先日のオータムで会場入りすると、福田聡プロに、
「おはようございます。何切るマニアの阿賀さんですか」
と言われてしまいました。 さすがに、
「趣味がファッションの福田さんですか」
とは言い返しませんでしたが・・・
こんなことを言っていいのかあれですが、、実は何切る問題ってあまり好きではないのです。
何故か?場況なしだったらどうするって、場況がない麻雀じゃ一人麻雀じゃないですか。例えば以下の手、
三四四五②②③④⑤⑥567 ツモ4 ドラ八
上家がソーズで染めていれば7を切ることもあるし、トイメンが六→三と切っていれば三は1枚持っていると考え、薄い三-六を嫌って四を切ることもある。リーチが入れば現物の②から切るかも知れない。生き生きとしたライブ感がないんですね。回答は机上の空論でしかありません。
しかし、自分の打ち筋が確立した上級者を除いては、何切る問題で手筋を覚えられるのも事実。
「勝負はそんなとこじゃないんだよ!!」「勝負は現場で起こってるんだよ」←古いって思いつつも、阿賀の打ち筋に興味を持ってくれる人が一人でもいる限り解説を続けて行きたいと思います。
何切る問題B第三問
東2局西家 4巡目 持ち点8000点
二四②③③③④⑤23456 ツモ3 ドラ3
東1局で12000放縦後のこの手牌、4巡目にして良すぎるような気もしますが何を切りますか?
プロ3人の候補は、②⑤2の3種類。当然ドラの3や6、リャンメンを決める③、愚形を整理する二がいいよなんて人もいると思います。選択肢が多いほどいい問題であり、そういった意味では良問の部類に入るのではないのでしょうか?
それでは検証してみましょう。一応テンパイチャンスを調べてみます。
打②・・7種22枚(三③⑥1347)
打2・・6種18枚(三①③④⑥3)
打⑤・・6種18枚(三③1347)
打3・・4種15枚(三147)
打6・・3種11枚(三14)
打③・・3種11枚(三①④)
打二・・(リャンシャンテン戻し)
三人のプロが選んだ打牌候補はテンパイチャンスでいうと大差ありません。この問題の場合は特に打点も必要となりますので、何でもテンパればいいというものでもないでしょう。
阿賀がこの手牌を見た第一感では①-④待ちなら(討ち)取れる。それなら雀頭を決める打2か?
まずは綾瀬プロが選択した打2ですが、ドラ固定でピンズの受けが広くなっています。これがマジョリティではないでしょうか?難点は、ソーズの3メンチャンの受けを消してしまうこと。そしてピンズの受けが広い分カン三待ちが残りやすいことです。
ツモ① 打③ 二四①②③③④⑤33456
ツモ⑥ 打③ 二四③③③④⑤⑥33456
ツモ①は役なしですが阿賀はこれではリーチに行けません。ツモ③④⑥3は役ありですがやはりダマです。ドラツモ以外はツモらないことにはマンガンになりません。ダマであれば出アガり5200の確率のほうが断然高いでしょう。
ちなみにリーチに行けない手牌なら打二としテンパイ取らずの選択もありますが、
ツモ① 打二 四①②③③③④⑤33456
ピンズのくっつきが②④以外はリャンメンになりません。カン三でリーチに行くのがまったく悪いとは言いませんが、もらった牌姿からするとかなりがっかりな最終形です。
そして、吉田プロが選択した打⑤です。
12000のビハインド、234の三色を見た一貫性からすると、こちらを選んだ方も多いと思います。
それでもここでの打⑤に違和感を感じてしまうのです。ちょっと伝えるのが難しいのですが、(手なりで打ってたまたま残った⑤かも知れませんが)234の三色を見ていながらも⑤を残しておいた意味、これがなくなるような気がするんですよね。
例えば234の三色に固執するならば、
二四②③③③④23456北
一巡前に⑤を切って安牌を残しておくことも可能なんです。それでも⑤を残したのはマンズの変化で234の三色が崩れたり、ピンズの伸びを見ていたわけで、切るものがないから切らされた感が嫌だったので候補から早々と外してしまいました。
さらに打⑤のあと、五を引けば当然打二と出ますよね。まーその時はその時と割り切ればいいのですが違和感が残ります。
ただこの打⑤はほとんど値崩れがしません。ツモ五で三色が消えてもピンフがつきそうですし、ツモ7ならダママン、ツモ4に至っては、打6でツモればダマでもハネマンあります。ツモ1がおいしくはないですが、
ツモ1 打6 二四②③③③④123345
一旦テンパイに取り、ツモ24で三色完成となります。打二として一旦テンパイを外す手もありますが、三色が見える手でもあるので素直にテンパイを取るでしょう。
そして私が選んだ打②ですが、
ツモ3 打② 二四③③③④⑤233456
取れそうな①-④待ちと234の三色を消してます。①-④を消してもソーズの受けは残したいですし、コメントにも書きましたが234を消す替わりにマンズの変化で345と456の三色を見ることが出来るからです。直接のツモ三はうれしいような悲しいような感じですが、迷わずにリーチと行けます。
ツモ五ならば両方の三色が見えて最高です。その後にツモ三なら3メンチャンもありますが、打点も考えて確定三色である打6のリーチもあります。
ツモ三 打6 三四五③③③④⑤23345
ツモ六なら三色を見た変則3メンチャンでリーチという選択もあります。
ツモ六 打2 四五六③③③④⑤33456
それでは打②の後ソーズから入った場合はどうでしょう?まずはドラの3をツモった時ですが、カン三の闇に構えピンズの好形を生かして、ツモ二四五ならリャンメンもしくは変則3メンチャンに変化します。
ツモ二 打四 二二③③③④⑤333456
次にツモ1ですが、6を切ればテンパイです。しかし役なしですので、さらにソーズの伸びと三色を見てテンパイ取らずとします。
ツモ1 打二 四③③③④⑤1233456
ツモ4はタンヤオの役ありですが、これは打6として仮テンに取るか、テンパイを外すか悩みそうです。
ツモ4 打二 四③③③④⑤2334456
ツモ4 打6 二四③③③④⑤233445
打二とするとソーズが、【2334、456】もしくは【234、3456】と見ることが出来るので受けはは広くテンパりやすいのですが、ソーズをダブって使っているのでアガリまで見ると少し厳しいかも知れません。悩ましいですが、打6として仮テンに受け、25でのイーペーコーへの変化を見つつ、マンズの二四五を引いたらリーチと行きます。
そしてツモ7ですが、こちらはドラを切ると安くなりますので打二です。
ツモ7 打二 四③③③④⑤2334567
ソーズが、【2334、567】もしくは【23、34567】と分けて見ることが出来ます。1-4が残り7枚、2-5-8が9枚ですので、自信を持ってリーチと行けるでしょう。
最後にピンズの③⑥を引いた場合です。これは2を切ってテンパイを取るより他なく、マンズの手替わりを待ってダマに構えます。
ツモ③ 打2 二四③③③③④⑤33456
ツモ⑥ 打2 二四③③③④⑤⑥33456
五か六を引いて三色になれば最高ですけどね。
プロが選んだ3つの回答以外も少しだけ。
打3・・・3メンチャン決め打ちもテンパイチャンスでは③3引きがある打⑤が勝る。ただし、良い待ちを残しているのでマンズの愚形をフォローしやすい。値崩れしそうだがアガリだけを考えるならありかも。
ツモ四 打二 四四②③③③④⑤23456
ツモ⑥ 打二 四②③③③④⑤⑥23456
打6・・・ドラを2枚使ってのリャンメン決め打ち。同じくマンズの愚形はフォロー出来る。ドラは使える替わりにタンヤオが消える可能性も高い。決め打ちしすぎ感が・・・
ツモ四 打二 四四②③③③④⑤23345
打③・・・同じくマンズの弱さをフォローしピンズの受けを①-④に決める。ただし、ツモ1-4-7などでグダグダになる可能性も・・・
ツモ四 打二 四四②③③④⑤233456
ツモ1 打六 二四②③③④⑤123345
打二・・・どうせ出て行く二ならと先切り。ちょっと早まりすぎかな。下のような手だったら一切りするけどね。
一三②③③③④⑤23456 ツモ3 ドラ3
やはりいずれの場合も②⑤2よりは見劣りします。
こんなに長々と書いて・・・
実は何切るマニアになったのかな?