオールドメディアはして欲しいと思っています。このよ
うな観点からの記事をオールドメディアには期待したいと思います。今のままで
は、私たちは愚かな人ばかりがいるアメリカと誤解しますよ。


 編集後記
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    厚生労働省の人口動態統計の速報値によりますと、日本で2025年に生まれた子ども
   の数(外国人を含む)は前年比2.1%減の70万5809人で10年連続で過去最少を更新し
   たそうです。これは、国の将来推計より17年早いペースで少子化が進んでいるとの報
   道がありました。(日経新聞2/26)この日本の人口動向は、最終的には我が国の存
   立にかかわり、当面は社会保障などを持続可能にする給付と負担の見直しを含む制度
   の再設計やインフラの整備方針等にかかわる大問題です。このままいけば日本全体が
   社会心理的停滞状に陥る可能性もありそうです。
    この対策には、人口減少が将来にもたらす影響について、国民全体で正確な理解と
   危機感を持つことが必要であり、同時に政府が最新のデーターで改めてヴィジョン
   を策定し強力なリーダーシップのもとで戦略の果敢な実行が不可欠と言えますが。

    本号のご支援ご協力有難うございました。(HO)
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   第534号・予告
     【  書 評  】  三谷 徹 『疑似科学から科学をみる』
              (マイケル・D・ゴーディン著 岩波書店)
  【 私の一言 】 福山忠彦 『トランプ大統領の主張に共和党は反論出来ない訳を解く』

 
        

 

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                                 2026年4月1日
                                                VOL.532

                           評 論 の 宝 箱
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     第532号・目次
     【  書 評  】   岡本弘昭  『西洋の敗北と日本の選択』
               (エマニュエル・トッド著 文春新書)
   【 私の一言 】 三谷 徹  『四囲雑感』

  


【書 評  】
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                   『西洋の敗北と日本の選択』
                            ( エマニュエル・トッド著 文春新書)

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                                                                                 岡本 弘昭


 著者エマニュエル・トッド氏はフランスの歴史学者で家族類型と人口統計にもと
づく分析で国家や社会の変動を大胆に予言し、ソ連の崩壊、イギリスのEU離脱、
トランプ政権の誕生などを的中させてきた。

 2023年の著作『西洋の敗北』では、ロシア・ウクライナ戦争の結末は見えていな
い時期にかかわらず、ウクライナとヨーロッパの敗北を予見している。同時に、こ
の戦争は単なる地域紛争ではなく、世界史の重要な転換点となると指摘している。
本書は、この「西洋の敗北」の繋がりで、主に2024から2025の月刊誌「文藝春秋」
に掲載された記事を再構成し新書として書き下ろされたものである。

 具体的内容は、家族構成や伝統的宗教観の変遷などから、プロテスタンティズム
が世界を君臨する英米を支えてきたが、それが崩壊し結果として宗教ゼロ状態に陥
り、道徳面、教育面、知性面での退行が起こり、圧倒的な先進性を誇った西洋、米
国を含むアングロサクソン世界が内部崩壊すると予見する。これはウクライナ戦争
におけるウクライナ軍の敗北を通じて、経済支配や金融支配で世界を支配してきた
「米国覇権の崩壊」にも繋がる。これに伴い世界は多元化に向かうと予言している。

 本書は、このような歴史的見通しの中で、米国の同盟国であり、西洋の一端を占
める日本は、これから先どのように対応するかについて、著者の意見を述べている。
具体的には、「米国による世界制覇」において鍵を握っていたのは、欧州、中東、
東アジアという3地域であるが、米国はここで緊張を高め紛争や戦争を引き起こし、
そこに同盟国を引き込み同盟の強化を図ろうとしている。このような動きの中で 
「日本は国際政治にもっと関与すべき」という意見もあるが、著者は、ある種の慎
重さで可能な限り紛争を避けじっと見守る必要があるとしている。これは多極化し
つつある世界に慎重さを保ちつつ、自らを位置づけるためであるとしている。この
ほか現在のわが国の基本問題である核武装について、人口問題についての言及もある。

 世界は多極化の方向に動きつつあるように見受けられる昨今、我々は長期的視野を
持ち、それなりの対応が迫られつつあるとみられる時期にあるだけに、歴史家である
著者の本書は一読する価値があるといえる。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆【私の一言】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

                『 四囲雑感 』
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                                 三谷 徹


 千葉県の東京近郊に自宅を定めてから40年余りになる。引っ越し当初には歩いて
数分の所に水田を見かけた。その場所は随分前に開発され、2棟のマンションと数十
戸の住宅が建つ住宅街になっている。他に水田を見かけたことはないが、元々の農
業地帯に住宅や賃貸アパートが建ってきた地域なので、畑地はあちこちに沢山あり、
隣の市域にまたがって結構広大な畑が見渡せた場所もあった。
勤めを辞めてから、運動不足解消策として毎朝自宅の周囲を4 ~50分散歩に出かけて
いる。同じルートを歩く人も居るが、私は飽きやすい性格なので、東西南北幾つか
のルートをその都度選んで歩くことにしている。どの方向に歩いても、ここ何年か
で気になる景観の変化があるので紹介してみたい。
少し古い戸建ての住宅は相続が生じたのか、高齢化により都会のマンションや施設
に転居する人がいるのか、70~100坪位の住宅が建て替えられ、2戸か3戸の新築住宅
になっていく。古い家が小ぎれいな新築になるので見栄えは悪くないが、敷地が狭く
樹木がほとんどなく、緑の空間は大幅に減少する。何の風情もない木造賃貸アパー
トが建てられるケースもあり、街並み景観は悪くなってしまう。しかし、住宅から
住宅への建て替えは建築物の寿命もあるので、ある程度仕方のないことなのかもし
れない。

 一方、畑地は今も住宅の合間に相当数存在する。現に我が家の前も道路を挟んだ東
側は、比較的広い土地に、ハウスが数棟と路地植えの畑地が広がっている。とは言え、
このような地域でも毎年のように畑地が住宅地に転換されていくのが目につく。40年
前には散歩コースに少なくとも10か所以上の野菜直売スタンドがあった。これらが今
は我が家の斜め前1か所だけになってしまった。このスタンドもご主人(推定私と同
年代)の体調が悪いらしく、奥さん共々顔を見せず閉鎖中である。近郊農業の収支に
ついて詳しくは知らないが、この畑、ご主人も奥さんも朝から夕方まで本当によく働
いていた。あの位働かなければ採算が合わないとなると、後継者を見つけのるは容易
ではないことは想像がつく。現に息子さんは時に手伝ってはいるものの、本格的に継
承しそうな様子はない。同様の状況下で、後継者の不足、採算の悪化等種々の要因で、
維持困難な農地が宅地やアパートに転用されていくのだろう。不動産市況が好調なた
めでもあろうか、散歩コースの中だけでも実に多くの農地が宅地転用されるのを見て
きた。これらは自然景観がなくなるので、宅地から宅地への変化よりもさらに寂しさ
を感じるのだが、ことは果たしてそれだけで済むものなのだろうか。
たしか日本はカロリー換算で40%(生産額べースでは62%)を切る食料自給率を数年
のうちに45%位まで引き上げるという基本方針があったと思う。東京近郊の畑地の自
給率への貢献は大きくないのかもしれない。とは言え、このような状況を見るにつけ、
基本方針は大丈夫かと不安になってくる。
戦後日本の農政はコメの自給自足を中心に、農協経由の補助金行政を実施してきた。
それがコメの消費減少につれ、減反政策が実施され、小麦、大豆など他の穀類への転
換が奨励されてきたようだ。しかし、現実には補助金の幅の違いで穀類、野菜への転
換は計画通りに進んでいないと聞く。加えて昨年は減反と需給見通しの誤りによって、
急なコメ不足が生じて大幅な価格高騰が発生し、これは現在も継続中である。消費が
減少したとは言え、日本人の主食であるコメを中心にした農政を展開するのは妥当と
思う。しかし、戦前でもあるまいしコメだけで現代人が食生活を送る訳ではない。小
麦、大豆、野菜も相当部分を自国で生産できなければ食糧安全保障にはならないだろう。
厳しい財政運営の中で防衛費、経済対策、災害予防など国費を配分しなければならな
い分野は限りない。エネルギーと共に農業の強化も海に囲まれたわが国では大事な経
済安全保障につながる分野だと思う。GDPにおいても、就業者数においても、たか
だか3%に満たない第一次産業に限られた予算配分を行うことは決して簡単なことで
はなかろう。人口減少の下での後継者不足、インフレによるコストの高騰、天候不順
の継続など第一次産業を取り巻く環境は厳しい。それでも、人口減少と高齢化が一層
進む前に、農業後継者の拡大、需給見通しに応じた価格政策、コメ以外への適切な補
助金政策、零細農地の規模拡大策など自給率の向上に取り組まなければ、我々の世代
は何とかなっても次世代、次々世代の人々は単に景観が悪くなったという感慨にとど
まらない被害に悩むことになるのではなかろうか。コメの価格が高止まりする中で、
生産減少目標を表明した農政は本当に大丈夫なのか。私は現状供給を増やすことが求
められるはずだと思うが、それができない事情とは何だろうか。
かく落ち着かぬ気持ちを抱きつつ、今朝も秋野菜や秋の花を見ながら散歩から帰って
きた次第である。


   編集後記
   ∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
    「今般の米軍のイラン攻撃に関して、トランプ大統領はCIAなどの情報機関ではなく、娘婿の

   ジャレッド・クシュナー氏の助言に基づいて決断されたそうです。クシュナー氏はイスラエル

   のネタニヤフ首相の情報を鵜呑みにし、「攻撃すればすぐに終わる」と報告したとされます。

   トランプ氏は今になって「あいつの言うことを聞きすぎた」と親子喧嘩を始めています。

   あらゆる情報組織を持つ大統領が、身内の助言だけで戦争を決断する──これが世界最大の軍

   事力を持つ国の現実なのです。」との記事がありました。(研一氏のニュースの視点KON1123:)

    ところで「兼聴する」とは、広く意見を聞くことをいいます。
   貞観政要に、唐の太宗が、魏徴に「何をか謂いて、明君、暗君となす」と聞かれた。
   魏徴、答えて曰く、「君の明らかなる所以のものは、兼聴すればなり。その暗き所以のものは、

   偏信すればなり」とあります。
   リーダーたるもの「兼聴する」ことは必須の条件と言えますが、米国は大丈夫しょうか。

   日本はどうでしょうか。

    本号のご支援ご協力有難うございました。(HO)
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    第533号・予告
     【  書 評  】  吉田竜一 『なぜ日本人は間違えたのか』(保坂正康著 新潮新書)
   【 私の一言 】   幸前成隆 『感動がなければ』

 

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                           2025年4月1日
                             VOL.511
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【 書 評 】 西川紀彦 『寝ながら学べる構造主義』
             (内田樹也著 文春新書)
【私の一言 】  吉田竜一 『平等と公平』

【 書 評 】
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◇            『 寝ながら学べる構造主義 』 
◇         (内田樹也著 文春新書)
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                         西川  紀彦

最近少し哲学に興味を持ち始めたから知った本である。
帯封に20年間読み継がれている超ロングセラーと宣伝されている。

1 “構造主義”とは何ぞやではあるが、よく目にするのは”ポスト構造主義“という言葉だ。
構造主義とはどうもニーチェ、フロイト、マルクスといった19世紀から20世紀前半にかけて活躍した思想家達以前までの基本的考え方、すなわちギリシャ哲学から連綿と続く思想、言ってみれば神を中心に置き不断に変わらない善悪、正義・不正義、道徳等に対して、正反対の考え方即ち、歴史的時代や地域によって善悪をはじめとするあらゆる思想・考え方は時代時代に個別に変化して成立しているのであって、例えば新石器時代と現代を比較して生活様式の優劣を問うことはできない、深く歴史を見れば、この評価は人間にとって同等の文化であるという考え方を基本とするものであり、今日ではごく当たり前の考え方であるといえる。

著者に次の解説がある(以下『 』内の文章はすべて著書からの抜き書きです)
・『構造主義というのは、一言で言ってしまえば、次のような考え方のことです。
私たちはつねにある時代、ある地域ある社会集団に属しており、その条件が私たちのものの見方、感じ方、考え方を基本的なところで決定している。だから、私たちは自分が思っているほど、自由に、あるいは主体的にものを見ているわけではない。
むしろ私たちは、ほとんどの場合、社会集団が受け容れたものだけを無意識的、選択的に、「見せられ」「感じさせられ」「考えさせられている」。そして自分の属する社会集団が無意識的に排除してしまったものは、そもそも私たちの視界に入ることなく、それゆえ、私たちの感受性に触れることも、私たちの思索の主題になることもない。私たちは自分では判断や行動の自律的な主体であると信じているけれども、実は、その自由や自律性はかなり限定的なものである、という事実を徹底的に掘り下げたことが、構造主義という方法の功績なのです』(p25)

・『中心に固定的・静止的な主体がおり、それが判断したり決定したり表現したりする、という「天動説」的な人間観から、中心を持たないネットワーク形成運動があり、そのリンクの絡み合いとして主体は限定される、という「地動説」的な人間観への移行、それが20世紀の思想の根本的な趨勢である、と言ってよいだろうと思います』 (p32)

2.ところで”ポスト構造主義“というと、構造主義を超えた何か新しい思想の塊を意味するのかと思っていたが、そうではなく前述の3人が舵を切った新しい考え方=構造主義といわれるものの発展形を言うのであって、根っこのところは構造主義的考え方は少しも変わっていないという。
この本で取り上げている思想家は、フーコ、バルト、レビュー=ストロース、ラカンで構造主義の4銃士と著者は言っている。尤もソシュールというという思想家がいて、この人が構造主義の始祖として先のニーチェ等以後の先陣として取り扱われている。ソシュールの主張する言説は「言葉」と「物」=対象物との関係を次の文章で説明している。

・『あるものの性質や意味や機能は、その物がそれを含むネットワーク、あるいはシステムの中でそれがどんなポジションを占めているかによって事後的に決定されるものであって、そのもの自体のうちに、生得的に、あるいは本質的に何らかの性質や意味が内在しているわけではない(p71)。
ソシュール言語学はこの自我中心主義に決定的なダメージを与える利器であることが明らかになります』(p75)

このことが構造主義とどのように関係するのか一一明快ではないが、恐らく「物の名前は例えば羊という言葉をSheepといい、またmutton というふうに利用の仕方によって言葉は切り分けられる。同じくseveral,お天気等、地域、国、民族に
よって同じ言葉でもその内容は異なるということだ。

3・この4銃士のうちで一番理解しやすいのはレビュー=ストロース、次はフーコ(ニーチェ思想を受け継いでいるように思われる)、バルトについては記号学の父といわれるが、評者には内容がさっぱりわからない、ラカンはフロイトの思想に近いようでいくらか理解できる。

・『17世紀ヨーロッパをフーコは「大監禁時代」と呼んでいます。それはこの時代になって、近代社会は「人間」標準になじまないすべてのもの―精神病者、奇形、浮浪者、失業者、乞食、貧民などさまざまな「非標準的な個体」-を強制的に排除、隔離するようになるからです。標準化は時代が下がるにつれてますます過激化し,近代ヨーロッパの「監禁施設」には、自由思想家、性的倒錯者、無神論者、呪術師からついには消費家に至るまで、およそ「標準から逸脱する」あらゆる人間たちが収監されるようになります』(p90)

レビュー=ストロースはフィールドワークから文化人類学を打ち立てた人でマルクス的なところがあるように思う。
彼の主張を読んで発見したことは、人類の“贈与”機能が歴史上果たす役割を非常に重要なキーワイドと見た点である。偶々、柄谷行人氏の「力と交換様式」で主張している「贈与」概念と似たことを言っていたわけである。
人類は贈与による反対給付を色々な地域、時代で時間的ズレを伴って行ってきた。

・『レビュー=ストロースによれば、人間は三つの水準でコミュニケーションを展開します。財貨サービスの交換(経済活動)、メッセージの交換(言語活動)、そして女の交換(親族制度)です。どのコミュニケーションも、最初に誰かが贈与を行い、それによって「与えたもの」が何かを失い、「受け取ったもの」がそれについて反対給付も責務を負うという仕方で構造化されています。それは絶えず不均衡を再生産するシステムや、価値あるとされるものが、決して一つの所に留まらず、絶えず往還し、流通するシステムです』(p164)。

・『レビュー=ストロースの構造上の知見は、私たちを「人間とは何か」という根本的な問いへと差し向けます。
レビュー=ストロースが私たちに示してくれるのは、人間の心の中にある「自然な感情」や「普遍的な価値観」ではありません。そうではなくて、社会集団ごとに「感情」や「価値観」は驚くほど多様であるが、それらが社会の中で機能している仕方はただ一つだということです。人間が他者と共生していくためには、時代と場所を問わず、あらゆる集団に妥当するルールがあります。それは「人間社会は同じ状態にあり続けることはできない」と「私たちが欲するものは、まず他者に与えなければならない」という二つのルールです(p165)。

評者には青春時代サルトルの実存主義が旺盛極めていた記憶があるが(そもそも実存主義とは何ぞやとわけがわからなかったが・・・)、レビュー=ストロースはこれを見事に論破してサルトルの出番をなくしたと著者は言っている。

・ 『サルトルは「歴史」を究極の審級とみなします。それは未開から文明へ、停滞から革命へと進む、単線的な歴史プロセスの上ですべての人間的営みの「正否」を判定するということです・・・』(p149)
 
ところでこの本は題名が「寝ながら学べる構造主義」となっているので、評者もずっとベッドに入ってから読み続けた。しかしどれだけ理解できたか自問すると50%程度かと思い、この本の題名は“寝ながらでは理解できない構造主義“と評者にはなってしまった。また、前書きには、著者の市民講座を行ったノートから平易に心がけてこの本をまとめたといっているが・・・。
現にこうして{評論の宝箱}に読後感を書いてみると全くまともに書くことができない非力を感じている。
尤も哲学とは難解で、ギリシャから19世紀のポスト構造主義以前の西洋哲学はどちらかというと西洋史をある程度知っていれば、単線的で理解可能で易しいのかと思った次第である。

最近出版された「哲学史入門1,2,3」(NHK出版新書2024/4~6)でわかったのですが、構造主義の哲学といっても、現代哲学の一分野に過ぎなく、現象学とか分析哲学とか他の分野があり、現代哲学というのは、恐ろしく難解で裾野の広い世界であり、探求が尽きない対象であると今更ながら感じている。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆【私の一言】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

          『平等と公平』
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                      吉田 竜一
「平等」の「平」と「等」は、近い意味の漢字を並べた単語です。辞書によれば「偏りや差別がなく、みな 等しいこと。」とあり、扱いが「同じである」ということです。
 一方、公平の「公」と「平」は全く意味の違う漢字が組み合わさっています。「公」とは、「おおやけ」ですから、「公(おおやけ)」に見て、扱いが「平ら」である必要があるわけです。平等と公平、実は大きな違いがあります。
例えば、国家や地方自治体が何かしらの補助を行うとき、「平等に行う」ことと「公平に行う」ことの場合では、全く違った結果になる のです。」(東長良中学校 丹羽氏)

つまり、「平等」とは、誰もが同じ能力だと画一的にとらえ、平均的 な人物像を思い描き等しく扱うことです。一方 「公平」は、人によって能力は「差」があることを認め、 その人の能力に合わせて対応することです。例えば、丸いケーキを家族で切り分けるとき、体の大きさ等に関係なく、等分するのが 「平等」で、いろいろな基準でそれぞれに相応しい大きさでケーキを切り分ける方法が「公平」ということになります。

平等は、それぞれの人の特性や尊厳を無視し、「不公平」 につながる危険性があるといえます。 しかし、違いや差を認めそれを尊重し個別の状況を判断し対応することが公平といえます。ただ、公平にも問題点はあります。全員が満足する個
別の状況の判断には膨大な資源やコストを要する場合もあり、現実的には資源に限りがあるので、限界ラインや足切ラインは必ず存在するということです、また、機会の平等に反する場合も出てくることもあるということです。

現代の日本は戦後のアメリカによる影響も多く、平等第一主義の傾向が強い風土にあります。しかし、これからの日本は、世界の多様・多文化の潮流の中で伸展するためには単純な平等第一主義ではなく、平等と公平のそれぞれの長所と短所を踏まえ、そのバランスのうえで時流に沿った対応をとることが期待されているといえましょう。

編集後記
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2023/11/14発表の、「電通総研クオリティ・オブ・ソサエティ」レポートに、「日本人であることへの誇り」についての時系列のアンケート調査があります。(日本人12,000人を対象)
「あなたは、日本人であることに誇りを感じますか」という設問に対し、2023年調査では「誇りを感じる」人の割合は(計)60.6%」、「誇りを感じない」人の割合は(計)11.8%でした。
5年前の2019年調査では「誇りを感じる」は(計)72.2%。また、「誇りを感じない」は(計)6.8%でした。つまり、日本人であることに「誇りを感じる」人はこの5年間で11.6ポイント減少し、一方「誇りを感じない」人は4.9ポイント増加したという事です。
国家や国民について意識を強く持たざるを得ない世界の潮流の中で、この日本人の意識の変化傾向をどう見ればいいのでしょうか。

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 第512号・予告
【 書 評 】 庄子情宣 『「日銀」が日本を滅ぼす』
          (ジム・ロジャーズ著、花輪洋子ほか訳 SB新書)
【私の一言 】幸前成隆 『言、時を得るか』
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                    2025年3月15日
                            VOL.510

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 第510号・目次
【 書 評 】 岡本弘昭 『3度目の日本』(堺屋太一著 祥伝社新書)
【私の一言】 岡本弘昭 『国づくりの基本軸』



【書評】

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 ◇        『 三度目の日本 』
 ◇     (堺屋太一著 祥伝社新書)
───────────────────────────
                      岡本 弘昭


 多くの著作で未来予測を的中させてきた堺屋太一氏が死の直前に書き残した日本人への最後の提言が本書であるという。本の表紙には「絶筆」とある。
著者は、日本は2020年代に、少子高齢化或いは国際情勢等何らかの理由から転換期を迎える。これに対してしっかりしたビジョンを持ってそれを乗り越える必要がある。
それは「楽しい日本」。具体的には画一性を排し多様性を引き出す社会を創る方向で転換期を乗り越えるべきとする。2019年の著作であるが参考になる点が多い。
日本の現状を打破するべきとする多くの人に読んでもらいたい本である。

概要は次の通り。
 一国の社会の大きな仕組みは、しかるべき価値観で出来あがっている。その価値観は、突然否定され、大転換を余儀なくされることがある。日本は近代の150年間でこの時代の大転換期を2度迎えている。
一度目は黒船に敗れて開国を強いられた江戸時代末期の幕藩体制が崩壊し開国と富国強兵により「強い日本」を目指した時、二度目は太平洋戦争で国土が焼け野原になった敗戦時。二度目の大転換期に我が国は平和主義と経済大国を目指し
「豊かな国」を実現してきた。
そして著者は2017年から2026年の間に戦後の価値観の時代は終わると見ていた。

 戦後の日本は、敗戦の廃墟の中から衣食住の豊かさを希求したことから「豊かさ」を価値観とし、安全・平等・効率を正義とする倫理観とした。これを基に経済官僚主導で「業界協調体制による規格大量生産の近代工業社会」で豊かな国を
実現してきた。
しかし、昭和時代の終わり頃から経済成長は鈍化し、2020年代は日本の経済はさらに冷え込む可能性が強い。また戦後の官僚主導で築いてきた厳格な規制と運用は全日本人の人生を規格化し、さらに豊富な物質は日本社会を低欲望化するな
どの風土をもたらした。
つまり、未来への夢がなくなったといえる。

 これでは時流に対応できず、逆にかつての諸策の弱点が露わになりつつある。
このままでは日本に未来はない。価値観の大転換には地獄の嵐があるが、それを乗り越えて、三度目の日本を創る必要がある。それには、戦後の日本を構造的に支配してきた官僚主導体制を断ち切り、政治主導=民主導を復活させ、同時に第
4次産業革命によって余暇が増え、人間の思考が深まり楽しみが広がる時代である事を踏まえ、多様性を引き出す「楽しみを正義とする」「楽しい日本」を目指すことを提言する。        
令和の現在、我々は三度目の時代の転換期を迎えている。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆【私の一言】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

        『国づくりの基本軸』
───────────────────────────
                      岡本 弘昭


 石破総理は今年の施政方針で、新しい日本を創る上で価値の転換の重要性を説き、その基本軸として堺屋太一氏の「楽しい日本」を引用している。趣旨は「人口減少が本格化する今、「三度目の日本」として目指すべき国家像が「楽しい日本」。
一人一人が自分の夢を目指し、楽しいと思える地方を官民が連携して作り出し、都市に住む人も、地方に住む人も相互につながり、全ての人に安心と安全を保障し、希望や幸せを実感する社会が「楽しい日本」の姿で、これから目指すべき日
本の将来像です。」としている。
                     
 これに対する各党・各方面の反応は関心が薄いか、あるいは現実と乖離している等として厳しく冷ややかに扱われている。この原因は、日本創りが2年程度の短期間で異動する官僚主導で行われ、また、総理も在任期間が決して長くないた
め、日本では長期的観点の思考は無理となっているとの指摘もある。しかし、日本の現状は価値観の転換、発想の転換は不可避の時期にあることは万人の認めるところである。国民としては我が国の未来のために国づくりの基本軸をもっと丁
寧に議論する、或いはできる環境を作るべきである。
 そのためには今年の国政或いは地方議員の選挙での政党・人材選びは日本の将来に大きく影響を与える重要なポイントの一つであろう。

 参考のため、石破総理の施政方針の「国づくりの基本軸」は次の通りである。
「今年は戦後80年、そして昭和の元号で100年に当たる節目の年です。これまでの日本の歩みを振り返り、これからの新しい日本を考える年にしてまいります。
そのためには、わが国の直面する現実を直視しなければなりません。
わが国の生産年齢人口は、これからの20年で1500万人弱、2割以上が減少すると見込まれます。このような中、かつて人口増加期に作り上げられた経済社会システムを検証し、中長期的に信頼される持続可能なシステムへと転換していくことが求められています。
今や、わが国は「人材希少社会」に入っています。年齢や障害の有無にかかわらず希少な人材を大事にする社会づくり、すなわち、国民一人一人の幸福実現を可能にする、人中心の国づくりを進め、すべての人が幸せを実感できる、人を財産として尊重する「人財尊重社会」を築いていく必要があります。
加えて、食料自給力、エネルギー自給率が低い現状では、外的な事象に国民生活が大きく影響を受けてしまう懸念があります。より自立した形で国民生活を守ることができるよう、戦略的な国家運営が必要です。

 新しい日本を創る上で、「サステナブル」で「インディペンデント」であること、すなわち持続可能で自立することを重視しなければなりません。そのため、価値観の転換が必要だと考えます。
故・堺屋太一先生の著書によれば、わが国は、明治維新の中央集権国家体制において「強い日本」を目指し、戦後の復興や高度経済成長の下で「豊かな日本」を目指しました。そして、これからは「楽しい日本」を目指すべきだと述べられています。
私もこの考え方に共感するところであり、かつて国家が主導した「強い日本」、企業が主導した「豊かな日本」、加えてこれからは一人一人が主導する「楽しい日本」を目指していきたいと考えます。
「楽しい日本」とは、すべての人が安心と安全を感じ、自分の夢に挑戦し、「今日より明日はよくなる」と実感できる。多様な価値観を持つ一人一人が、互いに尊重し合い、自己実現を図っていける。そうした活力ある国家です。
外交・安全保障体制、防災立国、感染症対策など危機管理を確立し、賃上げと投資を牽引(けんいん)する成長型経済を実現するとともに、人財尊重を基軸として、楽しさを実現できる、バランスの取れた国づくりを目指します。」


編集後記
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 老害という言葉があります。これは「企業や政党などの組織で主要ポストの若返りをすべき時期がきているのに、ベテランが居座ることによってそれができない状態」のことを指していました。そのため一部の人にだけ適用される言葉であったし、社会的に成功していたり、何かしらの恩恵を享受している人を揶揄する言葉でした。
しかし、今では、「他人の意見を聞かずに時代遅れの持論を周囲に押し付ける高圧的な高齢者」という意味合いになってきているそうです(2024/6/17 平松類(日経グッデイ)
 少子高齢化が急速に進展する現代、老害は増加する傾向があるのではないでしょうか。時代の転換期には定年制も立派な社会ルールともいえるのかもしれません。
最近ある党で長老政治批判で30年前に取りやめた最高顧問役職を復活したそうです。
どういう運用になるのでしょうか、注目されます。

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 第511号・予告
 【 書 評 】 西川紀彦 『寝ながら学べる構造主義』

            (内田樹也著 文春新書)
 【私の一言】吉田竜一 『平等と公平』
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                     2025年3月1日
                               VOL.509


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 第509号・目次
 【  書 評 】  加藤 聡『異次元緩和の罪と罰』

            (山本謙三著 講談社現代新書)
   【私の一言】 幸前成隆 『人知るもよし 知らざるもよし』



【書評】
───────────────────────────                    『異次元緩和の罪と罰 』 
      (山本謙三著 講談社現代新書)
   ───────────────────────────                       

                      加藤 聡


 かねて安倍首相の主唱する経済成長政策、黒田日銀総裁が主導する「異次元の金融緩和政策」については、疑問を感じていました。
 たまたま山本謙三著「異次元緩和の罪と罰」(講談社現代新書 以下「著書」と記す)を読んで、日銀OBの山本氏が 黒田日銀が行った異次元緩和は空前かつ異例なものであったこと、そして日本銀行(以下「日銀」と記す)が国の発行する国債をほぼ丸抱えするかたちで保有してきたことは、事実上の財政ファイナンスであり、非常に問題であると主張されていることを知りました。私もかねてから日銀による国債の取得はいったん市中で引き受けた国債を比較的短期間で買い取っていること、買取りの形で日銀が取得する国債が膨大な金額になっている(2024年9月末時点での日銀保有公債残高576兆円、わが国の名目GDP615兆円で、国のGDPにほぼ匹敵する)ことから、これは事実上日銀による国債引き受けではないかと危惧していました。
 山本氏は著書の中で、黒田日銀が推進してきた金融政策について、多くの問題点を指摘しておられますが、私は、今回はこの日銀による国債(本文では地方債等を含めた公債を簡略化して「国債」と記す)の買取り・保有問題に絞って、山本氏の指摘する問題点を私なりに整理してみようと思います。

 山本氏は著書のなかで、2023年3月時点の日銀の貸借対照表(以下「B/S」と記す)をもとに、国が国債という形で資金調達する(おかねを借りる)ものだから、国債の発行は国の債務であり、国のB/Sと一体でとらえる必要があるとし、日銀のB/Sと国のB/Sを併記し、再整理して提示されています。(著書P.220~P.226)
 山本氏が整理したB/Sの詳細と山本氏の主張内容は、著書を見ていただければわかるので、ここでは山本氏の主張されるポイントのうち、日銀の国債取得・保有の問題を採り上げます。

 山本氏が整理し、示している日銀の2023年3月時点でのB/Sでは、資産として国債が582兆円、一方負債のほうで民間金融機関等が日銀に預ける当座預金(支払い準備預金)が549兆円計上されており、見合ったかたちになっています。そして当座預金のうち法定の準備預金は13兆円にすぎない。差額の536兆円の大半は民間金融機関が自主的に預けているものでるから、いつでも取り崩し可能であり、よほどの高金利をつけない限り残高が残ることはないとコメントされています。(著書 P.234~236)
 準備預金の趣旨からいって、そのとおりかもしれないとは思いますが、それにしても500兆円を超える多額の資金が日銀に預けたままになっているのは、なにか別の理由・事情があるのでしょうか。

 考えられる理由としては
 イ.たまたま資金的に余裕があり、一時的に預けているに   過ぎない
 ロ. 日銀への法定限度を超える準備預金については年0.1%の利息がつくので、金融緩慢期の資金運用はメリットがある 
 ハ. 国債買取りはいつ要請があるかわからないので、買取り要請に備えて相当金額をリザーブしておく必要がある
 

 などが思い浮かびます。

 ちなみに法定限度の準備率は、銀行の場合、1991年10月以降月中平残ベースで、定期性預金については0.05%~1.2%、その他の預金については0.8%~1.3%の割合の金額を日銀に預けるように決められています。
また法定準備預金については年0.1%(2024年3月19日以降)の利息がつきます。超過準備預金の金額は、制度適用先でみると2020年9月以降おおむね400兆円を超える超過準備
預金の残高が維持されています。
 超過準備預金が多い理由としては、どうも上記イではなく、ロ、ハであるような感じがします。そうだとすれば、金融機関の実情は、金融緩和期の後遺症か、資金運用に苦労していることが想像されます。
 
 いずれにしろ、国が経済の実情をあまり考慮せず、民間にしわ寄せするのは感心できません。
 異次元緩和の結果としては、結局経済成長に貢献はしなかったこと、日銀引き受けによる国債発行が財政悪化という結果しかもたらさなかった、ということだと思います。

 今回山本氏の著書に大いに触発されたことを記し、あわせて金融の本来のあり方について、私の次の基本的な認識を記し感想とします。
・山本氏は 日銀の国債取得は、事実上の財政ファイナンスであるという指摘はそのとおりだと思う
(そもそもわが国では、財政法第5条により、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせてはならないと定められている。これはわが国が、戦時中多額の戦費を国債の日銀引き受けによりまかなったため、後に悪性のインフレに見舞われたという苦い経験によるものとされている。)
・年2%という物価目標は近時グローバル・スタンダードになっているというコメントがあったが(著書P.238)、中央銀行の使命は金融システムの維持・安定を図ることである(ということは、物価が限りなくゼロに近い水準で維持されることがまず基本ではないか)
・いま一つ、金融政策運営は、政府から独立した中央銀行に任せるというのが、世界的にも支配的になっているという。(日銀のHP 「新日銀法の概要」から)
日銀が中央銀行として独立性、中立性を保てるよう、今後も見守っていきたい。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆【私の一言】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

      『人知るもよし 知らざるもよし』
───────────────────────────
                     幸前 成隆


「花は黙って咲き、黙って散って行く(柴山全慶)」。
「見る人の心こころにまかせおき、花はしずかに咲き匂うなり」。
「あれを見よ深山の桜咲きにけり、まごころつくせ人知らずとも」。

「人知るもよし、知らざるもよし、我は咲くなり(武者小路実篤)」。
「しら玉は人にしられず、しらずともよし、しらずとも我ししれらば、しらずともよし」。
人が認めてくれなくても、怒らないこと。
「人知らずして、慍(いきどお)らず(論語)」。
また、人に知ってもらいたいと求めないこと。
「人の知らんことを求むるなかれ(宋名臣言行録)」。

「人は人たり。我は我たり(福沢諭吉)」。他人が何といおうと勝手。
「行蔵は我に存す。毀誉は他人の主張、我に与からず、関せずと存じ候(勝海舟)」。
「誉を求めず、誹を避けず(淮南子)」。
「寵辱にも驚かず、閑かに庭前の花咲き、花落ちるを看る(菜根譚)」。
「世に毀られざる人なし(法句経)」。
「世の中の人は何とも言わば言え、我がなすことは我のみぞ知る(坂本竜馬)」。
「世の人はよしあし事もいわばいへ、賤が心は神ぞ知るらん(吉田松陰)」。
「叢雲のかからばかかれ我は月」。

 人生は、
「みずからの歩幅で歩くほかはない、道に咲くタンポポ、スミレ(安田青風)」。
「見る人の心ごころにまかせおきて、高嶺に澄める秋の夜の月」。
「黙々として天とともに語り、黙々として天とともに行く(西田幾太郎」。
 座標軸をしっかりと、生きることが大事である。


編集後記
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 2025年1月23日のプレジデントオンラインの記事「認知症リスクは3倍、寿命は10年縮まる…「悪口を言う人」に最低最悪の人生が待っている科学的理由」の一部をご紹介します。

「東フィンランド大学の研究によると、世間や他人に対する皮肉・批判度の高い人は認知症のリスクが3倍という結果になりました。
悪口を言い続けていると、ストレスホルモンであるコルチゾールを分泌します。コルチゾールは、記憶の保存に関わる海馬の神経を破壊し、過剰なコルチゾールは前頭前野の神経ネットワークのつながりを40%も破壊します。悪口を言うことで、認知症を発症するほどのダメージを脳に与えるのです。(中略)
同大学の研究でも、皮肉・批判度の高い人は死亡率が1.4倍にも跳ね上がり、批判的な傾向が高ければ高いほど、死亡率は高まる傾向がありました。悪口が多い、ネガティブな言葉が多い人は、寿命が縮むのです。
悪口を言うとアドレナリンが出ます。あるいは、怒ったときにもアドレナリンが出ます。
たまになら良いのですが、1日の中でも何度もアドレナリンを出す生活は、心臓に悪いのです。」
 悪口を言わない生活にしたいものです。

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 第510号・予告
 【 書 評 】  岡本弘昭 『3度目の日本』(堺屋太一著 祥伝社新書)
  【私の一言】  吉田竜一 『平等と公平』
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                              VOL.508

          評 論 の 宝 箱
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 第508号・目次
【 書 評 】   堀部薫弘 『トニオ・クレーガー』
                              (トーマス・マン著 野島正城訳    講談社文庫)
【私の一言】  庄子情宣『長寿を考える』



【書評】
 ┌─────────────────────────┐
◇         『トニオ・クレーガー 』 
◇  
(トーマス・マン著 野島正城訳    講談社文庫)
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                     堀部 薫弘


 年末の大掃除の時だった。押入れから薄汚れた一冊の本を見つけた。高校時分に買った本である。当時の価格140円。未読である。トーマス・マン・野島正城訳『トニオ・クレーガー』(講談社文庫)だった。ページ数は110頁足らず、短編でも名作と賞される作品で、今、受講している大学でも取り上げている。半ば強引に読み通した。以下に感想を記したい。

 小説『トニオ・クレーガー』では、主人公の少年トニオの運命を決定づけるような出来事は何も起こらない。トニオは常に悩み、不器用である。そこは共感を持てる点であり、寧ろ快活で清々しい感じさえ受ける。
 主人公の父親は北ドイツの豪商で謹厳実直、母親がイタリア的な陽気で鷹揚な性格という、2つの相異なる血をひいている。市民気質と芸術家気質が存在する。両者の相容れなさから内心は「南/北」という構図となる。一方、ロシア人画家とフランス的なダンス教師の登場によって「東/西」の対立を描きだし、主人公の内面がより根深いものとなる。
その「東/西」はドイツの近代と反近代という二面性を浮き彫りにしている。作者トーマス・マンは、自身が持つ内面的な部分と、住んでいる国ドイツを登場人物通じて表現している。フランスとロシアに挟まれた、革命を経験していない大国ドイツの内面的な部分「道に迷った市民」を知る。単にうわべだけの青春小説ではなく、奥深さがあり、読み返すたびに新しい発見を得る。こうした作品こそが名作と呼ばれる所以であろう。

 その一方で、トニオが平凡で律儀であり、精一杯悩み生きていく姿にどうしても引き込まれる。読み手自身に中学高校時代を思い出させ、主人公が自分の代弁者かのようで、その心情にいちいち共感せずにいられない。今の齢になっては、青春時代といえば思考と行動が矛盾に満ちた自分を思い起こすだけだが、もしこの小説を学生時代に読んでいたらどうだろう。せめて20代の頃に読んでいたらと思うと、様々な想像が浮かんで来る。
さながらタイムスリップをしたような気分になる。

 トニオと同性である男子学生への淡い恋心に興味を引かれた。自分自身、男子校で過ごし、ハンサムな男子生徒に対する憧れは同様にあった。といって女性に興味がないわけではない。通学途中、駅で見かける女子校生を遠目に見て、自分勝手に想像することは日常である。実を結ばないことは当然ながら、それは通り過ぎるだけのこと。主人公は常に受けとめて苦しんでいる。

 この作品は市民と芸術家の対立を描きつつも、どちらにも組みせず、複雑で傷つきやすい青春時代への讃歌に思える。自分が同じ時代に読めば大きな励みになったに違いない。それは老境に入った今だから言えることだろうか。
読んでいて、中学高校の頃を思い起させる。ドイツの知らなかった内面を知る。幾つもの出会いと発見がある。それに伴う胸の高鳴りが心地よい。大袈裟ではなく生きている実感がある。
長編を前に泰然自若としてぶつかりたい。そのためには読みこなす力をつけねば。もっと読まねば。きっとヒントがある。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆【私の一言】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

         『長寿を考える』
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                      庄子 情宣

 秦の始皇帝が不老長寿の薬を探すよう命じたように、古来、長寿は人類の夢とされている。長生きするために個人も社会も努力し、日本では、寿命は昭和に入ってから伸び続け、昭和40年代には70歳前後だった平均寿命が、女性は昭和59年、男性は平成25年に80歳を超えるようになった。厚生労働省によると2024年の日本人の平均寿命は、男性81.09年、女性87.14年である。
 しかし、一方、長寿は老化と裏腹の関係があり老後の生活にも係わる。長寿の伸展は老化の伸展であり、同時に老後の生活の長期化を意味する。老化の終着駅としては、現段階では、肉体的には寝たきりであり、精神的には認知症患者になることと指摘されている。このような不健康期間である老後生活を抱えることは、介護や支援を受ける生活を送ることを意味し、個人的には医療費や介護費の負担等の経済問題、国家的には福祉費用の財政問題を生じ、また、社会的には世代間の対立問題も生じる。この結果、日本人の過半は、決して長生きを望んでいない(ニッセイ基礎研究所)し、平均希望寿命は81.79歳と言う調査もある。(斉藤徹)

 この背景には、平均寿命と健康寿命の格差にみられるいわゆる不健康期間の存在がある。厚労省によると2023(令和5)年度末の要介護(要支援)認定者数は約708万人であり、年代別の人口に占める要介護認定者の割合は、75歳以上の全体の認定率31.5%で、85歳以上の全体の認定率57.8%になる。つまり、加齢とともに要介護(要支援)認定者割合が急速に高まるという事である。一方、日本の社会では少子高齢化は急速に進み、労働力不足と経済成長の鈍化は避けられないのが現状である。このような情勢の中で長寿にどう対応するかは大きな問題である。

 生物は死ぬことが必然である。その一環として老化がプログラムされており、しかも加齢とともに加速する。多くの生物は現役が終了すれば死亡する。従って老後はなく、それにより円滑な世代交代をおこない種の保存と進化を行ってきたといわれている。
長寿による老化の加速と老後生活にいろいろな課題を持つ我々社会は、この生物世界の有り様を参考にすべきでないか。具体的には不健康期間をなくすことを最大の課題とし、
それには生涯現役を貫く事を目指し、老後期間をなくす努力が必要である。
同時に、長寿を美徳とする倫理観や道徳観は、時代の変遷と共にを転換すべきではないか。少子高齢化のもとでは、まずは高齢層が長寿の実態を良く認識し、単純な長寿信仰から「生活の質」を重視した意識に転換する事が強く求められている。


編集後記
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 梅の季節になりました。そこで梅は梅でも「梅干し」について。

これは日本の伝統的な食品でありながら、酸っぱい味わいの背後に隠された豊富な栄養素が、体にさまざまな健康効果を与えてくれると言われております。この「梅干し」1個には、リンゴの33倍にもあたる0.03mgものビタミンEが含まれているそうです。ビタミンEは、高い抗酸化作用を持つことで知られ、「若返りのビタミン」とも呼ばれ、血行を促進させて血管や肌、細胞の老化を防止してくれる働きがあるため、生活習慣病の予防にも効果的と言われているようです。

まだまだ寒さは続きます。「梅干し」を活用し元気にお過ごしください。
今号もご支援ご協力有難うございました。(HO)
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 第509号・予告
 【 書 評 】    加藤 聡 『異次元緩和の罪と罰

             (山本謙三著 講談社現代新書)』
   【私の一言】 幸前成隆 『人知るもよし知らざるもよし』
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                            2025年2月1日
                               VOL.507
              
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 第507号・目次
【 書 評 】  桜田 薫『グローバリストの洗脳はなぜ失敗したのか。
           トランプ・プーチンの時代を生き切る知恵 』

           (馬淵睦夫著 徳間書店)
【私の一言】 福山忠彦『アリストテレスに学ぶ人の道』



【書評】
  ┌─────────────────────────┐
◇   『グローバリストの洗脳はなぜ失敗したのか。
    ー
トランプ・プーチンの時代を生き切る知恵 』 
◇       (馬淵睦夫著 徳間書店)

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                       桜田 薫

 新聞、テレビなどの一般メディアの情報しか入手できない人間にとって本書の主張を信じるのは容易でないし、違和感さえ持つ読者もいるに違いない。本書の主題は、世界を一体化するグローバリズムの否定で、著者はナショナリズムを支持する。グローバリズムの背後に、いわゆる影の政府(Dark State)が存在するという。著者の主張を裏付けるための否定できない史実、出来事があげられるが、その結論は壮大な陰謀論と言えるかもしれない。著者は京都大学法学部在学中に外交官試験に合格し、ケンブリッジ大学経済学部に留学、各国大使を務め最終的にウクライナ大使で退官した。

 著者のいうグローバリズムとは、共通の価値観と基準でお金とモノと人の自由往来を確立して世界を一つにしようとする考え方だ。この思想の普及は強力なグローバリストの活動によるもので、その価値観は国連と国際機関も後押しして各国固有の価値観、伝統文化を破壊しているという。国連が我が国の夫婦別姓や女系天皇の論議に介入しているのも一例とされる。外国人移民の増加も促進されるが、グローバリズムが導くポリティカル・コレクトネスは、人々を洗脳して不法移民増加に寄与する。いっぽう著者によると、トランプに代表されるナショナリズムが世界的な流れになり、グローバリストの洗脳が失敗しつつあるらしい。本書には2022年バルダイ会議のプーチンの演説と16年のトランプの国連演説が全文記載されているが、一言でいえば前者は植民地主義や戦争で世界の覇権を握った欧米批判、後者はアメリカファーストの愛国心を強調するもので、共に本書の主旨に沿うもので著者は名演説と称賛する。

 グローバリズムを主導する主体はユダヤ国際金融資本で、通貨発行権による世界支配は最後の砦とされる。金融を支配するG7の中央銀行は、米国のFRBのようにすべて民間組織であって国の財務大臣の指揮下にはない。影の政府(DS)は通貨発行権が国に奪われるのを認めない。著者によると、ケネディ大統領暗殺の一因は大統領が政府紙幣を発行してFRBの利権に挑戦したことらしい(引き継いだジョンソン大統領が全紙幣回収)。国際的金融資本の影響力の一例は、英国がイスラエル建国を認めた英国外相のバルフォア宣言がロンドンの 金融資本家ウヲルター・ロスチャイルドに出された書簡だったことにも見られる。

 本書の話題の中に米国の大統領選がある。2020年の大統領選挙でトランプ約7,400万票に対してバイデンが約8,000万票で勝利した。著者はバイデンの投票数に疑問を呈している。なお、私がインタネットで調べたところ2020年の米国登録有権者数は1.56億、投票率64.52%で総投票数についての著者の疑問は無理もない。しかし両者の得票数は別の資料(キャノングローバル戦略研究所)の数字と異なっている。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆【私の一言】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

       『アリストテレスに学ぶ人の道』
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                      福山 忠彦

 いつから私たちはこうなったのだろうか。フェイクニュースがまかり通る、関税などの重要政策がディール(駆け引き)で決められる、自分(自国)の都合が最優先、あちこちで起きる戦争など心が痛む思いがします。更には人間なんてこんなもんだと嘯く輩まで現れるご時世です。私たちの先達はこのような出来事に対してどのような教訓を残してくれたであろうかと思い調べてみました。

 私の好きな絵の一つに「アテネ(アテナイ)の学堂」があります。縦500センチ、横700センチの大きなフレスコ画です。古代ギリシャの哲学者20人余りが描かれバチカン宮殿に現存します。描いたのはラファエロであり、ダビンチ、ミケランジェロと併せて3人は16世紀初頭に起きたルネッサンスの三大巨匠と言われています。その絵の中央部、階段の最上部にプラトンと並び立っているのがアリストテレスです。近くにはソクラテスもいます。プラトンはアリストテレスの師であり指を天に向けています。対してアリストテレスは手の平で地を示しています。これはプラトンの観念論的な哲学に対し、アリストテレスの現実重視のさまを象徴しているとされています。ソクラテス、プラトン、アリストテレスは没後1,500年たったルネッサンス期で最も輝ける偉大なる哲学者、思想家です。このうちのアリストテレスの生涯を纏めてみると次のようになります。

 生まれは紀元前384年古代ギリシャの都市で医師の家庭に生まれ、17歳でアテネに行き哲学者・プラトンが作った学校「アカデミア」に入り、20年間プラトンが没するまでそこで研究生活を送りました。師プラトンと共に教壇にもたちました。42歳の時、マケドニア王の王子13歳のアレクサンドロス(後のアレクサンドロス大王)の家庭教師を7年間勤めます。そこでは弁論術、文学、科学、医学、そして哲学を教えました。その後、アテネ近郊に自分の学園を作り、弟子たちと学園を散歩しながら講義をしたため、彼の学派は逍遥学派と呼ばれました。広大なアレクサンドロス帝国は大王の死後没落し、病に倒れたアリストテレスは62歳の寿命を終えます。彼の著作は550巻という膨大な量でしたが、現存するのはその3分の1程度です。ほとんどが講義のためのノート、あるいは自分用の研究ノートです。私が興味を持ったのは彼の宇宙論です。彼は、宇宙は中心に地球がありその外側に月、水星、金星、太陽、その他の惑星があると考えていました。
これはその後にガリレオが天動説を覆す際に大きな障壁となっています。このように彼はあらゆる分野について論理構成を打ち立てています。論理学では三段論法の基礎の確立は彼の功績です。数多くの彼の研究分野の中で私が特に関心を持ったのが「幸福論」です。彼の倫理学に分類されています。

・幸福を最終目的とし、その達成のためには徳を身につけることが重要である
幸福とは理性的魂の活動の完全な実現であると定義しています。人間としての可能性を最大限に開花させることこそが幸福であるという意味です。
・幸福になるための条件は倫理的な徳を身に着けることが重要である
「勇気」「節制」「正義」「知恵」の4つを挙げています。これら4つの倫理的な徳を身に着けることは容易ではありませんが、日々の生活の中で、小さな努力を積み重ねることで徐々に徳を身につけることが出来ると言っています。
・徳は人間が幸福な人生を送るために必要不可欠なものである
知的な徳が無ければ正しい判断を下すことが出来ず、実践的な徳が無ければ社会の一員として活躍することが出来ません。理論と実行の合一を強調しています。

 アリストテレスは「人生の究極の目的は幸福であること それは徳のある人生をいき価値ある行為をすることで得られる」と繰り返し述べています。また「人間はポリス的動物であり、人間は本性によって共同体を形成して生きるポリス的(政治社会的)な動物である。特に人間は言語を通じた自覚的集団を形成する本質的特質を持つ」という言葉を残しています。

 アリストテレスが生まれてから2,400年が過ぎています。彼の時代に比べてみると人々の生活の意識や知恵はほとんど進化していません。彼のテキストの中には幸福追求のために「善」や「中庸」という言葉もよく出てきます。

 

「徳」「善」「中庸」という言葉を今はほとんど目にしません。「フェイク」「ディール(駆け引き)」「自分(自国)
優先」ばかりが目につきます。
少し立ち止まってみませんか。私たちの先祖の賢者に敬意を表し、彼らに喜んでもらえる価値観を作り上げたいと思っています。              
 

  編集後記
 ∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴ 

 21世紀も4半世紀を経過しつつあります。この4半世紀の間で日本は

 経済を中心に世界での存在感が低下してきています。

 具体的には2000年に世界第5位であった日本の一人当たり国民所得

 は23年には31位まで後退しています。この日本の経済の衰退化の大

 きな原因は、企業の価値創造力の低下であり、これを改善するために

 は企業改革が必要とも指摘されています。

 しかし、経済を中心とする日本の衰退化の根源的な原因は、日本人が

 未来に対しての希望や夢が無くなったことにあるように思えます。

 それは政治が目先のみを追い明確な国家ビジョンの策定を怠ってきた

 ためでないでしょうか。
 戦後80年あらたな国家ビジョンのもとで衰退化から脱却を図りたい

 ものです。
  今号もご支援ご協力有難うございました。(HO)
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    第508号・予告
 【 書 評 】   堀部薫弘 『トニオ・クレーガー』
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