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墓穴を掘った谷垣氏

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谷垣禎一氏は自ら墓穴を掘り、自ら政治生命を絶ったのではないか。


8月29日の参院本会議は、野田佳彦首相に対する問責決議を、公明党を除く野党各党の賛成で可決した。問責決議そのものに法的拘束力があるわけではないが、これにより野党は参院での審議を一切ボイコットするので、9月8日の会議切れまで休会状態となり、そのまま幕を閉じる。

 

ことの起こりは、民主党が緊急課題である「一票の格差是正」に、自民党などが到底呑めない選挙制度改革案を抱き合わせ、衆院で強行採決したことにある。自民党などの反発を見越して、解散を封じ込める作戦である。これに自公両党が反発、問責決議案を参院に提出したが、すでに参院には自公を除く野党七会派の問責決議案が提出されていた。

 

すったもんだの挙げ句、自民党は七会派案にのったのだが、同案には「消費税増税には国民の圧倒的多数が反対。最近の国会運営は民自公三党で合意すれば、一気に法案を成立させており、議会制民主主義が守もられていない」など、自公両党にとって自己否定といえる文言が並んでいる。

 

公明党はこの内容では賛成出来ないと、採決には退席したが。この方が筋が通っている。石原伸晃自民党幹事長は「大事の前には小異を捨てて」と賛成の根拠を説明したが、問責決議の成立で谷垣氏が拘った解散に追い込むことが出来たのか。ノーである。

国会を自ら閉じさせたことにで、外交案件など焦眉の急の問題について、政府を追及する場もなくなった。

 

民主党政権が統治能力を喪失していることは歴然としているが、一方、こんな幼稚な大局観のない自民党に、国民は信頼を置くだろうか。谷垣執行部の無定見、無方針、無節操な国会対応、独走しがちな参院自民党を抑えられない党内統治能力の欠如には、谷垣支持を表明していた森喜朗元首相も見放した。


 出身派閥の宏池会、古賀誠会長も谷垣支持を断った。谷垣再選支持と誰しも思っていた石原幹事長も長老グループの支持を当て込んで出馬の意向を表明したが、石原氏は総裁を補佐する幹事長として同罪なのではないか。

 

谷垣氏は、このままでは14日の告示日に20人の推薦者名簿を添えて、立候補を届け出ることさえ難しくなった。私は2年ほど前、日本記者クラブでの記者会見で谷垣氏に質問したことがある。「あなたは頭脳は明晰だし、顔も悪くない。弁舌も爽やかだ。それなのに国民の支持が低いのは何故だと思っているか」 谷垣氏は満面に笑みを浮かべて聞き返した。「何故なんでしょうね。三宅さんはどう思いますか」


 私は返事をしなかったが、つまり、こういうことである。平均的な政治家像としては、谷垣氏は上質の部類に入る。誰も異論はあるまい。しかしトップリーダーであるためには、優れたリーダーシップ、この国をどうしたいのかという理念、国民を魅了するカリスマ性、そのほか決断力も、国際性も、政策理解力も、先見性も卓越していなくてはならない。

すべてを備えた人材を探すことは至難だが、私には意中の人がいる。(次回ブログで)