私が欠かさず聞くポッドキャストは「コテンラジオ」以外にもう一つあります。

伊藤洋一の「ラウンドアップ、ワールド ナウ」



https://www.radionikkei.jp/roundup/


伊藤洋一の本音トークを30分じっくり楽しめる番組はここだけ !
国内外で起こった1週間の経済・社会・政治関連の 出来事、指標、トピックスなどを分かりやすく解説。刻々と変化していく現代をグローバルに見渡すことのできる30分です。(webより)



1週間の主な世界のニュースをまとめて聞けるし、アメリカに住んでいたこともある伊藤洋一氏のアメリカの分析がとても興味深くて、いつも配信を楽しみにしています。



今回は2つのことへの言及が大変印象に残りました。

ひとつはアメリカ大統領選挙にカマラ・ハリス民主党候補がもしかするとトランプ候補に勝つのではないか?という分析。

トランプの圧勝かと思っていたけれど、伊藤氏の分析を聞くと、もしかして…!と期待できそうになります。

そしてもうひとつのテーマはアメリカの複雑さについて。

「ヒルビリー・エレジー」というNetflixでやっていたドラマがありました。連れ合いが以前見ていたのを横で半分くらい見ていた、かなり重たい内容のドラマです。



(画像はAmazonからお借りしました)


あの原作を書き、2017年ころベストセラーになったその作者とは、トランプ候補の共和党の副大統領の指名をうけたJ.D・ヴァンス氏。


これは伊藤洋一さんがそのことについて語るまで私は全く知りませんでした。



(画像はネットフリックスからお借りしました、かつての美人女優グレン・クローズが素晴らしい。エイミー・アダムスもスゴくリアルな演技)




貧困、麻薬中毒、家庭崩壊、とても重たいアメリカの地方の現実。

伊藤洋一さんが
「私も50年アメリカに関わってきて、都会はよく知っていてアメリカのことを分かったつもりになっていたが、まだまだ知らないアメリカがあった。


アメリカは何層にも分かれた複雑な社会だ。そしてそれはアメリカだけでなく、豊かな都会の人とそうではない地方の人の貧困の問題は何処の国にでもある問題だ」

ベテランの伊藤洋一さんが、まだ知らなかったと自ら認めるというのはなかなか出来ることではありませんのでその謙虚さに驚きました。


そして最後の貧困の格差の話は本当に深く考えさせられました。


私はチリに住んで20年になりますが、チリでも豊かな人の暮らしは、家族で海外旅行し、使用人がいるなど日本人でもなかなか出来ないほどリッチだし恵まれています。

でも貧困な人は日本の貧困とは比べものにならないほどにずっと厳しい。


どこの国も、貧富の差が開いていっているように感じます。犯罪の温床になるのも事実です。



でも実際は物質的な貧困より麻薬や家族崩壊など精神の荒廃のほうが目を覆いたくなるのです。


貧困が精神の不安定さを招くのか、精神の不安定さが貧困を招くのか…。


これは私の一生追い続けたいテーマでもあります。




日常の生活に不満を持つ人がどういう候補者に投票行動をするのか?




政治は人気投票ではないです。


SNS上で人気が出ても、実際に討論会をやれば政策に具体性を欠くというのはよくある話です。

私達は自分の認識が間違っていたと気づいて反省するより、自分自身の世界の捉え方を変えて、実際に起きている事を見ないようにしてしまうことがあります。

自分が間違っているのではない、社会が、世界が、他人が間違っているというほうが容易いのですが、それはとても危険です。







政治家は、妥協しない意志の強さ、メッセージの強さがある人がもてはやされることもありますが、実際は交渉して妥協点を探る、自分と異なる意見とすりあわせたり、人の多様性を尊ぶ、その中で解決策を生み出していく忍耐強さや清濁あわせ飲む柔軟さも必要だと思います。


そこを見落として政敵を批判するだけとか、自分の方針だけ語る人は政治家ではなく先導家だと思います。

不安な時代は強いメッセージを発する先導家を生みやすくなります。


世界中どこも政治家の質が落ちており、先導家がその隙間を狙っています。


南米の左派ポピュリズムはそうして生まれていったし、長年の左派政権のあと、アルゼンチンは極右の大統領を誕生させたのです。

有権者として思うのは、いつも自分自身の認識を微調整することを厭わない賢明さが必要だということです。


少なくとも私にできる事は、政治家にせよ宗教家にせよ有名人にせよ、盲目的に崇拝してしまうようなことだけは回避すべきだと思っています。