なんだか急に寒くなった、日曜日。チリはもう晩秋。冬服を出さなくてもしのげていたけど、さすがに冷え込むので物置で冬服を引っ張り出す。ついでに、家の本棚が足りずに物置にしまっていた本の箱を探す。あったあった、そうそうこの本、すごく助けられたんだよなあと引っ張り出す。


「育児の百科」松田道雄著




以前、書いていたブログにはもっと詳しく書いた気もするけど、私がこの田舎に移住したときは長男が7ヶ月半の時だった。もちろんチリで妊娠、出産、育児で、日本人の家族も友人も皆無。田舎暮らしになって、電気もない暮らしだったので、思うように離乳食も作れずに、本当に悩んでばかりだった。夜、ベッドに入ると不安で押し潰されそうでいつも暗闇の中、涙が止まらず、文字通り毎晩のように枕をぬらした。


1年7ヶ月の電気なし生活、その間に出産した次男が4ヶ月の時に電気がやっとついた。でも長男と次男は2歳違い、悩みは増すばかり。次男が1歳くらいのころ、同じ市内に住む日本人の奥様Aさんと知り合い、その奥様から頂いた本が、この「育児の百科」だった。


最初は堅苦しい本なんだろうな、無理だな、読めんわ、とか思ったけれど、少しずつ読んでいくとこれがお母さんの苦しむ気持ちを軽くしてくれる、もう救世主のような本なのだ。


当時、我が家はもちろんネットにはつながっていないし、唯一持っていた育児書らしきものは、友達が送ってくれた「たまひよクラブ」か、なんだかそんな子育て本。情報は網羅されていたけど、単にハウツー本で、子育ての悩みの解決にはつながらず、むしろ「これが出来ない息子はおかしいのか」「私の子育てやっぱり間違ってる?」と不安ばかり。


それが「育児の百科」はつくづく母親の味方で、小さい事にこだわらなくてもいい、という温かさに溢れた言葉に自信をつけられたものだった。


結局、次男の育てにくさは発達障害であり、結果的には自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群と診断されている。おそらく学習障害、読み書き困難なども抱えている。でも14歳になった今、本人至って幸せそうに生きているし、私達家族は、彼をとっても愛しているから、そこにどういう名前がつけられるかはあまり気にしていない。


(写真:長男3歳半、次男1歳半くらい)


お母さんが幸せそうにしていて、夫婦の関係が尊敬と愛情を持っていれば、子供達は安定していき、自分のことも他人の事も好きで、幸せに毎日過ごせるものなんじゃないかな、というのが私がこの本から学んだことだ。


そんな簡単にいかない!それが出来ないから、苦しんでいるのよ!と思う方もいるかもしれない。その真っ只中にいる時はみんなそう思うんですよね、私もそうでした。ショボーン


「良い人、良いお母さんにならなきゃ」じゃなくて、「うまく“良いお母さんのフリ”が出来れば全然オッケー!」って私は思うようになりました。(そんなことは本には書かれていませんが)


私は本性は全然良い人じゃないし、良いお母さんから程遠いと思う。だけど、すご〜く上手く化けてきた! 幸い、子供達も連れ合いも「良いお母さんだ」と騙されている。

嘘も方便。嘘から出た「まこと」って言うし、と思っている。ニヤリ


良い妻ぶって、良い母ぶってると本当にそうなっていく、というか、自分もその演技が身について、その役を楽しくこなしていることに気づくようになるんじゃないかな…。適当すぎるかな…。



(次男14歳、でも可愛すぎるラブ


子育てに関しては、情報が溢れすぎ、子育て成功者みたいな人が持論を述べれば、逆に落ち込んでしまう。(東大に子供を入学させただとかいうタイプ)子供を心から愛してますというお母さんがいれば、そんな聖母にはなれないなと比べて情けなくなってしまう。ショボーン


悩みながらも、うちの家庭だけの快適解をつかめば、それが他の人から見たら非常識だったり、甘やかしだったり、逆に厳しすぎたとしても、うちはこれで良い、と揺らがないと思う。子育てに正解なんて無い。と私は思ってる。そう勇気づけられるのがこの本だ。


633ページ、こんな言葉がある。

「子どもをいちばんよく知っているのは母親である。母親の母親としての能力はそれを即興的に芸術家のように決定していくところにある」


名言が一杯なんです、この本は。


ググってみたら、この本に関して良い記事があったのでリンク貼り付けておきます。一人でも多くの親が、この本を読んで元気になりますように。


https://www3.nhk.or.jp/news/special/kosodate/article/feature/article_191101.html