ウサギたちが渡った断魂橋:山田盟子 | 図書館司書の読書日記

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こちらは主に備忘録的読書日記と映画の感想を記しています。
著作権法上、ネタばれしないように書いているので味気ないとは思いますが、こんな本があるのだと興味を持っていただけたら幸いです。

 

 

 上下巻からなります。
 
 戦争によるものもありますが、哀しい歴史の事実のひとつでもあります。
 
 第二次世界大戦時の慰安婦問題は、賠償金の関係で別の意味でなまぐさく感じるのですが、明治維新後の女たちのあり方は、ある意味あまり変わっていないようにも思えます。
 
 搾取する側とされる側。
 
 明治の元勲でさえ、女の存在をどう見ていたかと問えば、所有物程度にしか思っていなかったことがわかります。
 
 それでも管理され、給料もきちんと支払われていたならばよいのですがそうではない犠牲の凄まじさがあるように思えました。
 
 職業に貴賎はないのです。
 
 そして今現在も世界中で紛争や戦争があり、同じ思いをしている女性がどこかにいると思うとやるせなくなります。
 
 奴隷労働は、こればかりではありません。
 
 ブラック企業と軽く言われたりしますが、それは労働量の多寡ではなく、精神面の満たされなさにあると思います。
 
 他人を貶め、自らの保身に汲汲とする上司がする部下の支配。
 
 男を手玉に取る女もいて全てが苦界とは言えないこともあるかもしれませんが、魂を断たれるような思いをする人がいなくなる世界があるといいと思います。
 
 部落問題もそうですが、寝た子を起こすなといって臭いものに蓋をしていてはいけないのだと思うのです。
 
 だからといって何ができるわけでもありませんが、当事者の方を不当に貶めるような考えを持たないようにと思います。