先日の柔道大会。わたしたちの柔道クラブの全盲の柔道生徒、ホルヘとカミラのデビュー戦でした。

(ホルヘ自身が視覚障害者descapasida visualや非視覚者No vidente じゃなくCiego 盲目、全盲でいいと名言しているから、私のブログではホルヘとカミラのことを全盲と記す事、お断りしておきます。)

でも大会前日の体重測定のあとで、グスタボは顔を曇らせて言いました。

「ホルヘとカミラの対戦相手が居ないそうだ。柔道協会が許可しないらしい。でもまだ内密にしておきたいから、二人には言うなよ、せっかく練習してきて張り切ってるんだから」






大会当日、ホルヘは何時もどおり、お父さんのロルランドさんと、そしてカミラは同棲してる年下の同じく全盲の彼氏のお母さんが付き添いです。


二人とも大会の雰囲気にちょっと高揚して緊張しながらもはしゃいでいるかのようでした。




彼らから何時から試合なのかと尋ねられました。

「特別枠だからね、おそらく午後の終わりだと思うよ」と私。

私はグスタボから対戦相手がいないことを聞いていたけれど、それを言えません。


ソワソワして心配していました。





順調に大会は進んでいきました。

今からマテオの試合だよ、とか勝ったよ勝ったよ!って報告したり、勝った子が席に興奮して戻ってくると「ほら、ホルヘとカミラにも報告しておいで!」って言ったり、うちのクラブはみんな一体となって応援しあっていました。





午後になり、年齢や体重的に対戦相手が見つからない子が出てきて、それを審判団に言いにいく時間がありました。

すぐさまグスタボは以前から目をつけていた隣のクラブの巨漢の男の子に声をかけました。

実は私たちはポテンシャルを生かしきれずに負けてばかりの彼に大会のたび何時も心を寄せているのです。

グスタボ
「おい、キミ名前はなんだい?」

少年
「マキシミリアノだよ」

グスタボ
「それにしてもデカイなあ、何歳だい?何キロ?」

マキシミリアノ
「16歳、120kgだよ」

グスタボ
「おい、人助けと思って良い事する気はないかい? うちのクラブの全盲の生徒、相手が見つからないんだ。目を覆うゴーグルをつけて戦って欲しい。州でこんなイベントないぜ、新聞にのるかもなぁ。ねえ、監督や保護者の許可をとってくれないか?」

気の優しそうな少年はすぐオッケーを出してくれました。


(写真中央がホルヘ)

グスタボ
「あとはカミラの相手だな」

おそらく80kgか90kg以上の無差別級で優勝した女の子、しかし緑色帯!の子の監督が推薦してくれました。




最初はホルヘ。

説明を受け、相手がゴーグルをはめ、タタミの中央部まで連れていかれ、組み手した状態で「はじめ!」の合図でスタートしました。

(続きは明日)