気がつけば、もう21年になるんです。チリに赴任したのは2001年7月でした。青年海外協力隊の村落開発普及員として2年間を村の役場に入って働くという任務でした。


真夏の日本から真冬のチリにやって来たら、首都サンチアゴはものすごく寒くて、なんだか南米というとブラジルとか温かい国というイメージがあったので最初はビックリしました。


1ヶ月、アントファガスタという北部の街で生活に慣れるためと現地の語学訓練を受け、8月の22か23日に赴任先の村につれて行かれ、ホームステイ先に案内されました。


着いてから「うわ〜どうしよう〜」と思ったのは、ご主人さんのクリスティアン伯父さんは半身不随で言語障害があり、娘さんのイボンは聴覚障害があり、唯一奥さんのマリア伯母さんしか会話が出来なかったことでした。


今みたいにスマホもないし、何処へ行くにも西和と和西辞典を2冊リュックに抱えて職場を行き帰りしていました。


まず聞き取れないし、話せないし、メンタルは子供に戻ったように、ちょっとしたことでメソメソ泣いたり、怒りがコントロール出来ずにカーっとなったり。思い返すと恥ずかしいですね。



ああ、日本に帰りたいと何度自分の決断を後悔したか分かりません。正義感や義憤にかられて途上国の村落開発に携わりたいという夢は、到底甘ちゃんのフワフワした夢に過ぎなかった、言葉も出来ず、バックの組織も資源もなければ相手にされないということを嫌というほど思い知らされました


赴任して3週間後、米国で世界貿易センタービルへ飛行機が突っ込むというアルカイダによるテロの惨劇が起きました。


あまりにビックリして、おまけに日本を離れていて不安にもなるし、ニュースは何を言ってるかよく分からないし、これをきっかけに日本へ帰国とならないかなあ、などと不謹慎なことを考えたものでした。




最初の半年くらいは落ち込むばかりでした。そこから必死に自尊心のかけらを拾い集めて、もう一度自分を立て直していきました。




私はこれまで何度も自尊心が、粉々に砕けることがあり、そこから立ち直るのに何年もかかりました。



中学校の時のイジメに始まり、協力隊で大した事が出来なかった経験、公務員を終える際に満足行く終わりが出来なかったこと、ここへ移住当初の苦労、どれも何年も落ち込んで自分を責めました。


むしろ、他人はどう思っていたかどう評価していたかということより、自分がどうしても自分を許せず責め続け、罰していたのでした。






私が、5年ほど前に読み、何度も何度も読んで影響された本が、


「幸福を生む考え方(旧題)」

 (新しい自分をつくる本

(新題))

マックスウェル・マルツ著です。


 

 


50年以上前に書かれた本ですが、昔も皆が同じように悲観的だったり、否定的な思考に凝り固まっていたんだなと気付かされます。

結局どれだけ時代は変わっても社会の閉塞感だとか不安、不満は常にあるんですね。


むしろ、皆が幸せ一杯で充実した社会なんて、過去にも未来にも到底無いような気さえします。




著者のマルツさんは40年以上整形外科医をしてきた経験から、外見を手術で直しても幸福になれない人達を発見します。



劣等感に対する根深い病的愛着を抱き続ける」

というのです。



失敗機制(欲求不満、攻撃性、不安、孤独、不確信、怨恨、空虚感、失敗)、無意識のうちに働く個人の向上本能を瓦解させる"自己増殖性否定症候群”のすべてに対してわたしたちは戦わなければならない。



これ、私のことだ!とハッとしました。


自分で自分の悩みを作り出して自分を壊そうとしている。周りから批判も否定されてもいないのに、私が、私を否定していたのです。





わたしは過去の失敗ではなく、過去の成功の自信の上にすべてを集中しよう。わたしは人生において、すばらしいものを手に入れる価値がある人間だ。わたしは、わたしの船の船長だ。だから、わたしは、自分の心を生産的な目標にむけて舵を取ろう」


私は「自信が無い」という自己イメージを作り上げ、それに執着して甘えて手放そうとせずに愛着さえ持っていたのでした。



そして「私はもっと頑張るべきだ」という過剰な期待をかけて自分を追い込み、それを達成できない時に自分が率先して、一番イジワルで徹底的で執拗な批判者であり続けたのです。


人間の最良の友は、自己像である。


と、マルツさんは言います。


成功機制とは…

目標志向感覚

理解力

思いやり

勇気

尊重

自信

自己容認


あなたは、自分自身に対して人間的になり、自分の欠点を許すことを学ばなければならない。さもなければ成功機制が働かず、あなたは真に満足できる目標に到達できないであろう。


成功と自己嫌悪は同居できない。

2つは敵同士で仲間にはなれないのだ。


「今日、わたしは、自分自身に対して人間的になろう」

〜121ページ〜


生活の場で戦う人間としてのあなたに、あなた自身が与える活気や情熱や友情だけしか、頼みにできないのだ。〜70ページ〜


昔の私に言い聞かせてあげたかった言葉です。