子供達が大きくなると、親としてはお小遣いや、嗜好品を買うのをどこまで許可するか悩むもの。


働いてくれれば報酬は弾む、あこぎな親方のようなワタクシ。農家では子供達は貴重な労働力!グラサン


2013年から山羊を飼いだし、翌年から長男8歳は搾乳の間にヤギの角を掴んでいる仕事をしてくれていた。朝7時すぎ、3頭の乳搾りを手伝わせ、放牧させてから、8時に学校の送迎バスが来る4キロ離れた場所まで車で3人の子供を送っていくのが私の朝の日常だった。


(写真は、8年前?多分。長男8歳、長女4歳)



(写真は、長男13歳のころ

アスペルガー&軽度知的障害(と思う)の次男はヤギが大好き。写真は2020年のもの、放牧を手伝ってくれる次男)

(乳搾り。やぎの左脚を私の右の膝裏に挟んでしゃがんで乳を絞る)


長男には、小さいからさすがに気の毒でお小遣いを払っていた。当初はお菓子や文房具を買って弟たちにあげたり、楽しそうに浪費していたが、10歳の時は1年と数カ月間お小遣いを貯めて、ついに年末に携帯電話を購入した。その時の長男の嬉しそうだったこと!爆笑(自宅では電波もネットもつながらないのは承知のうえで…)


2019年は我が家には多くの農業視察団体がやってきた。10団体ほど合計3百人以上がわずか3ヶ月の間にたてこんで、嬉しい悲鳴だった。





40人以上が昼食も希望することもあり、子供達、当時は13歳、11歳、9歳だったが学校に行かせずに、40人の配膳を手伝わせ、商品の販売もさせた。びっくり




もう、それ、どう見ても児童労働搾取でしょ!?ムキーと言われそう。おまけに学校休ませて! 日本だったら親は子供に絶対させないですよね…。ガーン



でも雨が降ったら学校休ませたり、買い物に行くから早退させたりする親が当たり前にいる、ゆるゆるのチリでは全然オッケー口笛 先生も寛大。休む理由すら聞かない。



写真は、2021年1月くらい? 赤ちゃんはうちの子ではありません)


児童労働搾取?とは言えど、ちゃんと子供達に労働報酬は払い、なおかつ商品が売れたらその売上は彼らの稼ぎ。私は多くのお客様のためにオレンジピールのチョコレートがけのお菓子、パウンドケーキ、レモネード、ジャムなどの食べ物系と、マクラメのキーホルダー、折り鶴イヤリングのお土産系をたくさん用意してあったので、その売上で娘は念願のタブレット端末購入に成功!ウインク働けば報われる実感を得たに違いない。


(折り鶴イヤリングやマクラメキーホルダーは私が作ります)



有り難いことに、この夏(去年12月から今年の3月)に300人以上のお客様が星空観察にいらっしゃったが、毎日のように10人分くらいのピザ、お寿司、ソパイピージャ、カルソネロトの揚げ菓子2種、パウンドケーキ、デザートケーキ(たまにムース)、これだけの軽食を準備するため、私自身がお土産類を準備する時間が無い〜えーん


写真下は、長女。パーティコンパニオンさながら、ほぼ毎晩、浴衣に着替えて配膳してくれました!最初は私が着せていたけど、しまいには自分で着てくるようになりました。プロ意識つよっ!ラブ



(お客様に請われれば写真撮影にも応じる娘。左端はインド人の素敵なカップル)


せっかくいらっしゃったお客様に何もお土産が無いのも寂しい、でも時間が無いからどうしようと思っていた頃、長男がアイロンビーズでキーホルダーを作りたいと言い出した。やりだすと、これが、すごく良い出来だったので、本格的に材料をそろえてあげた。


というわけで、子供達はこの夏、アイロンビーズのキーホルダーづくりに専念。これが特に若い層や、孫へお土産を買いたい年配のお客様にウケて、かなりの額を稼ぎ出したのだった。特にコツコツ作り続けた長女はかなり儲けたらしい。グラサン



写真下、販売コーナーの飾り付けも彼らのアイデア。図案はネットで検索して売れ筋を検討)




発想豊かな長男と努力家の長女には疑問は無かったが、アスペルガーの次男には難しいのでは?と思ったが、ところがどっこい、サクサクと多くのキーホルダーを器用に作り、次男も結構な収入を得たのだった。ボーッとしてて、長男にお金を巻き上げられていたこともあったみたいだったけど…。


写真下、次男は独自のデザインで勝負して売れ残っちゃうことも… マクドナルドのフライドポテトやホットドックのデザインのキーホルダーって、欲しい人、いるかなあ…笑い泣き こだわりのあるアスペな次男らしいデザイン、結構ウケる〜)



彼らが儲けたお金は、2月に首都へ旅行したとき、パソコン周辺のアクセサリー(マウスやイヤホン)やコスプレ衣装やアジア食材店での日本のお菓子など景気よく買い物して消えた。


私は「え〜勿体無い〜!えーん」と言いたくなる言葉をググッと飲み込んで思った。ま、いいか、彼らが稼いだお金だ。パアッと使ってみるのもいい思い出だ。


ヤギチーズやアロエベラ販売の機会は、みんな子供達も手伝う。物を作って、売って、それで食べていけるのが私達の暮らしだから。そういう経験は、子供達が大きくなってどんな職についても役にたつに違いない。


(2020年 2月の農業祭イベントで3日間アロエベラを販売、昼12時から夜12時まで!このイベントはキツかった〜…チリ人の夏のイベントは夜の10時からが稼ぎ時!)

どんな職業も、働くって楽じゃない。でも働いて稼いだお金の価値を知って欲しい。身体を使って働く喜び、お客様にサービスして感じる喜び、感謝。働いて稼いだお金を使う楽しさ、誇らしさ。


テストの良し悪しよりも、きちんと社会の中で役に立つ能力を子供達にはつかんでいって欲しい!それは学校では学べない。


働いている親の姿を見せていれば子供達は自然に、社会のこと、他人への真摯な対応、労働やお金の価値、親への尊敬を学んでいくはず。


それが一環して見せられるのが農業やモノづくりという仕事だと自負している。

子供達は親の経済状態とお金を得る苦労が分かれば浪費もしないし、ねだりもしない。お小遣いの額の落としどころは、各人、各家庭がなんとか親子の会話と年月のなかで交渉しながら難着陸させていくものかな、って思ってる。


それぞれの家庭でのやり方はあるけれど、節約してお年玉を貯金して欲しい物を買うやり方よりも、小遣いかせぎでいくほうが子供達にはウケるんじゃないかな、とは思う。節約して将来に豊かになるか、今を楽しんじゃうか?貯金のないラテンの人達には、やっぱり起業の発想!


だから私は子供達に経営上の悩み、収支、関係機関の人達との関係など何でも話す。彼らもいっぱしに意見も言い、相談に乗ってくれるし、彼らの発想に感心することも多い。子供達は貴重な労働力でもあるけれど、立派な経営陣でもあるのだから!



2021年12月のヤギチーズ販売の機会で)