先日、座高寺で行われた第25回劇作家協会新人戯曲賞のプレビューリーディングと公開審査会の場に足を運んできた。


多大な数の中から選ばれた最終候補作の中に、私が愛して止まない芸術集団れんこんこすたの、劇作家奥村さんが書かれた「Gloria」が候補の一つに選ばれていた。


数多くの作品の中から、この最終候補作に選ばれたこと自体、大変名誉ある素晴らしいこと。私は嬉しくて嬉しくてたまらず、当然応援に駆けつけた。


結果受賞にはならなかった。

私は「Gloria」がきっと選ばれると頑なまでに信じて止まず、正直、悔しくて悲しくて仕方がなかった。会場を出て、れんこんきすたと縁の深い役者仲間からちょうどLINEが来て、見た瞬間、気持ちがフッと緩み、涙が溢れ、どうして良いか分からず呆然と歩いていた。しばらく落ち込み具合が甚だしかった。


その後、SNS等でも、数多くの人々が、れんこんのお二人に祝福のメッセージを送っているのを見て、「すべき事は嘆き悔しがる事じゃなくて、心から祝福することだ…」と気付かされ、こんなに落ち込んでしまっている自分を恥じた。

なんで素直にあの場で温かい言葉をかけられなかったのか…。本当にごめんなさい。


最終候補作に選ばれた「Gloria」は昨年の12月に上演されたマレーネ・ディートリッヒの生き様を描いた作品。


私は今も思い出す。

神々しいまでに美しく、強く、真っ直ぐな眼差しで真実を射る中川さんのマレーネの姿を、歌声を、闘う姿を、全てを照らし、導くような光を。

本当に、息を呑むほどに美しかったのだ。


映し出された世界と、その世界を問うた言葉と、思いと、思想と、色とが、一つ一つ、ワンシーンワンシーン脳裏に浮かび、内臓に染み入り、とろりと記憶の液体が胸の奥に溶かされる。


れんこんきすたの世界が、

その世界から問われた言葉が、

届けられた思いが、

信念が、

真に芸術を、演劇を、表現を愛する全ての人の心の奥の奥に、魂に、真っ直ぐに届く事を私は切に願う。