「源氏源氏」はご存知のように、約一千年前に紫式部が書いた世界最古の長編小説だ。


イケメンでプレーボーイの貴公子・光源氏が、様々な女性と遊びまくるという物語である。


紫式部という女性は、平安時代に京都の中級貴族の家に生まれている。


彼女は「源氏物語」で7~80年の時間の流れを描き、500人ほどの人物を物語に登場させている。


「源氏物語」は54帖という、いわゆる54の短編小説が連なっていて、各帖はそれぞれで完結している。


そしてその集合体として、壮大な長編小説が出来上がっている。


天皇の子供として生まれた光源氏は、一度は没落するが、再び地位を取り戻す。


しかし、最後は人生の無常を感じながら没するというストーリーである。


物語は大きく三つに分けられるので、54帖は次の三部構成となっている。


第一部は、第一帖の桐壺から第三十三帖の藤裏葉までの33帖だ。


主人公の光源氏の誕生から、青年、壮年時代に栄華を求めながら愛を遍歴する姿が描かれている。


第二部は、第三十四帖の若菜上から第四十一帖の幻までの8帖である。


光源氏の深まる苦悩や、老いに苦しむ晩年が描かれている。


そして第三部は、第四十二帖の匂宮から第五十四帖の夢浮橋までの13帖である。


光源氏の亡き後、その子や孫が繰り広げるドラマを描いている。


以上が簡単な内容だが、「源氏物語」の各部ごとのあらすじを、順番にもう少し詳しく見ていこう。


まず第一部のテーマは「光源氏の優雅で奔放な生活」についてである。


桐壺帝の子、光源氏は幼くして母を亡くし、実母によく似た父帝の妃である継母・藤壺を恋慕する。


やがて源氏と藤壺は、義理ではあるが母子という禁断の肉体関係を持ってしまう。


そして源氏と藤壺の間には子どもが生まれるが、父帝の子として育てられることになる。


光源氏は、政略結婚で正妻に葵の上を迎えるが、空蝉、夕顔、六条御息所など次々と女性たちと恋愛を繰り返す。


そして葵の上亡き後、彼は藤壺によく似た、彼女の姪の紫の上と出会い、やっとこころの安らぎをえる。


ところが源氏は、本能に操られて自分の政敵である右大臣の娘・朧月夜と恋人関係になってしまう。


そのため彼は都を追われて、須磨・明石で流浪の日々を送るが、そこでも源氏は明石の君と愛し合う。


やがて京に戻され、光源氏と藤壺との間に出来た子が帝になることで、彼は急激に大きな権力を手にすることになる。


彼は自身の大邸宅・六条院を得て、日々優雅な生活を繰り返す。

そして、源氏は太政大臣を努めた後は、退位した帝に匹敵する待遇まで受け、名実ともにこの世の栄華を極める。


以上までが、第一部のあらすじである。


続いて第二部、テーマが「光源氏に忍び寄る老いと死」のあらすじを見ていこう。


光源氏は兄・朱雀院の娘・女三の宮を、正妻として迎えねばならなくなる。


その後数年が過ぎ、それまで源氏の正妻としての立場にあった紫の上が、病に伏してしまう。


さらに女三の宮が、源氏の留守中に忍び込んだ柏木という青年の子どもを宿してしまう。


老いた源氏は、過去の藤壺との過ちの報いを受けていることを痛切に思いしる。


やがて病気だった最愛の紫の上が亡くなり、光源氏は出家を決意するに至るのである。


第二部の最後となる「幻の帖」に続く「雲隠の帖」には、巻名のみで本文はない。


かつては存在したとも、初めから書かれなかったとも、さまざまな説があるが真相は謎である。


長く寄り添ってきた主人公の最期を、作者・紫式部は書くに忍びなかったのであろうか。


それとも、読者各自の想像にまかせたのかも知れない。


そしていよいよ最後の第三部テーマは「光源氏の子孫のその後」である。あらすじを見ていこう。


女三の宮が生み、光源氏の末子として大切に育てられた薫や、源氏の外孫・匂の宮が当代きっての貴公子として登場する。


光源氏亡き後、第三部の主人公となるのが薫と匂の宮である。


自分の出生や存在価値に疑問を持つ薫、そして思うように出歩けない匂の宮は苦悩する。


彼らと宇治の大君、中の君姉妹との関係、苦悩が語られる。


やがてこの姉妹の異母妹・浮舟が登場して、意外な展開が繰り広げられる。


浮舟が横川の僧都との関わりの中で下した決断とは、自身は身分も財も学問もない一女人だけれども、仏道一筋求めて出家する、というものであった。


以上が「源氏物語」のあらすじのすべてである。


紫式部はこの「源氏物語」を、藤原道長の娘・中宮彰子の家庭教師をしながら執筆した。


紫式部は、赤裸々な男女の恋愛の姿を描くことで、中宮彰子をはじめ当時の女性たちの意識教育をしたいと考えたようである。


「源氏物語」にはダメな女性も登場するが、こんな女性になってはいけませんよ、という意味があるのかも知れない。

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