しっかりせよ 野田首相 | 三宅久之オフィシャルブログ「三宅久之の小言幸兵衛」Powered by Ameba

しっかりせよ 野田首相



三宅久之オフィシャルブログ「三宅久之の小言幸兵衛」Powered by Ameba-野田総理写真 2

 
 野田首相を評価する人が増えている。世論調査の数字が歴然と上昇するほどではないが、支持率は下げ止まっている。私は野田内閣の発足以来エールを送り続けてきた。同業の評論家仲間からは「こんな決断力のないグズをなぜ応援するのか」と揶揄嘲笑を浴びせられてきた。

 

私は民主党の人たちとの交際は浅いが、政権発足以来幹部と呼ばれる人たちとは、一通り会って、マニフェストについて議論をしたりして、人物評価もしてきた。その中で野田佳彦が一番落ち着いた受け答えをし、安定感もあった。昨年の民主党代表選を前に、彼は月刊文藝春秋9月号に「わが政権構想」を発表したが、同じ代表候補となった海江田万里馬淵澄夫らに比べても、もっともしッかりした内容だった。

 

野田首相は、構想の中で、わが国の財政危機は待ったなしだとして、税と社会保障の一体改革については、「覚悟をもって取り組む」と明言。原発については、安全性を徹底的に検証し再稼働させる、との考えを明確にしている。

 

野田首相は党内基盤が弱いし、司令塔になるような同志もいない。幹事長に小沢対策もあって、輿石東という得体の知れない人物を起用したので、確かに決定が手間取り、優柔不断のそしりを免れない点が多かったが、ぶれることはなかった。しかも結果論からみれば、目の上のタンコブ小沢グループを追い出し、民自公三党合意をまとめ、消費税アップ実現へ踏み出すなど、着々と公約実現に向かっている。

 

小沢グループに続いて、またパラパラと離党者が出始めた。彼ら、彼女らの離党の弁を聞くと、その幼児性に驚く。野党の時代ならば、財源の当てのないバラ撒き政策を掲げ、果てしなき大衆迎合主義を唱えてみても、苦笑いで許されることもある。しかし政権与党の一員となれば、国家経営の一翼を担うことになり、厳しく冷徹な統治能力が要求される。目先の選挙対策にのみ腐心するような輩とは早く決別した方がよい。

 

いま野田首相に望むことは、9月8日までの会期中に消費税値上げ法案、特例公債法案、衆院の定数是正などを成立させ、年内解散に踏み切ることである。民主党はかなりの落選者を出すだろうが、スリムなって生まれ変わる好機になるだろう。大連立や政界再編については別に書く。(敬称略)