「歌劇 紅天女」観てきた。大好きな漫画「ガラスの仮面」の紅天女の物語世界がオペラに。素晴らしい歌声とオーケストラ(琴や笛の音も)で紡がれる壮大なハーモニー。あの紅天女のお話が身震いするような美しい形と世界観で表現され、音と色彩美に圧倒された。重厚な紅天女の世界に終始涙止まらず。

特に、最初の紅天女の登場場面と終幕の梅の木の場面の壮大さは言葉を失うほどで、人はあまりに壮大で美しいものを見ると、それだけで訳もなく涙が止まらなくなるんだと実感。本当に、本当に美しくて神聖で…。笠松はるさんの紅天女と阿古夜の演じ分け。畏敬と可愛らしさ。鳥肌が立つような歌声に圧倒。

そして、仏師・一真の一途で真っ直ぐな思いと心に心動かされた。真心を持って生きるという事。誠の心を持つ事の尊さ。真に誠の心を持てば、己の中に誰もが仏の心を持つ事ができるのかもしれないなと、浅はか故かもしれないがそう感じた。魂の片割れを探して生きる。魂の共鳴。

自然界の中に人間が在るという事。
人と自然と神の共存。
人と神と仏の共存。
敬う事の大切さ。
畏れる事の神聖さと必要性。
人間は人間以上で在る事はできないけれど、だからこそ、人間として在る故に、この自然の中で何を思い、何を信じ、何を願い、誰と共存し、どう在りたいのか、その大切さ。

総じて、芸術を創ることの尊さと強さ、この世の中に芸術がなぜあるのか。本当に素晴らしい芸術に触れると、それが人の世にとっていかに大切な事なのかを感じる。絶望や嘆きや悲観に襲われても、それでも尊く美しい世の中で生きていたいからだと、そう信じたいからだと、私は改めてそう強く感じた。

私も人の心に魂に、
きちんと何かを届けられる、
ぶつけられる、
そんな表現者で在る事ができるように、
鍛錬と精進を重ねねばと実感。

観れて良かった。
2020年最初に観たのがこの作品で良かった…。