マレーシアのインターナショナルスクールで出会った主人公たち。
父親の駐在についてきた4人と、事業家の両親から海外の学校に入れられていた聡也は、成人して日本でも会うようになっていた。
帰国子女にありがちな自己主張の強さ。
幼少期を同じ環境で過ごした絆。
馴れ合いのような日本人的繋がりではない彼らに起こった出来事。
芥川の「藪の中」のような作品ですが、それぞれの内面を掘り下げて語らせているところに、他人との関わり方に正解がないことを痛感。
体裁を整えるためにする隠し事。
「正義」という免罪符を得て、隠し事をオープンにする語り手たち。
幼馴染という関係を壊したいのか、壊したくないのか。
複雑な承認欲求や、自己愛が入り乱れています。
それぞれの関係性が同格でないことを表す「不等辺」という言葉。
外国で暮らしていても日本人的メンタリティはDNAに組み込まれているようで、先進的にみえて保守的な5人が、その小さな世界で完結しているような作品でした。