行政書士試験のテキストと問題集は、たくさんあります。なので、あれもこれも気になって、いろいろ買ってしまう人がいます。でも、「ひさぽん」の勉強方法で勉強する方にはお勧めしません。
 市販テキストと問題集は、基本的に受験生が合格点である180点を取ることに着眼点をおいて作成されています。そこを狙うために、各予備校が工夫を凝らしているのです。いいかえると、テキストと問題集を見ながら本試験を解けば180点以上は確実に取れるということです。実際には200~220点程度は取れると思います。しかし、全部一言一句漏らさずに覚えることは困難であることも想定されており、しっかり勉強すれば180点が取れるということなのです。
 市販の教材を使用するとき、そこを信用できなければ、いろんな教材に手を出してしまって、最小限の勉強で合格することが難しくなります。
 「ひさぽん」が最小限にこだわるのは、勉強の本質が繰り返すことによる「記憶の定着」にあると考えているからです。繰り返すことができる回数が多いほど記憶は定着します。
 後に、勉強法の一つとして「記憶の定着」について説明しますので、最小限の勉強をするための教材を選ぶということにこだわってください。
 では、教材について紹介します。法律関係の勉強が初めての方と他の法律資格の勉強や行政書士試験勉強2回目以上の方とに分けて紹介します。

【法律関係の勉強が初めての方】
 「ひさぽん」は、この基本テキストと問題集をお勧めします。そして、これが「ひさぽん」が1年目に使った基本テキストと問題集になります。1年目は、これしか使っていません。

■ TAC スッキリシリーズ
 テキスト:スッキリわかる行政書士(TAC出版)
 問題集:スッキリとける行政書士頻出過去問演習(TAC出版)

 「ひさぽん」はこの2冊をお勧めします。1年目、かなりたくさんのテキストと問題集を書店で見ましたが、法律の勉強を1からするのであれば、これが一番良いと感じました。
 特に、テキストは、動物のキャラクターを使ってわかりやすく説明されており、理解がしやすいようになっています。丁寧に説明されている分、ほかのテキストより情報量は少ないことは否めません。しかし、法律関係の勉強を初めてする方は言葉一つをとってもわからないといった状況に陥ります。その説明がさらっとされてしまうと、あとの理解が追いつきません。
 行政書士の試験は文章で構成されますので、言葉がわからないというのは勉強を進めるうえで重大な障害になります。話し言葉で説明をすることにこだわりを持っているテキストと問題集になっています。
 特に、問題集で分かりやすく噛みくだいて解説しているものは、この「スッキリとける行政書士」だけです。また、オリジナル問題はなく、すべて過去問から作られているところに特徴があります。法律関係を初めて勉強する人には本当にお勧めのテキストです。ぜひ見てください。
 ちなみに、「ひさぽん」が1年目の勉強に使ったときは、問題集の問題数が148問程度しかなかった記憶があります。今は、200問に増えていますので、以前より教材として充実しています。
 148問のときで178点取れていますので、いかに繰り返して記憶することが重要かということであって、単純にたくさんやればいいというわけではないということがわかると思います。

【他の法律資格の勉強や行政書士試験勉強2回目以上の方】
 他の法律資格の勉強や行政書士試験勉強2回目以上の方は、基本的な言葉を知っている方がほとんどです。ですから、テキストは丁寧な説明のものより見やすくまとまっているものの方が見直しやすく、情報量は初学者向けのものより若干充実しているものがお勧めです。
 基本テキストと問題集をいくつかご紹介します。

■ Wセミナー 合格革命シリーズ
 テキスト:合格革命 行政書士 基本テキスト(早稲田経営出版)
 問題集:合格革命 行政書士 基本問題集(早稲田経営出版)

 合格革命は、行政書士受験者の中で1番の人気シリーズです(「ひさぽん」の感触ですが・・・)。基本テキスト・問題集共に、情報量が一番多いものになっています。その分、勉強量が増えますが、それでも通信・通学講座と比べたらしっかり絞られています。問題集は、絶対に押さえておくべき重要過去問を中心に掲載しつつ、過去問では不十分なテーマ・論点についてはオリジナル問題で補充していますので、出題範囲を網羅的に演習することができます。180点以上を目指す教材としては申し分がない内容です。

■ 伊藤塾 うかる!シリーズ
 テキスト:うかる! 行政書士 総合テキスト(日経BP 日本経済新聞出版)
 問題集:うかる! 行政書士 総合問題集(日経BP 日本経済新聞出版)

 大手予備校の伊藤塾が編集しているテキストと問題集です。基本テキスト・問題集共に、十分な情報量になっています。問題集は、厳選された過去問題と伊藤塾オリジナル問題で、重要項目がカバーされています。また、令和5年度本試験問題+解答・解説が収録されています。180点以上を目指す教材としては申し分がない内容です。

 
■ LEC 合格のトリセツシリーズ
 テキスト:行政書士合格のトリセツ基本テキスト(東京リーガルマインド)
 問題集:行政書士合格のトリセツ基本問題集(東京リーガルマインド)

 大手予備校のLECが編集しているテキストと問題集です。基本テキスト・問題集共に、範囲をよく絞って作られています。過去問とオリジナル問題で構成された250問+各編の知識定着が確認できる一問一答150問が収録されています。180点を目指す教材としては十分な内容です。

 それぞれ好みがあると思いますので、書店で一番良いと思うテキスト・問題集を選んで購入してください。そして、一つのシリーズに絞って勉強することをお勧めします。あまり他のテキスト・問題集に手を出さないようにしてくださいね。



 ちなみに、「ひさぽん」が令和5年度行政書士試験で使用した教材は、「LEC 合格のトリセツシリーズ」です。あくまで、問題集の回転数(解く数)にこだわったので問題数が一番少ないものを使用しました。
 ただ、途中で、問題集を一つ追加しました。なぜかというと、「記述式問題」が自分自身で取れないと判断し、「択一式問題」を150点以上→164点以上を目標にしたからです。そのため、過去問に絞られた問題集である「スッキリとける行政書士頻出過去問演習(TAC出版)」を追加しました。
 「行政書士合格のトリセツ基本問題集(東京リーガルマインド)」は9回、「スッキリとける行政書士頻出過去問演習(TAC出版)」は6回しました。同じ問題がダブっている分は相当の回数やり直したので、その部分は完璧になりました。
 正直、何回繰り返しても、問題集を間違えなくなることはありませんでした。これが「ひさぽん」の記憶力なのです。だから、1冊だけ問題集を増加させたことは成功だったと思います。これで、記憶率に限界はあったのですが、記憶した問題数は増えたことにより、「択一式問題」は目標の164点には2点足りませんでしたが、ほぼ目標点に到達出来ました。また、記述式問題をこなす量も少し増えたので、当時の想定よりは点数が高く取れました。民法の「記述式問題」は1問完答できたのが大きかったです。
 最後に、「肢別問題集」はお勧めしません。これには、①問題量を多くこなしていると錯覚に陥りやすいこと、②択一式問題の出題の仕方の趣旨・目的が把握しにくくなること、③基本問題集の回転数が落ちることが理由として挙げられます。
 例えば、肢別問題を1,000問こなしても、五肢択一問題で計算すれば200問程度しかこなしていないのですが、それに気付いていない方が多いようです。
 なお、「ひさぽん」は後に「スッキリとける行政書士頻出過去問演習」を購入しましたが、基本的には、テキストと問題集のシリーズもの1セットのみを購入して、勉強することをお勧めします。
 それでは、次からは、テキストでの勉強方法について確認していきましょう。